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3台のラインナップが好調な販売を継続
2021年上半期の営業利益は、これまでの通年決算の最高記録を上回る1億7800万ユーロを達成。販売台数は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年上半期が4785台であったのに対し、2021年上半期は7199台となり、50%も増加した。
販売台数の内訳は、ベンテイガが2767台、コンチネンタルGTが2318台、フライングスパーが2063台と、3車種がほぼ均等だった。販売台数トップは依然としてベンテイガであり、発売以来はじめて全ての市場で受注できるようになったことが好調な販売台数に寄与した。また、ベンテイガにはハイブリッドモデルとSモデルが追加されることも発表されている。
第三世代の登場から3年となるコンチネンタルGTシリーズは、2021年下半期にコンチネンタルGT スピードの発売が控えていることもあり、販売台数の大幅な伸びが期待される。フライングスパーはベントレーにとって最大の市場となった中国での販売開始とV8モデルの投入効果により、シリーズ全体で世界販売台数の29%を占めている。
不透明な新型コロナウイルス再拡大の影響
上半期決算は増収増益となったが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が下半期にどう現れるか、先行きは不透明なままとなっている。感染者数は世界各地で増加傾向にあり、最悪の場合は生産に影響する可能性もある。また、ディーラーの営業自粛等によって販売面・財政面で厳しい状況に陥ることも予測されている。
ベントレーモーターズのエイドリアン・ホールマーク会長兼CEOは、現在の状況について次のようにコメントした。
「ベントレーは『ビヨンド100』戦略を掲げ、2030年までに持続可能なラグジュアリーモビリティのリーディングカンパニーとなることを目指していますが、上半期の業績はこれを後押しする重要なマイルストーンです。好調な市場に支えられたことはもちろん、ラインナップの見直し、事業の再構築、3つの危機への対応、2030年に向けた戦略の策定など、この3年間の真摯な取り組みが実を結んだと考えています」
「弊社は生産性向上と費用対効果によって徹底的な組織改革を推進してきました。売上高利益率の2桁達成は、持続可能なビジネスモデルの実現に向けたこうした方針が間違っていなかった証です。上半期は好調であったものの、今年後半も様々なリスクが懸念されるため、通年見通しを単純に楽観視することはできません。特に、新型コロナウイルスに感染して自主隔離を求められる従業員が増えていることが問題です」
「こうした状況ではありますが、弊社の財務体質は健全でありますので、ベントレー史上最大規模の改革と投資を実行する『ビヨンド100』戦略を継続し、10年以内に全ラインナップを電動化するとともに、不況に強く回復力のあるラグジュアリーカーメーカーとして世界のベンチマークとなることを今後も目指していきます」
2014年以来となる半期の最高益を更新
コロナ禍前の2019年上半期は8億3480万ユーロだったが、2021年上半期の収益は13億2000万ユーロと大幅な増加を記録した。営業利益は1億7800万ユーロ、売上高利益率は過去最高の13%となっている。
半期の過去最高を更新するのは2014年以来。2014年は半期収益が8億8700万ユーロ、営業利益が9520万ユーロで、通年の営業利益もそれまでの過去最高となる1億7000万ユーロを記録したが、2021年は上半期だけでそれを上回る結果となった。
販売台数はすべてのグローバル市場で伸長し、地域差が縮小。中国は約10年ぶりに販売台数トップとなり、2155台を販売した。南北アメリカは中国に僅差の2049台、欧州は1142台と好調を維持している。
南北アメリカと欧州ではコンチネンタルGT スピードとベンテイガSへの期待が高く、両モデルとも今後数ヵ月以内の発売を予定。アジア太平洋地域は778台、ベントレーが本社を置く英国は554台で、中東・アフリカ・インドの521台をわずかに上回った。ディーラーネットワークも拡大し、現時点で世界67ヵ国に240店舗を展開している。
ベントレーにとって、2021年は9つのニューモデルが続々と導入される重要な1年となる。中でも、ベンテイガ ハイブリッドとフライングスパー ハイブリッドという2つのハイブリッドモデルは、ベントレーの『ビヨンド100』戦略における電動化の要となる車種だ。