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Alpine A4810 Project by IED
トリノのデザイン大学とのコラボレーション

アルピーヌ A4810 プロジェクト by IEDは、次世代技術を取り入れたスーパースポーツでありながら、1955年に創業されたアルピーヌ・ブランドの伝統的な特徴も継承。技術的な先進性だけでなく環境にも配慮しており、未来のスーパースーパースポーツのあるべき姿を暗示した存在だと言えるだろう。
1966年にイタリア・トリノで設立されたデザイン専門大学「IEDトリノ」は、ヨーロッパ有数のデザインを学べる大学として知られている。今回、交通デザイン科の修士課程で学ぶ28名の学生が、アルピーヌとのプロジェクトに参加した。
学生主導のプロジェクトは、アルピーヌにとっても新しい世代のデザイナーやドライバーに視野を広げ、才能ある学生が提示した革新的なプロジェクトの認知度を大きく向上させる理想的なプロセスとなった。アルピーヌのデザインディレクター、アントニー・ヴィランは、A4810プロジェクトについて次のようにコメントしている。
「IEDトリノとその学生たちとのコラボレーションは、素晴らしい経験となりました。若い世代の目を通して私たちのブランドを見るという“フィルター”となりましたし、私たちの情熱とノウハウを共有することで、自動車デザインの分野で成功するための適切なアドバイスを与える機会にもなりました」
これまでの常識を排した2シータースーパースポーツ
アルピーヌ A4810 プロジェクト by IEDは、全長509mm、全幅2010mm、全高1055mm、ホイールベース2717mmという堂々たるディメンションを持つ2シータースーパースポーツ。次世代の技術として期待されている水素から電気エネルギーを発生するパワートレインを組み合わせる実験的なモデルとして登場した。
パワーユニットや燃料タンクは一般的なスーパースポーツと同じようにレイアウトされているが、そのデザインは「引き算」が意識されたという。何もない空間と凝縮された空間が融合したエクステリアは、アルピーヌのF1マシンからインスピレーションを得ており、軽快な外観とエアロダイナミクスに特化した存在感を持つ。
スーパースポーツにありがちな形式的要素を排除し、重なり合うシルエットや彫刻的な要素にこだわることで、フランスらしいエスプリも巧みに表現。バイトーン・カラー、マットブラック、カーボンファイバーのハイライトは、各パーツに大胆なコントラストを生み出し、エアロダイナミクス、メカニカル、フォーマルなど、それぞれの機能に応じて際立たせることが意図された。
フランスとイタリアの架け橋を意識した車名

今回、2035年を想定したアルピーヌ製「スーパーベルリネッタ」のデザインに挑戦することになった2シータースーパースポーツは、性能と環境負荷の両面において高いパフォーマンスを発揮する車両としてデザインされている。
2021年秋にプロジェクト案の発表後、学生たちはそれぞれが自分たちの解釈を考え、アルピーヌ側にプレゼンテーションを行なった。その後、アルピーヌが2つの最終案を選択。選ばれた2つの案をベースに、アルピーヌの若手デザイナーが「A4810 プロジェクト by IED」として、軽快でパワフル、かつ俊敏、そして純粋に走る喜びを味わえるコンセプトカーを作り上げている。
ネーミングは、アルピーヌのレガシー(遺産)を伝える名前が選ばれた。「4810」は、イタリアとフランス国境にあるアルプスの最高峰モンブランの高さ(4810メートル)であり、ブランド名のアルピーヌも、まさにその山々にちなんで名付けられたものであり、IEDとアルピーヌをつなぐ架け橋が意図された。