新型「メルセデスAMG SL」はF1技術を導入した2.0リッター直4ターボを搭載

メルセデスAMGによって完全自社開発された新型「メルセデスAMG SL」が日本発売開始

メルセデスAMGにより独自開発され、2+2レイアウトを採用した新型「メルセデス AMG SL」。
メルセデスAMGにより独自開発され、2+2レイアウトを採用した新型「メルセデス AMG SL」。
メルセデス・ベンツ日本は、メルセデスAMGによって完全独自開発された新型ロードスター「メルセデスAMG SL」を発表した。発表会場は2010年にSLS AMGを発表した思い出の場所、グランドハイアット東京だ。全国のメルセデス・ベンツ正規販売店ネットワークを通じて、10月24日から日本での販売を開始する。

Mercedes-AMG SL

初代発表から70年を迎えた「SL」

初代300SLのデビューから70年を迎え、メルセデスAMGによる完全独自開発の「メルセデスAMG SL」に生まれ変わった。
初代300SLのデビューから70年を迎え、メルセデスAMGによる完全独自開発の「メルセデスAMG SL」に生まれ変わった。

「Super」と「Light(軽量)」を略した呼称を持つ「SL」は、1952年に公道を走行できるレーシングカーとして登場。ル・マン24時間レースで1-2フィニッシュを飾ったほか、世界各地のレースで輝かしい戦績を重ねた300SL(W194)をベースに、1954年には市販仕様の300SL(W198)がデビューを飾った。

初代300SLの誕生から70年を迎え、新型SLは、メルセデスAMGによる完全自社開発モデルとして生まれ変わった。SL専用の高剛性プラットフォームによる卓越したドライビングパフォーマンス、快適性を兼ね備えたドライバビリティ、2+2シートレイアウト、F1の技術を導入した新型2.0リッター直列4気筒ターボエンジンが採用された。

インテリアはアナログとデジタルを融合した「ハイパーアナログ」デザインを採用。300SLのデザインをオマージュしながら、ラグジュアリーかつ快適な空間を実現した。

パワードームなどSLの伝統を受け継いだデザイン

チーフデザインオフィサーのゴードン・ワグナーが入社25年で初めて手がけたという、新型SLのエクステリアデザインは、メルセデス・ベンツのデザイン基本思想である「センシュアル・ピュリティ(Sensual Purity:官能的純粋)」をベースに、AMGのスポーティな要素を採り入れた。ボンネットのパワードームなど、随所にSLの長い伝統を受け継ぐ特徴的な要素が引き継がれている。優れたデザインバランスにより、先代に比べて機能とスペースが拡大。また、スポーツカーとしての原点回帰を掲げており、これまでにない筋肉質なプロポーションもその特長となる。

2+2シートを収めるために拡大されたボディサイズは、自由にデザインできる余地をも広げることになった。長いホイールベースと短いオーバーハング、ブラックペイント仕上げのフレームを持つ大きく傾斜したウインドスクリーンにより、大型化されながらも、コンパクトかつ低く構えたエクステリアが完成した。

長いボンネットや後方に大きく下がったパッセンジャーコンパートメントなど、新型でもSL独自のプロポーションが採用された。あえてエッジを設けず、流れるようなフォルムを持つサーフェイスや、格納式シームレスドアハンドルなど、名車SLが持つ独特のスピリットを新たに解釈した。

300 SLをオマージュしたAMG専用グリル

近年のAMGモデルでお馴染み、縦型ルーバーを持つ専用グリルは、SLの始祖たる1952年製レーシングカー「300 SL」をオマージュしている。

ソフトトップを閉じると、軽やかなエクステリアをさらに強調。筋肉質なホイールアーチや、ボディ面に合わせて装着されたアルミホイールが、パワーとダイナミズムをアピールする。

パワフルでワイドなフロントセクションは、AMG専用フロントグリルが最大の特長となる。幅広のボトムラインと14本の垂直ルーバーは、1952年製レーシングカー「300 SL」から採り入れられたデザイン。このフロントグリルは近年、AMGのあらゆるモデルに採用されているが、新型SLでは立体形状となったほか、非常に低い位置に取り付けられたことで、ダイナミックなフォルムがさらに強調されている。

リヤセクションは、省スペース軽量型「Zフォールド」ソフトトップを採用。これにより全高を抑えたパワフルなデザインが実現した。アクティブに作動するリトラクタブルリヤスポイラーは、トランクリッドにシームレスな状態で組み込まれた。丸味が際立ったリヤエンドは、広いトレッドと合わせてワイドさを強調。また、スリムなLEDリヤコンビネーションランプのデザインは、ヘッドライトの形状に対応している。走行中でも60km/h以下なら15秒で開閉可能だ。

F1由来の電動ターボチャージャーを搭載

今回日本に導入される「SL 43」には、熟練のマイスターが手作業で丹念に組み上げた、2.0リッター直列4気筒「M139」ガソリンターボエンジンを搭載。スペックは最高出力381ps(280kW)、最大トルク480Nmを発揮する。

この M139には量産車としては世界初となる「エレクトリック・エキゾーストガス・ターボチャージャー」を採用。このターボチャージャーはF1由来の技術であり、メルセデスAMG・ペトロナスF1チームが、F1グランプリにおいて長年採用してきたシステムをベースとしている。

