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パワーユニット開発をアウディが担当
2022年8月末、アウディはF1への参戦を発表した。今回、ザウバーとの戦略的パートナーシップを締結したことは、アウディがモータースポーツの最高峰への参戦に向けて、重要な一歩を記したことになる。レーシングチームとして約30年の長い経験を持つザウバーは、現在、アルファロメオとしてF1に参戦中であり、パートナーとしてこれ以上の存在はないと言えるだろう
F1マシンに搭載されるハイブリッドパワーユニットは、ドイツのノイブルク・アン・デア・ドナウにあるアウディの「モータースポーツ・コンピテンス・センター(Motorsport Competence Center)」において製造。ザウバーはスイス・ヒンヴィルにあるファクトリーで、F1マシンのシャシーを開発・製造する。さらに、ザウバーが実戦におけるチーム運営も担当する。
アウディAGの技術開発担当取締役を務める、オリバー・ホフマンは今回の決定について、次のようにコメントした。
「私たちの野心的なF1プロジェクトのために、ザウバーのような経験豊富で有能なパートナーを迎えることができて嬉しく思います。ザウバーグループは最先端の設備を持っており、これまでの協力関係からチームが豊富な経験を備えていることをよく知っています。私たちアウディは、彼らとともに強力なチームを作ることができると確信しています」
アウディとザウバーの協力関係
アウディ・スポーツは、ル・マン24時間参戦時代や、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)用のクラス1レーシングカーの開発において、ノイブルク・アン・デア・ドナウからクルマで約4時間にある、ヒンヴィルのザウバーグループのハイテク風洞施設をすでに使用してきた実績を持つ。ザウバーホールディング会長、フィン・ラウジングはアウディとの協力関係締結について、次のようにコメントした。
「アウディはザウバーグループにとって最高のパートナーです。私たちは、価値観とビジョンを共有しています。力強く優れたパートナーシップにより、私たちは共通の目標を達成できると信じています」
電気モーター、バッテリー、制御システム、内燃エンジンから構成されるF1用パワーユニットの開発は、F1参戦のためにノイブルク・アン・デア・ドナウに設立された新会社「アウディ・フォーミュラ1・レーシングGmbH(Audi Formula Racing GmbH)」施設で本格的に開始される。すでに120名以上のスタッフがこのプロジェクトに取り組んでいるという。
2025年から新型パワーユニットのテストを開始
アウディは、2026年シーズンからF1参戦するために、意欲的なスケジュールを策定している。2023年には、スタッフ、建物、技術インフラ面におけるノイブルク拠点の拡張が、ほぼ完了する予定だ。2026年から導入される新レギュレーションに合わせて開発されたパワーユニットをテストカーに搭載してのテストは、2025年に予定されている。
F1は2026年から導入される新レギュレーションにより持続可能性をさらに拡大する。これこそがアウディのF1参戦を決定付けることになった。2026年仕様のパワーユニットは、現在よりも電動化の比率が大幅に増加。電動ドライブトレインは、400kW(551PS)を発揮する1.6リッターV型6気筒ターボと同等のパワーを発生することになる。さらに効率的なターボエンジンは(EU基準による)CO2ニュートラルかつ持続可能な合成燃料で作動。加えて、F1は2030年までにCO2ニュートラルなレーシングシリーズになるという目標も設定している。
アウディが自社開発のパワーユニット搭載マシンで2026年シーズンからF1に参戦【動画】
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