2022-23年末年始の渋滞をどう乗り越える?

「その車線変更必要ですか?」年末年始にイライラしない渋滞攻略法【モータージャーナリスト大谷達也の場合】

アウディのバーチャルコクピットでは、信号と連動して信号が青に変わる時間が表示される機能も。
アウディのバーチャルコクピットでは、信号と連動して信号が青に変わる時間が表示される機能も。
年末年始の高速道路の風物詩といえば「渋滞」。2022〜2023年年末年始は下りは12月30日、上りは1月2日がそのピークと予想されている。その渋滞とわれわれはどのように向き合うべきか? 年間の移動距離も多く、様々な経験を積んでいるモータージャーナリストにその心得を聞いた。

隣の芝は青く見えるもの

本線が混んでいるから側道へ……、という急な車線変更も事故の元だ。

高速道路で渋滞しているとき、「となりの車線のほうが流れが速い」ように見えたので車線変更したら、結局、移った先の車線の流れがかえって悪くなったなんて経験、ありませんか?

こんなとき、悔しさが焦る気持ちを加速させて、次々と車線変更して、そのたびに周囲のクルマに迷惑をかけてしまうことって、起こりがちですよね。

どの車線がより速く流れるかなんて、簡単に予想がつくことではありません。たしかに、合流や分岐の影響で、一時的に速く流れる車線はあるかもしれませんが、アナタと同じように「流れが速い」と思われる車線に多くのクルマが次々と車線変更したら、結局、そちらの車線を走るクルマが増えて流れは悪くなるのは当然のこと。結局、長い目でみれば「流れは平均化されていく」と考えるほうが、私は理に適っていると思っています。

それどころか、ムリな車線変更をすれば後続車は急ブレーキを踏むことになり、車線の平均的な流れは鈍化。これが渋滞をより悪化させることは、火を見るより明らかです。

機械に頼るのも手

では、どうしたらいいのでしょうか? 隣の車線の流れが多少速く見えても、車線変更をしないというのが、私は正解だと思っています。まあ、百歩譲っても、ムリな車線変更は百害あって一利なし。それはアナタ自身にとっても、周囲のドライバーにとっても同じことです。

そう、渋滞のなかで自分だけ得をしようとして、交通の流れを乱すことほど無意味でバカバカしくて危険なことはありません。

たとえば、私は高速道路ではアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)に頼りきりなんですが、私が一定速で走っていて隣の車線のクルマを追い越しそうになると、それに気づいた隣のドライバーが妙な対抗意識を燃やしてちょっとずつ加速するなんてケースによく遭遇します。なんで、人に抜かれるのがイヤなのでしょうか?

私なんか、高速道路で後から迫ってくるクルマがくると、どんどん道を譲って先にいってもらいますよ。だって、後に張り付かれて、プレッシャーを感じながら走るなんてイヤじゃありませんか。そんなことをするくらいだったら、道を譲って先行してもらったほうがずっと気持ちいい。妙な対抗心を燃やして車速を上げたら、そこにオービスがあって光らせちゃったなんてことにもなりかねません。それに、人に道を譲ったからといって、目的地への到着時間が何分も変わるわけじゃありません。だいたい、1分か2分か早く着いて、いったい何をするというんですか?

私の運転術まとめ

自動車メーカー各社は自動運転開発競争に積極的に乗り出している。とはいえ、完全自動運転となるレベル4はまだまだ先のことだろう。

それよりも、後続の車両に道を譲って、車間距離もたっぷりとって走ったほうがストレスがたまらなくて、目的地に着いてからも能動的に行動できますよ。それに違反で捕まったり事故を起こしたりする危険性も減る。一石二鳥、三鳥、四鳥くらいには、簡単になりますよ。

というわけで、忙しい年末年始にお勧めの私の運転術をまとめますと、①渋滞路で隣の車線が早そうと思っても無闇に車線変更しない、②高速道路を走るときは自分の巡航速度を決めて坦々と走る、③後から速いクルマがきたらとっとと道を譲る、というあたりが中心になります。

最後に付け加えておきますと、高速道路の追い越し車線を必要もないのに走り続けていると、通行帯違反に問われて反則切符を切られる恐れがあります。普通車の場合、通行帯違反の反則金は6000円で、違反点数は1点。追い越し車線に居座って6000円と1点を失うのではなく、気持ちよく道を譲って、安全かつスムーズにドライブしましょう。それだけで、長距離ドライブのストレスや疲労がずいぶん軽くなり、爽快な気分を味わえるはずです。どうか、お試しあれ!

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著者プロフィール

大谷達也 近影

大谷達也

大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌「CAR GRAPHIC」の編集部員…