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RML Short Wheelbase
ベースとなったフェラーリ 550 マラネロから大幅に変更
2021年末にワールドプレミアを予定している「RML ショートホイールベース」の心臓部には、フェラーリ製、排気量5474cc、65度V型12気筒自然吸気エンジンを搭載。最高出力485ps(7000rpm)・最大トルク568Nm(5000rpm)を発揮し、0-60mph加速4.1秒、最高速度185mph(約297km/h)という非常に高い性能を目標に掲げている。
このパワートレインの開発には、RMLのモータースポーツにおける豊富なノウハウが活かされている。プロジェクトのパワートレインエンジニアを務めるアドナン・ラーマンは、開発における課題を次のように説明してくれた。
「V型12気筒エンジンの吸気・冷却特性を正確に評価するために、ベースとなったフェラーリ 550 マラネロをテストベッドに使ってV12の使用状況を確認することが重要でした。その結果、エンジンにエアを送り込むためのダクトを変更しています。その際、性能だけでなくクルマの美観を損なわないようデザイン部門の責任者であるジョナサン・ボーエンとも緊密に協力しました」
「プラットフォームのフェラーリ 550 マラネロと、RML ショートホイールベースでは車両寸法がかなり異なります。そのため、インレット、クーリング、エキゾーストシステムをイチから設計し、よりコンパクトなボディと一体化させながら、より厳しい走行環境でも効果を発揮できるようにしました。例えば、気温が50度に達するドバイのダウンタウンで渋滞に巻き込まれることを想定して、設計されています」
RMLで専用開発された冷却系と排気系
RML ショートホイールベースのオイルと冷却システムの開発を担当したのが、マット・パッカム。冷却システムの開発は、今回の開発プログラムにおいて最重要課題のひとつだった。
「ラジエーターと冷却システムのデザイン及びレイアウトは、開発初期段階から優先事項でした。まず、フェラーリ 550 マラネロの冷却系統を風洞実験施設でテストして、その効果を確認しました。エンジンルーム内における冷却系統のレイアウトが他のパーツの配置を決定するからです。そしてそのデータをもとに、ショートホイールベース専用の冷却系統を開発しました」
フェラーリ製V型12気筒エンジンのようなクラシカルなエンジンは、その“音”も重要視される。そのためにRMLの開発チームは、エキゾーストマニホールドから4本出しテールパイプまで、すべての排気系システムを新たに開発。その結果、サウンド的にも美しく、現行の騒音規制にも適合し、エンジン本来の性能を妨げない排気系が完成した。
それぞれのエンジンは、RMLが展開するパワートレイン保証プログラムにより、厳格に性能が保証されている。保証プログラムでは、まずV型12気筒自然吸気エンジンをダイナモメーターでテストし、パワーと信頼性を確認。その後、シリンダーボアの摩耗を測定し、すべての内部パーツがメーカー指定の範囲内にあることがチェックされる。