BMWがi5 セダン2度目の寒冷地テストプログラム完了

「寒冷地における不安を払拭できるか?」フル電動モデル「BMW i5 セダン」が北極圏でテスト実施【動画】

2023年10月の発表に向けて、寒冷地テストが実施されたフル電動モデル「BMW i5 セダン」。
2023年10月の発表に向けて、寒冷地テストが実施されたフル電動モデル「BMW i5 セダン」。
BMWは現在開発中のミドルサイズセダン「5シリーズ」のフル電動モデル「i5」のテストを公開した。i5 セダンのプロトタイプを使った公道テストは、アルプス山麓のワインディングロードや北極圏を舞台に、1年間の寒冷地プログムラムを消化している。

BMW i5

1年をかけて実施されたテストプログラム

欧州各地の公道でテストが行われた「BMW i5 セダン」。
先日、BMWグループの年次総会において、i5を含む新型5シリーズを2023年10月に公開すると発表。今回、2022年から2023年にかけて行われた寒冷地テストの様子が明らかになった。

現在、開発が続けられている5シリーズ初のフル電動モデル「i5」は、すでに長距離耐久テストプログラムをクリア。北極圏とアルプスの山岳路を舞台に、寒冷地における過酷なドライブを繰り返したことで、電動パワートレインの安定性とパフォーマンスに磨きがかけられた。

氷雪路におけるテストプログラムは、最初のテスト走行から、最終的なセッティングの微調整に至るまで約1年という長きにわたった。田舎道や高速道路での走行、北極圏の専用テストコースで行われた大規模なプログラムまで、グリップレベルの低い低温域での性能が磨き上げられている。

i5に搭載された、最新の電動パワートレインとシャシー制御システムは、トラクション/ダイナミズム/走行安定性を最適化すべく、多くの役割が与えられている。これらの性能を試し、鍛えるには、雪上、氷上湖、凍結した山岳路ほど適した路面はないという。

2022年2月に開始された寒冷地での走行

欧州各地の公道でテストが行われた「BMW i5 セダン」。
BMW i5の寒冷地テストは、2022年2月にスタート。この時、開発拠点のミュンヘンから、スウェーデン・アリエプローグのBMW冬季テストセンターまでの長期ドライブが初めて行われた。この段階では、まだ厳重なカモフラージュが施されている。

生産に向けた開発プロセスの一環として、i5が最初にその実力を証明したのは、2022年2月。ドイツ・ミュンヘンからスウェーデン・アリエプローグのBMW冬季テストセンターまでのロードトリップだった。

カモフラージュ・ラップやプラスチック製アタッチメント、グリル、仮形状のヘッドライトとテールライトが装着され、完全にエクステリアを隠されたi5プロトタイプは、バイエルン・アルプスの麓からデンマークを経て、北極圏の端にあるスウェーデンのラップランドまで、5日間のテストドライブを行った。

約3000kmの道程は、電気モーター、パワーエレクトロニクス、高電圧バッテリー、キャビンとバッテリーパックの統合冷暖房システムにとって、長距離耐久テストに向けた準備運動になった。i5に搭載される第5世代「BMW eDrive」テクノロジーは氷点下の厳しい環境下でも、余裕で長距離走行をこなし、充電時間の短縮を実現している。

北極圏で作られたハンドリングの基礎

スウェーデン・アリエプローグのBMW冬季テストセンターで走行を行う「BMW i5 セダン」。
アリエプローグでのテストにおいて、i5のハンドリングのベースとなるセッティングが決まり、その後1年をかけて欧州の公道において様々なテストが行われた。

最初の長距離走行の目的地であるスウェーデン・アリエプローグは、テストに帯同したi5の開発担当エンジニアにとって、理想的な寒冷地テストエリアとなった。

広大なスウェーデン北部の雪道と凍結湖は、シャシーコンポーネント、ステアリングシステム、ブレーキシステム、ドライビング・ダイナミクス、ドライビング・スタビリティ・システムが、極限の屋外条件下でどのように相互作用するかチェックするのに、これ以上適した場所はない。

BMWモデルに求められるスポーティなハンドリングの基礎は、アリエプローグで行われた最初の寒冷地テストで固まった。その後、2022年中はBMWグループのテスト施設やミュンヘン周辺、BMWグループのディンゴルフィング工場近郊において、日常走行域のテストが続けられた。

再び冬が訪れると、テストプログラムの一部は、アルプス山麓の氷雪路で実施された。この冬、カモフラージュ偽装が大幅に減らされ、生産モデルと同じライトユニットを装着。i5プロトタイプは、非常に厳しい道路条件や天候において、パワートレインやシャシー制御システムの機能と信頼性が徹底的に検証された。

1年ぶりに行われた北極圏でのプログラム

スウェーデン・アリエプローグのBMW冬季テストセンターで走行を行う「BMW i5 セダン」。
2023年2月、i5は再びスウェーデン・アリエプローグでの寒冷地テストを実施。生産モデルと同じライトユニットが装着されたこのテストでは、様々なシステムの最終的な微調整が行われている。

さらに、2023年2月にはスウェーデン・アリエプローグにおいて、2度目の北極圏耐久テストを実施。このテストの目的は、パワートレインとシャシー制御システムを、生産に向けて微調整することだった。アリエプローグ周辺の凍結湖に設置された低μ路面は、i5のトルク制御システムを微調整するのに最適なロケーションだったと言えるだろう。

i5には、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)システム、ニアアクチュエーター・ホイールスリップ制限システム、トルク制御システムが搭載され、相互にリンクしている。あらゆる走行状況下において、柔軟に各システムが相互作用・補完しながら、最適なパフォーマンスを提供。この結果、フル電動モデルでありながらも、氷上や雪上において従来の内燃機関車両と同等以上の性能が発揮されたという。

現在、最終的な開発・調整作業が続けられており、フル電動モデルのi5を含めた新型BMW 5シリーズは、2023年10月のワールドプレミアが行われる。

BMW i5を動画でチェック!

BMWは、2023年10月に新型5シリーズを公開すると予告。合わせて、ベールに覆われた写真を発表した。

8代目「BMW 5シリーズ」はEVを含む豊富なパワートレインを擁して2023年10月ワールドプレミア

BMWグループは、2023年の年次総会において、新型「5シリーズ」が、2023年10月にワー…

キーワードで検索する

著者プロフィール

GENROQweb編集部 近影

GENROQweb編集部