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Rolls-Royce Spectre
50℃を超える南アフリカでテストを実施

現在、スペクターは南アフリカの北ケープ州オーグラビーズと、西ケープ州ワインランドにおいて、極限暑熱テストを実施中。北部は乾燥した猛暑、南部は湿度の高い地中海性気候という、安定しながらも対照的なコンディションでテストが行えるため、南アフリカが夏季テストのロケーションに選ばれている。
特に南部は最高気温が50℃を超え、砂利道、砂塵、泥の多い曲がりくねった田舎道など、さまざまなシチュエーションや地形が存在。まさに耐久テストのために用意された土地だと言えるだろう。ロールス・ロイスの開発陣は、厳しい環境下で走行を繰り返し、システム、ハードウェア、ソフトウェアをチェック。随時改良を加えている。
ロールス・ロイス・モーター・カーズのトルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOは、スペクターの開発状況について次のように説明した。
「ロールス・ロイス史上最も期待を受けたモデルとして、スペクターはすでに高い認知度を得ています。ロールス・ロイスにとっては、スペクターの投入により電動化時代の幕開けを告げることになります。この美しい電動クーペによって、超高級車市場における技術的リーダーシップを証明することになるでしょう」
「開発プロセスにおいて、スペクターには非常に厳しい要求が突きつけられています。私たちはマーケットに新たなベンチマークを作り上げることを目標に掲げていますし、お客さまのドライブ体験をこれまでにない高みへと引き上げることが期待されているのです。ロールス・ロイスの目の肥えたお客様の期待に応えることは、私たちの開発の原動力となっています」
受け継がれてきたロールス・ロイスらしさ

特に乗り心地に関しては、ロールス・ロイスの特徴である「マジック・カーペット・ライド」を、フル電動モデルでも実現すべく、特に重点的に改良が続けられているという。
ロールス・ロイスらしさを表現する様々な“味付け”は、長年にわたりエンジニアの判断と直感により積み上げられてきたため、数値化することは不可能。そのため、例えば回生ブレーキのフィーリングに関しては、1500時間以上ものトライ・アンド・エラーが繰り返され、自然かつ楽に効くようセッティングされた。
細部へのこだわりは、室内の明るさに関しても徹底されている。ドアを開けたタイミングで、どんな外光条件下であっても車内の調和を保つべく、スターライト・ヘッドライナー、インストゥルメント・クラスター、デジタル・インターフェースなど、すべての内部照明には完璧な調和が求められる。そのため、今回の南アフリカ・テストでも、太陽光の当たり方や気候が徹底的に分析されている。
最終的なオールシーズン・テストへ

南アフリカで収集されたデータを分析し、関連する対策が実施された時点で、スペクターのテストプログラムは約80%が完了。この後、テストは開発プログラムの最後を締めくくる、第4段階へと進む。この第4段階では、極寒のスウェーデン・アリエプローグや温暖なコート・ダジュールを含む、オールシーズン・テストが実施される。
オールシーズン・テストでは50万kmの走行が予定されており、ここでは「ライフスタイル分析(Lifestyle Analysis)」に焦点が当てられる。このプロセスでは、ロールス・ロイスのカスタマーの多くが使用する環境下でテストを実施。例えば、世界中の巨大都市部、高級リゾート地、歴史的な観光地など、顧客の習慣やライフスタイルに見合った環境で、スペクターに求められる性能を発揮できるかが確認される予定だ。
2021年に開始されたスペクターの厳しいテストプログラムは、まもなく完了を迎える。正式なワールドプレミアを経て、デリバリーは2023年後半からを予定している。