ランクルとLXのラグジュアリーSUV同門対決の行方

ランドクルーザーGRスポーツとレクサスLX600の同門対決! 出自は同じでも意外と違う豪華SUVを徹底比較

今回の比較試乗はレクサスLXが「オフロード」で、ランクルが「GRスポーツ」。どちらも悪路性能を高めたグレードだったことが興味深い。
今回の比較試乗はレクサスLXが「オフロード」で、ランクルが「GRスポーツ」。どちらも悪路性能を高めたグレードだったことが興味深い。
昨年、新たなGA-Fプラットフォームを採用して登場したランドクルーザー300系。対するはランクルをベースに圧倒的な高級感をその身に纏うレクサスLX600。タフネスとラグジュアリーという対照的な2台はどのような個性を見せてくれたのか。

Toyota Land Cruiser GR Sport
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Lexus LX600 Offroad

エンジン共通だが、それ以外の作り分けは高度化・繊細化

今さら説明するまでもないだろうが、LXは日本が世界に誇る最強オフローダーの1台であるトヨタ・ランドクルーザー(ランクル)と基本構造を共有するレクサスの最上級SUVである。レクサスが仮想敵とするジャーマンスリーの上級SUVは、モノコックボディの乗用車設計が主流だが、レクサスはちょっと違う。唯一メルセデスGクラスはLXに近いが、同社にはそれとは別にGLSという乗用設計SUVをきっちりと用意する。

かつてのLXは外装の一部デザインだけを変えるランクルのバッジエンジニアリングの域を出なかったが、先代にあたるLX570では、内外装デザインを別物にするとともに、エンジンも専用化していた。同じUR系のV8ながら、排気量がランクルの4.6リッターに対して、LXは車名どおりの5.7リッターだった。

4代目となる最新のLXは「史上初めてプラットフォーム設計段階からレクサスの要件を入れ込んで開発」されたといい、ランクルとの違いをさらに際立たせて、明確に差別化することが最大のコンセプトらしい。にもかかわらず、3.5リッターV6ターボをランクルと共有せざるを得なかったのは、厳しさを増す排ガスや騒音規制の影響だろう。逆にいうと、専用エンジンが搭載できなかったことで、それ以外の部分の作り分けはより高度化・繊細化している。

この2台なら本気で命を預けられる

その大きなポイントは2つある。ひとつがサスペンションで、基本形式こそ両車で共通だが、LXが空気バネと油圧回路を一体化したアクティブハイトコントロール(AHC)サスペンションと連続可変ダンパーを全車標準装備するのに対して、ランクルは全車コイルバネとなる。先代ではランクルにもAHC搭載グレードがあったのだが、新型ではサスペンションを両車で完全に使い分けることも差別化のひとつとした。

もうひとつがパワステだ。ランクルが信頼性を最重視して伝統の油圧式をベースにしつつ、補助的に電動式を追加しているが、LXのそれは純粋な電動式である。電動パワステは操舵感がよりスッキリするのがメリットであるものの、油圧ほどの長い歴史による信頼性の証明はない。とはいえ、普通に考えればLXの電動パワステが壊れる状況というのも想像しにくいが、それだけランクルの信頼性基準が高いのだ。

それ以外にも、内外装デザインはランクルとLXそれぞれでさらに先鋭化させている。また、静粛対策は当然のごとく、LXで先代以上に入念になっているという。

というわけで、今回改めてLXとランクルを連れ出した。興味深いのはLXの試乗車が「オフロード」、ランクルのそれが「GRスポーツ」と、どちらも悪路性能を高めたグレードだったことだ。そもそもこういうグレードが存在すること自体、LXが他の高級SUVと一線を画するところである。GRを冠する最上級のスポーツグレードが、舗装路ではなく悪路に特化した商品で成立するのはランクルならでは・・・だ。

たしかに装備や質感などに差はある

改めて乗り比べると、「すっきり奥深い走り」を標榜するレクサスのLXはなんとも繊細に調律されている。例えば電動パワステの操舵感は、ランクルより小径のステアリングホイールともども、より軽く洗練されている。また、エンジンも基本性能値は同じなのだが、スロットル特性はそれぞれ独自のセッティングとなっている。実際、LXは低速からスルルーッと水平のまま加速していく。これはLXにショーファー用途も想定したグレードもあるからだろう。対して、ランクルはアクセルを多めに踏むと、ノーズを持ち上げながらもグワッと強力なダッシュ力が頼もしい。LXより明確に耳に届くエンジン音とともに、迫力はあるがちょっとガサツでもある。

ランクルのなかでも今回のGRスポーツは可変ダンパーも備えており、18インチ同士の比較となった今回の試乗では、乗り心地の違いは思ったより小さかった。もちろん、LXのほうが舗装路でもより滑らかな路面感覚で、ロードノイズも明らかに静かだが、GRスポーツのしなやかな乗り心地も悪くなかった。

また、山道に乗り入れると、LXの18インチタイヤが頼りなく感じてしまうシーンもあった。以前にも書いたが、LXのフットワークは標準の20インチ、そして専用開発タイヤの22インチタイヤを基準に開発されている。、舗装路メインに乗るなら20〜22インチを履く標準モデルや「エグゼクティブ」のほうが個人的にはオススメである。

LXとランクルが大切にしているものは

この2台には装備差、機能差、価格差はあるものの、過酷な場所で本気で生命を預けられる2台であることは間違いない。
この2台には装備差、機能差、価格差はあるものの、過酷な場所で本気で生命を預けられる2台であることは間違いない。

このようにLXは舗装路での快適性やスッキリした乗り味、そして静粛性にこだわっている。一方、ランクルは古典的な歯応えや手応え地を許容しつつ、LX以上の世界でもっとも高い信頼性・耐久性を確保しているわけだ。

・・・とはいいつつも、今回は同時に「血は争えない」という事実も、改めて思い知らされた。例えば基本的なドラポジや見晴らしが共通なのは当然としても、中央が低く切り欠かれてキッチリとつかめる車両感覚、運転席からはあくまで水平に見せ(ることで車体の傾きを直感でき)るダッシュボードなど、世界一の悪路性能と安全性や信頼性のために外せないポイントは、LXでも当然のごとく守られている。

今回の試乗個体でも約500万円の価格差があるLXとランクル。この2台には適性や質感、便利さ、存在感につながる装備差・機能差はあるものの、過酷な場所で本気で生命を預けるとしたら・・・選ぶのはやっぱりこの2台のどちらかだ。

REPORT/佐野弘宗(Hiromune SANO)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2022年10月号

SPECIFICATIONS

レクサスLX600オフロード

ボディサイズ:全長5100 全幅1990 全高1885mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:2580kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3444cc
最高出力:305kW(415ps)/5200rpm
最大トルク:650Nm(66.3kgm)/2000-3600rpm
トランスミッション:10速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後トレーリングリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後265/65R18
燃料消費率:8.1km/L(WLTCモード)
車両本体価格:1290万円

トヨタ・ランドクルーザーGRスポーツ(7人乗り)

ボディサイズ:全長4965 全幅1990 全高1925mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:2520kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3444cc
最高出力:305kW(415ps)/5200rpm
最大トルク:650Nm(66.3kgm)/2000-3600rpm
トランスミッション:10速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後トレーリングリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後265/65R18
燃料消費率:7.9km/L(WLTCモード)
車両本体価格:770万円

【問い合わせ】

レクサスインフォメーションデスク
TEL 0800-500-5577
https://www.lexus.jp

トヨタ自動車お客様相談センター
TEL 0800-700-7700
https://toyota.jp

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佐野弘宗 近影

佐野弘宗