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Renault 4EVER Trophy
将来の市場投入に向けたショーケースに

ルノー 4は、単なるクルマの枠を超えた、ルノー・ブランドのアイコンとも言えるモデルだ。1961年から1992年にかけて世界100ヵ国以上で800万台以上が販売され、過去60年にわたり世代や文化の枠を超えて親しまれてきた。可愛らしさを備えた2ボックススタイルは、通勤や長距離移動、荷物運搬業務など、さまざまな場面で活躍してきた。
30年前に生産を終えたが、それ以降も“キャトル”は、長くつきある家族や友として、そして人気のヴィンテージモデルとしても人気を集め続けてきた。現在でも、若い世代が「あえて欲しいと思えるモデル」として、キャトルは根強い支持を得ている。
2022年のパリ・モーターショーで公開された、コンセプトカー「4EVER トロフィー」は、先にデビューした「5 プロトタイプ」に続き、象徴的なモデルを最新鋭の電動パワートレインを搭載し、現代に蘇らせるプロジェクト第二弾となる。ルノーは誰もが知るブランドアイコンを積極的に活用することで、電動化をさらに促進させようとしていると言えるだろう。
将来的にルノーは新たなフル電動ラインとして「5(サンク)」と「4(キャトル)」の導入を計画。マーケットにおける位置付けは、5がクリオ、4がキャプチャーと同セグメントとなる。
かつての“キャトル”をイメージしたエクステリア

ルノー4 EVER トロフィーは古い記憶を蘇らせながら、新しいインスピレーションを見るものに与えてくれるだろう。全長4160mm/全幅1950mm/全高1900mmと、Bセグメント向け電動SUVのサイズをキープしながらも、筋肉質なエクステリアを実現。スタイリングの様々なディテールに、先代ルノー4とのつながりが表現されている。
スクエアなボンネットとバンパー、そして傾斜のついたリヤセクションは、初代ルノー4のシルエットをオマージュ。丸みを帯びた台形のサイドウィンドウ、水平基調のグリルにマトリクスLEDライトで表現されたフロントセクションなども、オリジナルの要素を現代的に再解釈したもの。全体的にレトロな雰囲気を醸し出しながらも、電動テクノロジーをベースにしたラインが美しい調和見せている。
ルノーのルカ・デメオCEOは、ルノー4 EVER トロフィーについて次のようにコメントした。
「ルノー 4は今や神話となったモデルです。そして、神話は決して死に至りません。4は誰もが愛することのできるクルマです。私たちはこの普遍的な存在をモダンなデザインとフル電動パワートレインで再解釈しました」
ルノー・ブランドのデザイン部門を率いるジル・ビダルは、そのデザイン上の特徴を次のように説明する。
「4EVER トロフィーとして現代に蘇らせるため、流線型フォルムに洗練された技術を注ぎ込みました。ルノー4の歴史を知る人たちにも、若い人たちにも響くデザインになるよう、すべての要素を丁寧に作り上げています」
近い将来フランスのEV専用ファクトリーで生産か

4EVER トロフィーはショーカーでありながらも、これまでも電気自動車のイメージを一新する、頑強さを備えている。電動パワートレインを搭載し、将来の市販化を想定し「5 プロトタイプ」同様に新型EV用プラットフォーム「CMF-BEV」をベースに開発された。
ガンメタルシルバーにペイントされたロワセクションは、大自然を走破するラリーカーを表現。シルバーコートに加えて、ルーフストラップ、サスペンションスプリング、ホイールエンブレムにはマゼンタのハイライトが加えられ、ショーカーとしての華やかさが演出されている。
ボンネットを空洞化し、巨大なエアアウトレットを設けることで、シールドセンター部に配置されたラジエターの効率を大幅に向上。また、フロントオーバーハングを短縮化したことで、オフロードにおけるロードクリアランスを確保した。カーボンファイバー製ルーフにはスペアタイヤ、リヤゲート上部にはシャベルとワッフル板を配置し、どんなアクシデントにも対応な装備が与えられている。
アンダーボディに配置された大型ボディプロテクションパネルは、ホイールアーチ周辺に200mmというクリアランスを確保。シャシー中央部に配置された大容量バッテリーを保護するため、アンダーボディの剛性も強化された。