現在のCクラスへと続く起源、メルセデス・ベンツ 190 シリーズ

「デビューから40年」メルセデス・ベンツに“新時代”をもたらしたベイビー・ベンツ190を再考する

オイルショックを契機に、メルセデス・ベンツのラインナップに燃費が良くコンパクトなサイズを求める声が拡大。それを受けて、1982年12月に190シリーズがデビューを飾った。
オイルショックを契機に、メルセデス・ベンツのラインナップに燃費が良くコンパクトなサイズを求める声が拡大。それを受けて、1982年12月に190シリーズがデビューを飾った。
2022年は“ベイビー・ベンツ”の起点ともなった、メルセデス・ベンツ 190シリーズ(W201型)のデビュー40周年となる。 190シリーズは、1982年12月にメルセデス・ベンツ初となるコンパクトセダンとして投入され、現在のCクラスの前身として12年にわたって製造された。

Mercedes-Benz 190

現在のCクラスの礎となった“ベイビー・ベンツ”

現在のCクラスに続く、コンパクト・メルセデスの系譜を作ったW201型190シリーズ。
1982年に190シリーズ(W201型)がデビューするまで、メルセデス・ベンツは高級自動車メーカーとして、コンパクトカーをラインナップに持っていなかった。

上品かつ安全、そしてスポーティ。メルセデス・ベンツは1982年12月8日にモデルレンジを拡大し、フルサイズクラスとミッドサイズクラスの下に、よりコンパクトな新モデルシリーズを追加。W201型、メルセデス・ベンツ190/190 Eは、当時のDセグメントに新たなスタンダードを打ち立てることになった。

数十年を経た今日でも、Cクラスのデザインはモダンさをたたえており、技術レベルも決して時代遅れになっていない。メルセデス・ブランド初となるエントリーモデルは、“ベイビー・ベンツ(Baby-Benz)”と親しみを込めて呼ばれ、快適性と信頼性を備えた名車として、現在もヒストリックカーマーケットで高い人気を維持している。

12年間という長きにわたって製造された190

現在のCクラスに続く、コンパクト・メルセデスの系譜を作ったW201型190シリーズ。
1982年12月のデビューから、後継モデルとなるCクラスの登場まで、190シリーズは約12年間も作り続けられることになった。

2種類のガソリンエンジンからスタートしたラインナップは、12年という長いライフサイクルにおいて継続的に拡大し続けた。1983年には早くもディーゼルの「190 D」、1984年からはスポーティな16バルブエンジンを搭載した「190 E 2.3-16」を投入。その後に登場した「エボ」は、ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)で数々の勝利を収め、タイトルをメルセデスにもたらしている。

190/190 Eには、排気量1997cc直列4気筒「M102」ガソリンエンジンが搭載された。このエンジンは、1980年、「W123型」メルセデス・ベンツ 200に搭載されているが、コンパクトクラスの位置づけをより明確にするため、新型車には200より小さな「190」という数字が割り振られることになった。

1993年5月、メルセデス・ベンツは190シリーズの後継モデル「W202型」を投入。同社の新たなネーミングルールに対応するため、車名は現在に続く「Cクラス」へと変更されることになった。

W123型よりも小型で経済的なサルーン

現在のCクラスに続く、コンパクト・メルセデスの系譜を作ったW201型190シリーズ。
1970年代、メルセデス・ベンツのエントリーを担っていた「W123型」が世界的に高い人気を集めており、このモデルよりも小型かつ経済性の高いモデルとして、W201型190シリーズが開発された。

何十年もの間、メルセデス・ベンツ製パッセンジャーカーは、高級車やアッパーミドルクラスをメインとしていた。それが変わったのは1982年末のこと。190シリーズの投入は、当時のメルセデスとしても異例のことだった。

1974年、世界的なオイルショックを契機にミドルサイズ以下のメルセデス・ベンツ製乗用車の必要性が議論されるようになる。当時、開発担当取締役だったハンス・シェーレンベルクは、コンパクト・メルセデスについて次のように語っている。

「コンパクトサルーンであっても、メルセデス・ベンツの名前に相応しいクルマでなければなりません。運転する楽しさや安全性、それに対応するメルセデス・ベンツらしさという点に関して、妥協はできないのです」

開発がスタートしたのは1978年10月19日。この時、メルセデスの取締役会は当時高い人気を集めていたミドルサイズサルーン「W123型」よりも小型・軽量で経済的なモデルとすることを決定している。全長4420mm(W123型に対してマイナス305mm)、全幅1678mm(マイナス108mm)、全高1383mm(マイナス55mm)、W201型の重量は、W123型と比べて280kgも軽い1080kgとなった。

今も色褪せないメルセデスらしいデザイン

現在のCクラスに続く、コンパクト・メルセデスの系譜を作ったW201型190シリーズ。
メルセデスらしさを保ちながら、それまでのモデルとは一線を画したモダンさを持って登場した190シリーズ。デザインを担当したピーター・ファイファーは「今も色褪せない魅力がある」と、胸を張る。

W201型190シリーズの明快かつクリーンなデザインは、当時メルセデス・ベンツのチーフデザイナーを務めていたブルーノ・サッコ(Bruno Sacco)の指揮のもと、デザイナーのピーター・ファイファーによって生み出された。

 「ベイビー・ベンツといえども、メルセデス・ベンツらしくなければなりませんでした。ただ、上位クラスを縮小したようなものではいけない。190シリーズは、40年経ってもクラシックカーには見えません。このクルマはそのデザインに関して、今も色褪せない姿を見せて走り続けているのです」と、ファイファーは振り返っている。

W201型190シリーズの軽量構造は、決してアクティブ/パッシブな乗員安全性を犠牲にしてはいなかった。W201型のボディは特に安全性に関していくつかの領域で、その後のメルセデス・ベンツ製モデルのベンチマークとなっている。たとえば、高強度シートメタル製フォークキャリア構造が初めて導入され、その極めて高い剛性により、衝突時の変形を明確にし、同時に8kgもの軽量化も実現した。

DTMで多くの勝利を収めた190 E 2.5-16 エボ

ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)での活躍により、190シリーズはモータースポーツベースモデルとして高い名声を得ることになった。
ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)では、BMW、フォード、アウディを相手に、190 E 2.5-16 エボリューション、190 E 2.5-16 エボリューションⅡ(写真)が多くの勝利を積み上げることになった。

バリエーションを拡大し続けた190シリーズは、1989年にドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)用ホモロゲーションモデル「190 E 2.5-16 エボリューション」、1990年には大型リヤウイングを備えた「190 E 2.5-16 エボリューションⅡ」がデビューを飾った。

1986年のDTMでは、AMGからの技術支援を受けたプライベーター仕様の「190 E 2.3-16」をドライブしたフォルカー・ヴァイドラーがドライバーズランキングで2位を獲得した。1988年、メルセデス・ベンツはモータースポーツへのワークス活動復帰を決定。メルセデス・ベンツ・モータースポーツ部門の新たな責任者に就任したノルベルト・ハウグの指揮のもと、1991年からは開発・参戦をAMGが一括して行うことになった。

190 E 2.5-16 エボリューション、190 E 2.5-16 エボリューションⅡは、ライバルのフォード、BMW、アウディを相手に数々の勝利を収め、1991年と1992年、メルセデス・ベンツにDTMマニュファクチャラーズ選手権タイトルをもたらしている。

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