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Porsche 911 RSR
バンスールとアンドラウアーが好タイムを記録
ポルシェ・ワークスに所属するローレンス・バンスールの弟のドリス・バンスールは、ファクトリーチームのサポートを受けるポルシェやフェラーリ、シボレーとの熾烈なアタック合戦を制して見せた。予選2番手は、AFコルセのフェラーリ 488 GTE、3番手にはコルベットレーシングのシボレー コルベット C8.Rが続いた。ポルシェ GTチームは、91号車が5番手、92号車が6番手につけている。
「ル・マンはまだ2回目で、チームもまだ完全にはクルマに慣れていません。プラクティスセッションはあまり順調ではありませんでしたが、セッティングに変更を加えたことで、正しい方向に向かうことができました。まだ長いレースウィークエンドの始まりに過ぎませんが、今はとても満足しています」と、バンスールはハイパーポール後に笑顔を見せた。
GTE Amクラスは、ポルシェのプライベーターチームが上位3台を独占。デンプシー・プロトン・レーシングから参戦するジュリアン・アンドラウアーが、GRレーシングのベンジャミン・ベッカーを0.5秒上回りポールポジションを獲得している。
「とにかく『信じられない!』というのが本音です(笑)。マシンは、プラクティスや予選のときと同じように、本当に素晴らしかったです。ハイパーポールではひたすら走りきるだけでした。この数日間、チームは素晴らしい仕事をしてくれました。感謝の気持ちでいっぱいです。これから長いレースが待っています。最高の気分で24時間レースに臨めることは間違いありません」と、アンドラウアーは喜びを語っている。
ハイパーポールで下位に沈んだポルシェ・ワークス
ハイパーポールは、第89回ル・マン24時間レースのグリッドを確定する最終予選となる。前日の予選各クラス上位6台が出場権を獲得した。4つのクラスから23台が参加したため、トラフィックの少ないクリーンラップを取ることが鍵になった。
このような状況下で、ポルシェ・ワークスチームの92号車を駆るケビン・エストレは不運に見舞われることになった。フライングラップを問題なく走り切ったものの、続くアタックラップのインディアナポリス・コーナーでクラッシュ。911 RSRのコントロールを失い、リヤセクションをバリアにヒットしてしまう。このアクシデントを受けて、ハイパーポールは10分間の中断を余儀なくされた。
もう1台のワークスカー、91号車をドライブしたジャンマリア・ブルーニはアンダーステアに悩まされ、911 RSRのポテンシャルを十分に引き出すことができず、5番手タイムが精一杯。この結果、プライベーターのハブオート・レーシングから参戦するドリス・バンスールがポールポジションを獲得した。
「とても難しいハイパーポールになりました。走行前にセットアップを変更したことで、かなり乗りやすくなったんですが、それでもすぐにタイムアップすることはできませんでした。さらに、2セット目のタイヤを装着したときは、すでに日が落ちていました。前日のフリー走行2回目は走行できなかったため、夜のル・マンを走るのはこれが初めてとなり、このコンディションでは(アタックを強くかけるには)少し自信が持てなかったのです」と、ブルーニは肩を落としている。
ワークスをも凌駕するプライベーターの躍進
予選セッションを終えて、ポルシェ・ファクトリーモータースポーツ・ディレクターを務めるパスカル・ズーリンデンは次のように総括した。
「GTE Proクラスではハブオート・レーシングがポールポジションを獲得し、GTE Amクラスではデンプシー・プロトン、GRレーシング、プロジェクト1が1~3位を占める完全制覇となりました。ただ、ワークスカーが5位と6位に終わってしまったことには満足していません。厳しいスタートとなりましたが、レースでは全力を尽くします」
「今回の結果は、あらためてポルシェ・モータースポーツのカスタマーチームが、最高レベルのサポートを受けていることを証明したと考えています」
ル・マン24時間レースの決勝レースは、8月21日土曜日の16時(日本時間22日0時)にスタートする。