停滞するグローバル市場の中、ポルシェが日本市場で最高記録

2022年前半、グローバル市場におけるポルシェの新規登録台数は減少するも、日本市場では上半期過去最高を記録

2022年前半の登録台数中、約35%を担ったポルシェの大黒柱カイエン。今年、誕生から20周年を迎えた。
2022年前半の登録台数中、約35%を担ったポルシェの大黒柱カイエン。今年、誕生から20周年を迎えた。
コロナ禍以降、産業の米と言われる半導体が世界的に不足し、ロシアとウクライナによる戦争もあって、輸送費高騰に歯止めがかからないなど世界経済の停滞が続いている。その煽りを受けて、ポルシェの2022年前半の登録台数も5%の減少となった。一方で日本市場は過去最高の成長を遂げた。

欧州市場で前年比7%増もUSおよび中国市場で減速

ポルシェのアイコンであり、全スポーツカーの指標とも言える911。2022年前半の登録台数は718ケイマン/ボクスターを上回った。
ポルシェのアイコンであり、全スポーツカーの指標とも言える911。2022年前半の登録台数は718ケイマン/ボクスターを上回った。

コロナ禍、半導体不足、戦争による物流の混乱によって、ポルシェの2022年前半のデリバリーは前年比5%減の14万5860台であった。欧州市場では堅調だったが、特にUSおよび中国市場で10%以上も下落したことが響いた。

欧州市場は4万3087台で対前年比7%増、ドイツ市場において1万3785台で5%増だったものの、アメリカ市場が物流の混乱もあって低調で4万528台で8%減、US市場が3万2529台で10%減に終わったため、欧州市場とアメリカ市場の台数が逆転した。さらにポルシェ登録台数の30%超という最大市場である中国市場が長期にわたるロックダウンの影響もあって、US市場と同程度の4万681台で16%減となり大きな減速となった。それでも、中国市場におけるプレミアム/ラグジュアリーセグメントにおける減少は23%なので、市場平均よりダメージは少ないという。

日本市場では過去最高の新規登録台数を記録

一方で中国を含むアジアパシフィック、アフリカ、中東市場では6万2245台でやはり10%減となったとはいえ、中国での台数減を考えれば、その他地域では、むしろ登録台数を伸ばしている。日本市場においても登録台数は過去最高の4068台で、4%増を記録したという。

特に昨年開設した「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」はポルシェのブランド体験施設としてブランドイメージ向上に寄与しており、昨年10月のオープン以来、今年6月末までに1万8046人もの来場者を迎えているという。ポルシェオーナーに限らず誰でも利用可能なブランド体験施設であることでさらなるファンを獲得しているという。

根強い人気のSUVモデルがおよそ半分を占める

ポルシェのフルラインナップ。スポーツカーからSUV、サルーン、BEVと多彩。
ポルシェのフルラインナップ。スポーツカーからSUV、サルーン、BEVと多彩。

モデル別ではやはりSUVが根強い需要を保ち、特にカイエンは4万1947台が登録された。それにマカンが続き3万8039台が登録された。スポーツカーのアイコンである911は、世界中の2万1616人で、ポルシェ初のBEVとなるタイカンは特にサプライチェーンの停滞の影響を受けたため1万8877台に留まった。パナメーラは1万5604台、718ボクスター/ケイマンは9777台だった。

SUVモデルがポルシェの登録台数の半分を担うようになって久しいが、それでも911が存在感のある台数を維持しているのは注目に値するだろう。今後も世界経済の急速な回復は見込めない。自動車メーカー各社の生き残りをかけた施策が注目される。

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