SUV、セダン、バンまで勢揃いしたメルセデス・ベンツのBEV6台早わかり 【前編】

メルセデス・ベンツの電気自動車「EQ」ファミリー総まとめ。自分にぴったりな1台はどれだ!? 【EQA/EQB/EQC編】

メルセデス・ベンツのEQファミリー
メルセデス・ベンツのEQファミリー.
メルセデス・ベンツのバッテリー式電気自動車(BEV)ファミリー、「EQ」シリーズが急ピッチでラインナップを拡大している。日本未導入のモデルも含めると、販売を開始しているのが6モデル。間もなくデビュー予定の新型車も続々控えている。では、それぞれどんな特徴をもっているのか。各モデルのポイントをまとめてみたい。まずは前編として、EQA/EQB/EQCを解説する。

EQA

メルセデスのエントリーEVは日本の道にぴったりの小型SUV

EQファミリーの末っ子、EQAは2022年4月に日本で販売をスタート。小型SUVのGLAをベースにしたピュアEVで、全長4465×全幅1835×全高1625mmというボディディメンションはトヨタ RAV4やホンダ CR-Vに近い。

本国では4WD仕様も用意するが、日本に導入されているのは前輪駆動モデルの「EQA 250」のみ。最高出力190ps/最大トルク370Nmという力強いパワースペックは、ガソリンの「GLA 180」、ディーゼルの「GLA 200d」を軽く上回る。

前後アクスル間に搭載するのは容量66.5kWhのリチウムイオンバッテリーで、航続距離は423km。400km以上の航続距離があると、ちょっとした遠出も心の余裕をもって出掛けられる実感がある。

EQA最大の特徴は、なんといっても「GLAとほとんど変わらない使い勝手」。コクピット周りやキャビン、荷室の風景はいつも通りのメルセデス・ベンツで、「内燃機関からBEVへ」をとりわけ意識せずに乗り換えることができる。普段の生活にするりと馴染むEQAは、電気自動車入門におあつらえ向きな1台といえそうだ。

SPECIFICATIONS

メルセデス・ベンツ EQA 250

ボディサイズ:全長4465 全幅1835 全高1610mm
ホイールベース:2730mm
最低地上高:200mm
ラゲッジスペース(VDA方式):340〜1320リットル
車両重量:1990kg
電気モーター:非同期モーター×1
モーター最高出力:140kW(190ps)
モーター最大トルク:370Nm(37.7kgm)
バッテリー容量:66.5kWh
トランスミッション:1速固定
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:前後235/55R18
航続距離:410km(WLTCモード)
0-100km/h加速:8.9秒
最高速度:160km/h
車両本体価格(税込):640万円

EQB

3列シートを詰め込んだライバル不在な実用派コンパクトSUV

EQAの兄貴分にあたるEQBは、2022年7月14日に日本導入を開始した。前輪駆動の「250」と「350 4マティック」の2グレードをラインナップし、車両価格は788万〜870万円。日本で大変な人気を集めているGLBのピュアEV版とあり、注目度は非常に高い。

EQBはGLBと同様、スクエアなフォルムが生み出すルーミーな空間に最大7人分のシートをレイアウトする。全長4.6mクラスのSUVで3列シートを選べるBEVというのは、現在のところ日本に競合が見つからない。

自在にシートアレンジができるのはもちろん、2列目・3列目に合計4つのチャイルドシートを設置することも可能。3列目は安全を考慮して身長165cmまでの乗員を対象としているが、USB-Cポートを左右にひとつずつ装備するなど、使い勝手面に細かく配慮している。

搭載するリチウムイオンバッテリーの容量はEQAと同じ66.5kWhだが、こちらの航続距離は最大520kmと更に長い(4輪駆動モデルは468km)。アレンジ幅の広いキャビン空間もあいまって、大物のショッピングやレジャー、お子様の送迎まで幅広いシーンでの活躍が見込める1台だ。

SPECIFICATIONS

メルセデス・ベンツ EQB 350 4マティック

ボディサイズ:全長4685 全幅1835 全高1705mm
ホイールベース:2830mm
最低地上高:205mm
ラゲッジスペース(VDA方式):110〜1620リットル
車両重量:2160kg
バッテリー容量:66.5kWh
最高出力:215kW
最大トルク:520Nm
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
駆動方式:4WD
0-100km/h加速:6.2秒
最高速度:160km/h
航続距離(WLTP):468km
車両本体価格(税込):870万円

EQC

メルセデスの最量販車種GLCの電気自動車版

2019年に「初のメルセデス製BEV」として日本導入をスタートしたEQC。同社のベストセラーモデルであるGLCとプラットフォームを共有する、ミドルクラスのプレミアム電動SUVだ。

日本で買えるのは、前後アクスルにモーターを装備する4輪駆動モデルのみ。内外装の見た目はあくまでGLCに近いのだが、システム最高出力は408ps、最大トルクが765Nmという怪力を誇る。GLCのAMGモデル「43」の390ps/520Nmよりもずっとパワフル&トルキーなのである。

全長約4.8mのボディに5人分のシートをレイアウトした広大な室内空間には、モーター駆動ならではの静かな走りとあいまって、ひとつ上のクラス感が生まれている。サスペンションのしつけもソフトで上質だから、SUVというよりはフラッグシップサルーンを思わせる乗り味を提供する。

「電気だ!」「未来だ!」ということをことさら前面に出さず、あくまでGLCの延長線上にいるEQCは、等身大のプレミアムSUVとして違和感なく日常に馴染んでくれる。

SPECIFICATIONS

メルセデス・ベンツ EQC 400 4MATIC

ボディサイズ:全長4770 全幅1885 全高1625mm
ホイールベース:2875mm
最低地上高:160mm
ラゲッジスペース(VDA方式):550〜1600リットル
車両重量:2875kg
電気モーター:非同期モーター×2
最高出力:300kW(408ps)
最大トルク:765Nm
駆動方式:4WD
バッテリー:リチウムイオン
バッテリー容量:80kWh
サスペンション:前4リンク 後マルチリンク
最高速度:180km/h
0 – 100km/h加速:5.1秒
航続距離(WLTP):400km
車両本体価格(税込):960万円

EV入門におあつらえむきの三兄弟

EQA、EQB、EQCとSUV三兄弟が揃い踏みしたメルセデスのBEV。サイズは違えど、いずれも内燃機関から違和感なくスイッチできる“橋渡し”的な魅力をもつ点で共通している。定評のあるメルセデス・ベンツのサービス体制や、電気自動車専用の保証プログラムも「最初の一歩」を踏み出す安心材料になるはず。そういう意味で、この3車はEV入門におあつらえむきのモデルといえる。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…