エレクトリック・エキゾーストガス・ターボチャージャーの電気モーターは厚さ約4cm、排気側タービンホイールと、吸気側コンプレッサーホイール間のターボチャージャー軸に一体化。このモーターが電子制御でターボチャージャー軸を直接駆動し、コンプレッサーホイールを加速する。この加速は、コンプレッサーホイールが通常のターボチャージャーと同じく、排気の流れによって駆動されるまで行われる。

これにより、アイドリングから、全エンジン回転域にわたって、レスポンススピードが大きく改善された。アクセル操作に対するエンジンのレスポンスがより自然になっただけでなく、今まで以上にダイナミックな走りが楽しめるようになった。さらにターボチャージャーの電動化は低回転域のトルクを高める効果をあり、アジリティや発進加速性能の向上にもつながったという。

ギヤボックスは従来SL 63にのみ搭載されていた「AMG スピードシフトMCT」9速DCTを採用。ステリングホイール裏側に配置されたアルミニウム製パドルを使ってシフトできる。駆動方式はRWD。0-100km/h加速4.9秒、最高速度275km/hという高いレベルの走行性能を実現した。

2+2レイアウトによるスペースの拡大

これまでの2シーター仕様から、後席を設けた2+2シーターレイアウトが復活。これを受けて、室内空間が大幅に拡大されている。

新型SLのコクピットは、初代「300 SL」ロードスターに始まる伝統を、現代に蘇らせたもの。上質なマテリアルと丹念なクラフトマンシップ、ディテールへのこだわりにより、ラグジュアリーなインテリアに仕上げられた。コクピットはセンターコンソールに配置された電動角度調整機能を備えたメディアディスプレイなど、ドライバー重視のデザインを採用。全体に調和の取れた空間を実現している。

初代300 SLロードスターは、ミニマリズムを極めた上質な室内デザインを持っており、今回の新型メルセデスAMG SLのデザインにも大きな影響を及ぼすことになった。今回、アナログ的幾何学フォルムとデジタル技術を融合された「ハイパーアナログ」と呼ばれるデザインが採用されている。たとえば、100%デジタル・コックピットディスプレイは、 立体的なバイザー内にぴったりとはめ込まれた。

今回、R129(1989年~2001年)以来となる2+2シートレイアウトが復活。リヤシートに着座できる乗員の身長は150cmまで(チャイルドシート装着時は135cmまで)。誰も座らない場合はリヤシート背後にドラフトストップを装着することで、室内に乱気流が侵入することを防ぐことができる。また、リヤシートはゴルフバッグなどを積み込むための、追加収納スペースとしても活用可能だ。

シームレスに組み込まれた大型ディスプレイ

12.3インチ液晶ディスプレイはメータークラスターのバイザー内に収められ、ナビなどを操作する11.9インチメディアディスプレイは、縦型に配置されている。

コクピットは左右対称形でありながら、明確にドライバー重視のデザインが採用された。12.3インチ液晶ディスプレイをバイザーの中に収めることで、日光の反射を防ぐ効果が与えられている。センターコンソールのNACAダクト形状はAMG GTやGT 4ドアクーペの遺伝子を受け継いでおり、典型的なAMGスタイルのインテリアデザイン。NACAダクトデザインは、ほぼ継ぎ目なく11.9インチ縦型メディアディスプレイへと流れていく。

センタークラスターのタッチ機能付ディスプレイは、ソフトトップ開放時に日光の差し込む向きが変わることで 生じる光の反射を防ぐため、傾きを電動で調整する機能を採用。メディアディスプレイは、SLの歴史へのオマージュとなる中央2基の上質なエアアウトレットに挟まれて、浮くように配置された。

ダッシュボードから続くデザインは室内全体を取り囲んでおり、左右のタービンノズルを越えて伸びていく。ドアセンターパネルは官能的なレイヤードフォルムとしてデザインされた。インナーグリップもセンターコンソールと同様のテイストでデザイン。ドアに内蔵されたリアルメタルの「BurmesterR」サラウンドサウンドシステムのスピーカーも、パーフォレーションパターンにも専用デザインが与えられている。

ホールド性の高いAMGスポーツシートを標準装備。AMGパフォーマンスステアリングに標準装備される「AMGドライブコントロールスイッチ」は、重要な走行機能やドライブモードを、ステアリングホイールから手を離すことなく操作できる。このボタンは設定リングを回し、液晶表示ボタンを押すことで操作する。選択した設定はそれぞれのボタンに直接組み込まれた液晶表示部で確認が可能。

SPECIFICATIONS

メルセデスAMG SL 43

ボディサイズ:全長4700 全幅1915 全高1370mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1810kg
エンジン:直列4気筒DOHCツインターボ
総排気量:1991cc
最高出力:280kW(381ps)/6750rpm
最大トルク:480Nm(48.9kgm)/3250-5000rpm
トランスミッション:9速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後5リンク
タイヤサイズ(リム幅):前265/40R20 後295/35ZR20
最高速度:275km/h
0-100km/h加速:4.9秒
車両本体価格:1648万円

【問い合わせ】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610

【関連リンク】
・メルセデス・ベンツ 公式サイト

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