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Aston Martin DBR22
選ばれしオーナーに向けて少量生産を予定
DBR22 デザインコンセプトは、限られたカスタマーのために特別な1台を製作してきた「Q by Aston Martin」の創立10周年モデルとして製作。これまでも「Q by Aston Martin」は、ワンオフモデルの「ヴィクター(Victor)」、24台限定の「ヴァルカン(Vulcan)」、14台限定の「ヴァンテージ V600(Vantage V600)」などを手掛けており、DBR22もごく限られたカスタマーを対象に製造されるフューオフモデルとなる予定だ。
DBR22は、コーチビルディングの古典的な手法と先進的な素材、最先端の製造技術を組み合わせることで、デザインの純粋さ、エンジニアリングの精度、心を昂ぶらせるパフォーマンス、そして真の情熱を完璧に融合させた。さらに、109年にわたるアストンマーティンの歴史の中で、もっとも希少な1台となることが約束されている。
アストンマーティン・チーフ・クリエイティブ・オフィサーのマレク・ライヒマンは、DBR22について次のようにコメントした。
「DBR22の開発においては、デザイン作業を異次元のレベルに引き上げ、徹底的に形状を突き詰め、未来のフォルムを現在に表現することを目指しました。その過程で究極のボディサーフェイスやプロポーションが形づくられました。このアプローチを先進のテクノロジーや素材と組み合わせることで、レースの血脈を現代に蘇らせた新たな存在を生み出すことに成功しと感がています。DBR22はスピードや俊敏性を持ち合わせた、純粋なアストンマーティン製スポーツカーであり、将来的に多くのアイコンモデルの基盤となるでしょう」
DBR1やDB3Sからのインスピレーション
クラシカルなプロポーションと筋肉質な曲線を備えたDBR22のエクステリアは、アストンマーティンが持つ輝かしい伝統を表現。DBR1やDB3Sといった、2シーター・オープンコクピット・スポーツカーを送り出してきたアストンマーティンの長い歴史の延長線上に存在し、様々なテーマが新たな解釈で表現されている。
アストンマーティンのデザイナーは、彫刻的で筋肉質な存在感を作り出すため、最小数のボディパネルからDBR22を構成した。その結果、ドラマチックでエレガントなスタイルがシームレスに結合し、非常にユニークなデザインエレメントを持つボディが完成している。
フロントセクションにはアストンマーティンの量産モデルとは異なる、カーボンファイバーを活用した斬新なグリルを採用。このデザインもDBR1とDB3Sからインスピレーションを得ており、このモデルのユニークなアイデンティティとなっている。
ボンネットには、5.2リッターV12ツインターボエンジン用のエアフローを確保するため、印象的なU字形のベントを設置。長いボンネットラインは、低いウインドディフレクターや繊細なミラーを通して、見る人の目をコクピットへと引きつける効果が与えられている。ミラーは風の抵抗を受けにくいスリムなカーボンファイバー製アームを介して、ドアパネル上部に取り付けられた。
足元には新デザインの21インチ・アロイホイールを装着。DBR22用として新設計されたユニークなデザインを持つ軽量14スポークホイールは、モータースポーツ由来のセンターロックを備えており、多様なカラーパレットから好きな色を選択することができる。 また、DBR22は「Q by Aston Martin」が展開するPaint to Sampleを活用し、特注のボディカラーにペイントすることも可能となっている。
レーシーでありながらも快適な室内空間
コクピットは、レザーやネイキッドカーボンを幅広く使用。クラシカルな佇まいと、現代的なアプローチが融合した美しいインテリアが作り出された。新たにデザインされたダッシュボードとスリムなインフォテインメントディスプレイは、クリーンで整然とした雰囲気を醸し出している。
レーシングカーからインスピレーションを得たが、快適性も重視している。現代的なダッシュボードやカーボンファイバー製パフォーマンスシートは、しなやかで独特の香りを放つレザーが採用された。シート後部には、ドライバーとパッセンジャーの後方に生まれるエアフローを整流するため、レーシーなナセルが左右に設置されている。
リヤセクションは、専用設計されたスリムで幅広い水平基調のライトストリップを採用した。その下には、熱を後方に排出するためのパーフォレーテッドデザインのパネルも設置。この美しく彫刻的なパーツは、スムーズに統合されたディフューザーと2基の大径エキゾースト・テールパイプにより、リヤセクションに独特の個性を与えている。
3Dプリンタで製造されたリヤサブフレームを採用
パワフルな5.2リッターV型12気筒ツインターボエンジンは、最高出力715ps、最大トルク753Nmを発揮。0-60mph(0-96km/h)加速はわずか3.4秒、最高速度は319km/hというスペックを誇る。強大なトルクを最大限に活用すべく、パドルシフト付き8速ATが採用されている。
DBR22はドライバーとマシンの一体感を高めることを目標に掲げており、シャシーは優れた精度、俊敏性、走行フィールを実現するように設計。固定式ステアリングコラムは高い精度を実現し、路面からの精細なフィードバックを提供する。
フロントとリヤに採用されたシアーパネルは、ねじり剛性を高め、専用セッティングが施されたアダプティブ・ダンパーは、優れたボディコントロールと洗練された走りを実現。これにより、DBR22は公道でもサーキットでも至高のドライビングプレジャーをドライバーに提供する。
DBR22は、3Dプリンタを活用したリヤサブフレームを採用している。アストンマーティンが、3Dプリンタ技術を採用するのはDBR22が初となる。大幅な軽量化と剛性をもたらすリヤサブフレームは、アルミニウム素材に3Dプリントで製作された複数のパーツを接着して製造。3Dプリント技術の導入により、少量生産モデル用の特別なパーツを製造することが可能になった。
アストンマーティン・チーフ・テクニカル・オフィサーのロベルト・フェデリは、DBR22の技術的革新について次のように説明する。
「DBR22の開発においては、テクノロジーが決定的に重要な要素となりました。私たちは、カーボンファイバーを多用し、また構造部品の製造に3Dプリンタを導入しました。今回、ワールドクラスのデザインとエンジニアリングに、インテリジェントな製造アプローチを組み合わせています。DBR22はその開発作業においても、スタイルに見合うダイナミックなキャラクターが反映されています。その走りは、必ずステアリングを握ったドライバーを虜にするでしょう」
DBR22は、8月19日から8月21日にかけて開催される「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」において、公開展示される。