目次
大盛り上がりのWR2、コバライネンが4位入賞

今回のWRCラリージャパン、ワークスチームが送り出す最新ラリー1マシンの優勝争いだけでなく、白熱を極めたのがサポートカテゴリーとして開催されている「WRC2」だ。WRC2は市販モデルをベースに開発された「ラリー2(以前のR5)」規程マシンを使用し、ワークスチームへの昇格を狙う若手から歴戦のベテランまでが、舞戦激しいバトルが繰り広げている。
2022年シーズンは最終戦までタイトル争いが縺れたこともあり、予算的に厳しい欧州圏外のイベントにも関わらず、ラリージャパンは17台ものエントリーを集めることになった。この中には2022年シーズンの全日本ラリー選手権JN-1クラスを制したヘイキ・コバライネン(シュコダ ファビアR5)や、新井敏弘(シトロエンC3 ラリー2)、福永修(シュコダ ファビアR5)といったお馴染みのドライバーも含まれている。
優勝争いは最終ステージまでもつれ、ヒョンデi20 Nラリー2をドライブしたベルギー出身のグレゴワール・ミュンステールがうれしい初勝利。3位で走り切ったエミル・リンドホルム(シュコダ ファビア ラリー2 Evo)が、自身初のWRC2チャンピオンの座を手にした。
また、今回がWRC初参戦となったコバライネンは、パフォーマンスで劣る旧スペックでの参戦にも関わらず、WRC2で4位、総合10位での完走を果たした。2023年シーズン、コバライネンは母国に戻り、フィンランド選手権にラリー2マシンで参戦することを発表している。
2023年ラリー北海道に参戦計画も?

WRC2で使用されるラリー2規程は、今回のラリージャパンのエントリーを見れば分かるとおり、シュコダ、ヒョンデ、フォード、シトロエンといった外国製ラリーカーで争われており、前身のR5規程も含めて、現在に至るまで日本メーカーの参戦が実現していない。
ところが、今回のラリージャパン開催期間中、トヨタは開発を続けていた「GRヤリス ラリー2」をサプライズで披露した。11月12日に行われた岡崎のスーパーSSにおいて、ブラックのカラーリングを纏ったGRヤリス ラリー2プロトタイプが、ユハ・カンクネンのドライブでデモンストレーションランを披露したのだ。
今回、走行したのはあくまでもプロトタイプであり、2023年中は世界各地でテストが続けられ、エアロダイナミクスを含めた最終スペックを確定。その後、世界中のプライベーターへの販売がスタートすると見られている。また、豊田章男社長はGRヤリス ラリー2の全日本ラリー選手権投入も公言。現在、トヨタ・ガズーレーシングWRTを率いるヤリ-マティ・ラトバラが、来年のラリー北海道(全日本ラリー選手権第7戦)に参戦するプランがあることも明かしている。
来年のラリージャパンまでに、GRヤリス ラリー2のプライベーターへの販売体制が確立されるかは未定だが、「日本車でWRCに出たい!」という多くのプライベーターにとって、魅力的な選択肢になることは間違いない。