どちらがお得? VWポロとルノー ルーテシア「ザ・ベーシック」対決【使い勝手/安全性/価格編】

ポロ対ルーテシア、真っ向勝負の行方「使える」&「楽しめる」実力派の輸入コンパクトを徹底比較【使い勝手/安全性/価格編】

フォルクスワーゲン ポロとルノー ルーテシア
2022年6月にマイナーチェンジを敢行したフォルクスワーゲン ポロ(写真上)は、日本でも輸入車新車販売ランキングでトップ10入りの常連。対するルノー ルーテシア(同下)は、ヨーロッパにおいて2013年から8年連続でサブコンパクトカー販売台数1位を記録している。
マイナーチェンジを受けたばかりのフォルクスワーゲン ポロ。そして、先ごろハイブリッドモデルを追加したルノー ルーテシア。ドイツとフランスが放つ最新輸入コンパクト2台は、それぞれどんな美点をもっているのだろうか。ボディサイズやパワートレインに焦点をあてた前編に続き、後編では使い勝手、安全性、価格を比べる。

仕立ての良いポロとドライバーオリエンテッドなルーテシア

ポロのシンプル志向は室内にも貫かれている。ドライバーの正面に10.25インチ、ダッシュボード中央に9.2インチのディスプレイを備えたコクピット周りは、きわめて整然とした風情。タイプCのUSBポートやワイヤレスチャージング機能付き収納トレイ、スマホと連携できるコネクト機能などを全車標準装備とし、最新ガジェットをストレスなく使用できる環境が整っている。

また、高級なスーツのように折り目正しく、細部までパリっと仕上げられた仕立ての良さもポロの魅力。ステアリングの取り付けも、アームレストの建て付けも、どこもかしこもがっしりしているし、スイッチやボタンの合わせも美しい。これらすべてが組み合わされた結果、ポロの車内には“良いクルマ感”が全体に漂っている。

“スマートコクピット”というキーワードのもとに開発されたルーテシアのインテリアにも、昨今主流の“メーター+センターの2枚ディスプレイ方式”が採用されている。なお、こちらのディスプレイはメーター、センターともに7インチ。やはり、スマホと連携できるミラーリング機能やUSB-Cポートを標準装備する。

ルーテシアは、センターディスプレイが運転席側に傾けて配置されていたり、エアコンの操作系が大きめのダイヤル方式だったり、ハザード類など必要なスイッチ類が手の届きやすい位置に置かれていたりと、よりドライバーオリエンテッドな作りとなっているのが特徴。ステアリングヒーターも全車に搭載するなど、ドライバーに優しい視線が注がれている。

先進安全運転支援機能はいずれも充実

ポロは今回のマイナーチェンジにより、パサートやアルテオン、ティグアンといった上級モデル同等の先進安全運転支援機能(ADAS)を導入した。同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」、そしてLEDマトリックスヘッドライト「IQ. LIGHT」は長距離・夜間のドライブにおける安全性を向上。また、車線変更時に死角から迫る障害物を検知しステアリング操作を補正するレーンチェンジアシストシステムや、前進/後退に対応する被害衝突軽減ブレーキ、衝突後の二次被害を軽減するポストコリジョンブレーキシステムなども用意している。

ルーテシアも同一車線内全車速運転支援システムをはじめ、衝突被害軽減ブレーキ、ブラインドスポットワーニング、標識認識機能といった最新のADASを積極採用。マトリックス方式ではないものの、ヘッドライトは全車LEDで、ハイ/ローの自動切り替え機能も標準装備である。

なお、ポロ、ルーテシアともにユーロNCAPで最高評価の5つ星を獲得している。

価格帯も両車拮抗

全方位でベーシックカーのレベルを底上げするポロ。コンパクトカーにも「らしさ」を貫くルーテシア。“大衆性 vs 個性”ともいえるこの対決、最後に気になる価格を比べてみたい。

現状、日本におけるポロは装備違いで4グレードをラインナップ。エントリーモデルの「Active Basic」が257万2000円で、専用のスポーツシートやスポーツサスペンション、17インチホイールなどを備える最上級装備の「R-Line」は329万9000円となっている。

ルーテシアも、ガソリン、ハイブリッドそれぞれに装備違いをラインナップし、合計4グレードの構成。エントリーの「インテンス」が266万9000円。ハイブリッドは装備違いの2グレードが存在し、ベースモデルが329万円、上級装備の「レザーバック」が344万円となる。

ハイブリッドは一見割高にも思われるが、エコカー減税(自動車重量税:100%減税)、および環境性能割の対象車であり、節約できる燃料代も考慮すれば絶妙な価格帯といえる。

ポロ対ルーテシアの一番勝負は、プライスレンジで見ても、大変な拮抗ぶりを見せた。決して尖ったところはないけれど、最新最良のベーシックコンパクトのカタチを実現しているという意味で、いまや“ポストゴルフ”的な立ち位置となったポロ。ちょっとクセはあるものの、見た目と走りにフレンチカーとしての矜持を色濃く感じさせるルーテシア。嬉しくも悩ましい選択だが、ルノー独自のハイブリッドがもたらす「走り」は大きなアドバンテージのひとつとなりそうだ。

フォルクスワーゲン ポロとルノー ルーテシアのフロントビュー

ポロとルーテシア、選ぶべきはどっち? 「使える」&「楽しめる」実力派の輸入コンパクトを徹底比較【ボディサイズ/パワートレイン編】

2022年6月、マイナーチェンジを受けたフォルクスワーゲン ポロが発売された。内外装の化粧直…

1.6リッター直4エンジンとメインモーターのシステム出力は140ps。加速は数値から想像する期待よりも上だ。

ルノーの新看板モデルとなるか?「ルーテシアE-TECHハイブリッド」から始まる輸入車ナンバーワン燃費ブランドへの道

ルノー初のフルハイブリッド車、アルカナ。そのアルカナが搭載するE-TECHハイブリッドシステ…

キーワードで検索する

著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…