磁性体を用いるダンパーシステム「マグネライド」が進化してキャデラックに搭載

キャデラック自慢のアシが「4.0」に進化! 減衰力を自在に可変するマグネライドは第4世代へ

The 2020 CT5-V features unique chassis, suspension and driving technology calibrations for an elevated road performance.
先進のサスペンションシステムとして定評のあるGMのマグネライドが4.0へと進化。エスカレードやCT4-V、CT5-Vの新規搭載される。

CT4-VとCT5-V、エスカレードに搭載

キャデラックは磁力を用いた減衰力可変ダンパーシステム「マグネライド」を第4世代の「4.0」に進化させ、CT4-V、CT5-V、CT5 スポーツ、そしてエスカレードに搭載すると発表した。従来システムに比べて、レスポンス速度を45%向上しているという。

マグネライドは「マグネティックライド」の略。ピストン内部に電磁コイルを備え、コイルに通電することで目に見えない粉体(微細な鉄球)を入れたオイルの磁性体を制御する仕組みだ。磁性体を整列させればオイルの流れは遮られ、粘性は高まる(=減衰力が高くなる)。

セヴィル STS以来、20年間進化を続けたマグネライド

マグネライド4.0のシステム解説
「マグネライド 4.0」は、センサーの処理速度を向上したり、慣性測定装置を搭載したり、ダンパー内の摩擦係数を減らすなどして、全体的なフィーリングや応答性を一段と進化させた。

システムにはホイールハブに備えた加速度計を用い、1000分の1秒単位で路面状況を読み取っては減衰力を連続的に可変させる。オリフィスやポートの開閉でオイル流量を機械的に調整するよりも応答性に優れ、動きもスムーズという利点がある。

キャデラックはこのマグネライドシステムを、2002年のセヴィル STSに初搭載している。以来、20年の時をかけて第4世代までアップデートを続けてきた。

測定センサーや制御装置を最新にアップデート

マグネライド4.0のシステム解説
マグネライドの概念図。ショックアブソーバーのピストン内、黄色でハイライトした部分が磁性流体の経路。

最新の「4.0」には、まったく新しいホイールハブ加速度計を採用し、路面状況の処理を従来比で4倍高速化。より自然でスムーズな減衰を実現している。さらに、ボディの動きをより正確に測る慣性測定装置により、激しいブレーキングやハードコーナリングなど、厳しい状況下での緻密な測算を可能とした。

オイルの温度管理も改善。磁束(磁気の束)を制御する装置も搭載し、伸び・縮み両方向共により正確で一貫したボディコントロールを実現している。また、ダンパー内の摩擦も低減。全体的にスムーズな減衰を実現するとともに、走行モード毎の違いがはっきりとチューニングできるようになった。

北米で販売するCT4-V、及びCT5-Vの2021年モデルには「マグネライド 4.0」を全車に搭載。エスカレードの「スポーツ」グレードと「プラチナム」にも標準装着する。日本市場への導入については現時点では明らかにされていない。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…