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Electrified Jaguar XK120 By LUNAZ
電動化に加えてアップサイクル素材も導入

英国シルバーストンに本拠地を置くルナズは、様々なクラシックカーのレストアと電動化ビジネスを展開。クラシックカー用に独自の電動パワートレインを設計・開発・製造しており、世界中に多くのカスタマーを抱えている。
今回ルナズは、1952年製ジャガー XK120の電動バージョンを製作。6月15~16日にロンドンで開催された「コンクール・オン・サヴィル・ロウ」でカスタマーへと引き渡している。ルナズの創業者でありCEOを務めるデイビッド・ロレンツは、ジャガー XK120の電動バージョンについて次のようにコメントした。
「世界で最も貴重かつ有名なヒストリックカーに新たな命を与えることは、ルナズとお客様との親密な協力関係から生まれました。まさに“愛の労働”と呼ぶに相応しい作業でした」
「この美しいジャガー XK120の電動化により、新たな素材をベースにしたひとつのプロジェクトが完了しました。今回はアップサイクル(創造的再利用)を導入したことで、これらのクルマを楽しむことによる地球環境への影響を大幅に軽減する素材を使うことができました」
レザーの代わりに海洋汚染防止用素材を再利用

ジャガー XK120の電動バージョンは、この種のプロジェクトとしては非常に珍しい試みが導入されている。それは、アップサイクル(創造的再利用)素材の採用だった。
インテリアにはリアルレザーを使わず、海洋汚染防止用素材から再利用。カーペットはナイロン製漁業用網を再生して織られたものが採用され、カーペットの裏地にはペットボトルなどの海洋プラスチック汚染物質から再生されたものが使われている。
海洋廃棄物を再生する試みは、すでにファッション、高級家具、高級時計の世界でも成功を収めている。サステナブル(持続可能)な素材に対する世界的な需要は、海洋環境の改善に大きな影響をもたらしているという。ルナズは、アップサイクル素材の採用により、カーペット原材料1トンにつき原油7バレルを節約することが可能になった。つまり、7トン近くの二酸化炭素排出を削減したことになる。
ウッド素材はできる限りオリジナルから再生

ルナズのデザインディレクター、ジェン・ホロウェイを中心としたデザインチームは、特別なインテリアを作り出すため、これまでもカスタマーとの密接なコミュニケーションを取ってきた。今回のジャガー XK120にアップサイクル素材を導入するにあたり、視覚的な面や快適性にどのような違いがあるのか理解すべく、カスタマーは何度かルナズのシルバーストン・ファクトリーを訪れることになった。
綿密なディスカッションを重ね、特注のオブシディアンブルーのエクステリアカラーを惹きたてるべく、あえてレザーを一切使わないインテリアとすることを決定。この結果、テキスタイル、伝統的なウッド素材、アップサイクル素材を組み合わせた、美しいインテリアが完成した。
インストゥルメントパネルは、バーウォールナット材にサテンラッカーを施し、現代的な美しさを表現。可能な限り70年前の車両から材料を復元し、新しいパーツの製作を最小限に抑えている。
また、ルナズのエンジニアチームは、最新のインフォテインメントシステムとオーディオをさりげなく車両に組み込んだ。あえて目立たないように配置されたスクリーンには、Apple CarPlayがインストールされており、ドライブ中にナビゲーションシステムや音楽ストリーミングアプリを楽しめる。