2021年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第7戦レポート

全日本SF選手権2021をプレイバック! 最終第7戦までもつれこんだチームタイトルの行方 【2021年 第7戦】

全日本スーパーフォーミュラ選手権 2021 第7戦のレースシーン
全日本スーパーフォーミュラ選手権 2021 第7戦のレースシーン。
2021年10月30日、31日に開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦。舞台は国内最高峰のグランプリサーキット、鈴鹿。注目は最終戦までもつれこんだチームタイトルと、今年度もっとも活躍した新人に与えられる「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」の行方だ。2021年のスーパーフォーミュラ、その総決算を、現役女性レーシングドライバーの三浦 愛選手がレポート。

注目はチームタイトルとルーキー・オブ・ザ・イヤー

GENROQ Web 読者の皆様、こんにちは!レーシングドライバーの三浦愛です。遂に「2021全日本スーパーフォーミュラ選手権」も最終戦を迎えました!

前大会にてドライバーズチャンピオンは野尻智紀選手が獲得していますが、熾烈なチームタイトル争いに加えルーキー・オブ・ザ・イヤーを賭けたルーキーたちの奮闘は最終戦までもつれ込むこととなりました。時は10月30日(土)~31日(日)、前大会から間もなく2週間後に第20回JAFグランプリとして鈴鹿サーキットで開催されました。

予選トップの松下選手が無念のフライング

晴天の下、予選ではホンダ勢のスピードが際立ちました。チームタイトルの主役でもあるcarenex TEAM IMPULの2台はまさかのQ2敗退。ポールポジションを獲得したのは、嬉しい初ポールとなった#51 B-MAX RACING TEAM 松下信治選手です。2番手の#64 TCS NAKAJIMA RACING 大湯都史樹選手に0.2秒もの差をつける圧倒的な速さでした。

そして、3番手にはチームランキングをリードするDOCOMO DANDELION RACINGのエースドライバー#5 福住仁嶺選手。第2戦の鈴鹿大会ではポールポジションを獲得しています。4番手には、#16 TEAM MUGEN 王者 野尻智紀選手。5番手には、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙う#37 Kuo VANTELIN TEAM TOM’S 宮田莉朋選手。6番手には、#6 DOCOMO DANDELION RACING 牧野任祐選手がつけました。DOCOMO DANDELION RACING は、昨年、山本尚貴選手をドライバーズチャンピオンに導いた名門チームですが、今年も2台揃って好位置からのスタートを決め他チームを圧倒するチーム力を見せつけました。

いよいよ今シーズン最後のレース。ドライバーもチームスタッフもオフィシャルもファンの皆さんも、皆がそれぞれに色んな想いを持って挑み、見守りました。そして、たくさんのドラマが待っていました。まず、ホールショットを決めたのはポールポジションからスタートした松下信治選手・・・だったのですが、まさかまさかのスタート手順違反、ジャンプスタート(フライング)の判定が下されドライブスルーペナルティとなってしまいました。念願の初優勝を目前に・・・神様が試練を与えたのでしょうか。

トップチェッカーは福住選手! 2位は平川選手がゲット

そんな裁定が出る中、素晴らしいバトルを見せてくれたのが大湯都史樹選手と野尻智紀選手。手に汗握る数十秒間のサイドバイサイドは真の一流と言えるプロレースでした。ホンダの先輩後輩対決は、先輩でありチャンピオンの貫禄を見せつけた野尻智紀選手に軍配が上がりました。

そして、最終戦のウィナーに輝いたのは、福住仁嶺選手! スタートから終始落ち着いたレース運びで今季2勝目を果たしました。彼にとって2021年は、本来の実力を結果で示すことのできたステップアップのシーズンだったのではないでしょうか。2位に入ったのは、なんと9番手スタートの#20 carenex TEAM IMPUL 平川 亮選手! 唯一、福住選手にプレッシャーをかけ追い詰める存在となり、チームタイトル争いの直接バトルを見せてくれました。そして、野尻智紀選手が3位表彰台を獲得し、ふたを開けてみればチームランキングTOP3のドライバーたちが最終戦の表彰台を独占していました。

熱い走りを見せた関口選手とルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた大津選手

そしてそして、ある意味このレースの主役と言えるのが、4位でチェッカーを受けた#19 carenex TEAM IMPUL 関口雄飛選手です! 14番手スタートの関口選手は、タイヤを温存しながらも雑巾を絞るように巧みな走りで毎ラップ0.1秒を削り取り、今持てる最大限の力で無事チェッカーまでマシンを運んだことにより、見事carenex TEAM IMPULの11年ぶり8度目のチームタイトル獲得に貢献しました。まさにチーム力。

2ポイント差でDOCOMO DANDELION RACINGがチームランキング2位となりました。そして、前大会のもてぎでポールトゥウィンの初優勝を飾り勢いそのままに最終戦では5位入賞を果たした#15 Red Bull MUGEN Team Goh 大津弘樹選手がルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。ドライバーズランキングは、チャンピオン#16 野尻智紀選手、2位#5 福住仁嶺選手、3位#19 関口雄飛選手となりました。

2021年のチームタイトルはcarenex TEAM IMPULの手に

チームタイトルを獲得したcarenex TEAM IMPULの星野一義監督は「作戦なんてあるようで無いもの。プロフェッショナルなチームとして、何が来ても対応できるよう準備していた。うちに来るやつ(ドライバー)は不良が多い(笑)。でも磨けば光るやつたちばかり。レースの世界はイカれてていいと思う。今年は2位と4位ばかりだったけど、すごく内容の良いレースばかりだった。チーム全員に感謝、ありがとう!」と会見で締め括りました。

三浦 愛のSFレポート2年目の今シーズンも最後までお付き合いいただきありがとうございました! どの世界でもその道の一流になるため極めようと切磋琢磨し、ワンチームで目標に向かい挑む姿は本当に美しい。

本音を言えば、自分もココ(SF)で戦いたいという想いを持ち現役でいる以上、サーキットで輝くドライバーたちを見て羨む気持ちや悔しさはもちろんありましたが、全日本スーパーフォーミュラ選手権という素晴らしいレースに携われたこと、そして読者の皆様へその魅力を伝える機会をいただけたことに感謝します。来シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権、そして三浦 愛のレース活動を引き続き応援していただけると嬉しいです。本当にありがとうございました!

REPORT/三浦 愛(Ai MIURA)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【プロフィール】
三浦 愛
12歳よりレーシングカートで数多の勝利を重ね、FIAソーラーカーレースでの優勝も経験。2001年のSL名阪 最終戦 FP3-Fクラスでの優勝を皮切りに、Rotax Maxなどでの参戦を経て2011年にはスーパーFJのシートを獲得し、フォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などでも優勝を果たしている。

【関連リンク】
・全日本スーパーフォーミュラ選手権 公式サイト
https://superformula.net/sf2/

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