【M2 CS Racing Series】TECH-M Racing参戦記①2023年第1ラウンドモビリティリゾートもてぎ

BMWのワンメイクレース「M2 CS Racing」で2連勝を決めた「TECH-M Racing」インサイドリポート

BMW & MINI Racingさらに盛り上げるべく、同じリバリーを纏った3台体制での参戦を決定した「TECH-M Racing」。ブルー、レッド、イエローと、ベースカラーの異なるM2 CS レーシングがパドックに並ぶ姿は壮観だ。
BMW & MINI Racingさらに盛り上げるべく、同じリバリーを纏った3台体制での参戦を決定した「TECH-M Racing」。ブルー、レッド、イエローと、ベースカラーの異なるM2 CS レーシングがパドックに並ぶ姿は壮観だ。
5年のシリーズ開催実績を持つ「MINI CHALLENGE JAPAN」と、M2 CS レーシングを使ったワンメイクシリーズ「M2 CS Racing Series」がジョイントする形で、2022年からスタートした「BMW & MINI Racing」が2シーズン目を迎えた。2023年シーズンは、4月23日に行われた「モビリティリゾートもてぎ」での開幕ラウンドを皮切りに、6ラウンド12レースを、日本各地のサーキットで開催。BMW M2 CS レーシング、MINI JCW、MINI クーパーSという3つの車両クラスが存在し、開幕戦には実に22台ものエントリーが集まっている。

BoPとリバースグリッドの採用

BMW & MINI Racingには、レースを面白くする要素として「BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)」と、リバースグリッド方式が採用されている。BoPは、当該レースで優勝したドライバーに対し、次戦でエンジン出力が一段階引き下げられたパワー・スティックの使用が課されるというもの。たとえば、エキスパートドライバーとジェントルマンドライバーは、最高出力450PSの状態で優勝すると、次戦は420PSのマシンで参戦しなければならない。

また、決勝レース1の各クラス上位60%に対しては、レース2のスターティンググリッドに「リバースグリッド」が採用される。BoPやリバースグリッドにより、ひとりのドライバーによる選手権の独走が起こりにくくなっており、各クラスで毎戦激しい優勝争いが繰り広げられている。

3台のM2 CS レーシングで挑む「TECH-M Racing」

トップカテゴリーのBMW M2 CS レーシングにおいて、2022年シーズンの王者に輝き、開幕ラウンドで2連勝を飾ったのが、大阪を拠点とする「TECH-M Racing」の水元寛規(みずもと・ひろのり)だ。1985年4月9日生まれ、奈良県出身の水元は、クルマを思い切り走らせたいとの思いから、大学時代にBMWで草レースに参加。卒業後、BMWディーラーに勤務し、その経験を持ってBMWとMINIの専門ショップ「TECH-M」を大阪府堺市に立ち上げている。

今シーズン、TECH-M Racingは、BMW & MINI Racingさらに盛り上げるべく、3台体制での参戦を決定。水元に加えて、神頭政志(しんどう・まさし)と片山剛(かたやま・つよし)が、同じリバリーを纏ったM2 CS レーシングをドライブする。ブルー、レッド、イエローと、ベースカラーの異なるM2 CS レーシングがパドックに並ぶ姿は壮観のひと言だ。

「僕自身、クラブマンレースやユーロカップにBMWのターボモデルで参戦し、このパッケージで勝てることを証明してきました。そのタイミングでターボモデルのBMW M2 CS レーシングで戦う『BMW & MINI Racing』が立ち上がることになったんです」と水元。

「BMWが好きでこの世界に入って、それを生業にしています。このレースはメーカーが本気でやっているレースシリーズ。僕らのような専門ショップは、メーカーやディーラーがクルマを作って販売しているからこそ成り立っています。だからこそ、BMWが公式レースを立ち上げたのであれば、絶対に参戦しなければならないと考えました」

「強い想いを持って挑んだ昨シーズン、シリーズチャンピオンを獲得できました。ただ、個人でやる以上、これ以上話題を広げるのは難しい。よりシリーズを盛り上げていくため、3台体制に拡大しました。TECH-M Racingは参加型チームを心がけていますし、だからこそお客さんに乗って頂いています。他のBMWを展開するショップさんにも、もっと参戦してほしいですね」

BMW MINI専門店 TECH-M

多くのスポンサーに支えられ

数え切れないほどのスポンサーステッカーが貼られたM2 CSレーシング。TECH-M Racingの活動は多くのスポンサーに支えられているのだ。
数え切れないほどのスポンサーステッカーが貼られたM2 CSレーシング。TECH-M Racingの活動は多くのスポンサーに支えられているのだ。

これまでも積極的にレース活動を行っているTECH-Mだが、公式戦である『BMW & MINI Racing』でのTECH-M Racingは一味も二味も違うという。TECH-M RacingのM2 CSレーシングを見て驚くのは、数え切れないほどのスポンサーステッカーである。今時スーパーGTでもないくらいに貼ってあるスポンサーステッカーは「全てTECH-Mを贔屓にしてくださっているカスタマーによるスポンサーです」と水元は説明する。

そしてメインスポンサーは、なんと、東証グロース上場企業の「eWeLL」だ。主に訪問看護向けの電子カルテサービスである「iBow」を主に提供している非常にニーズの高い企業である。チーム名も今後「TECH-M eWeLL Racing」と表記していくという。

水元が駆る25号車はTECH-M eWeLL Racingとして、より強靭なチーム体制を確保して、日本におけるBMW モータースポーツの底上げをはかるという。さらに「全てのスポンサーがBMWオーナーなので、TECH-M eWeLL Racingの露出が増えることで様々な方面で話が広がることを期待しています」と意気込みを語った。

eWeLL

株式会社eWeLLは、全国の医療法人・社会福祉法人・一般企業が事業展開をされている「訪問看護ステーション」に向けた、業務支援クラウドサービスを展開している企業です。人生100年時代を見据えた日本の地域医療を支え、未来を開拓していく会社として全速力で走ります!

oomiya

世界的有名ブランド腕時計を主に扱い、oomiyaセレクトジュエリーなど、自分へのご褒美や最愛の方へのプレゼントにと、幅広いアイテムの中から素敵な逸品をご提案いたします!TECH-Mのお客様大歓迎ですっ!

TRYFORCE RECARO

大阪府堺市でRECAROの正規代理店であるトライアルです。世界的メディカルチェアメーカーRECAROとともに新たなチェアワールドを繰り広げ、ゲームの世界にも進出します!

麻生自動車学校

北海道札幌市で、地域に寄り添い安心安全な交通社会人を輩出するとともに、卒業後にも集える様々な取り組みをおこなっております。免許取得の際はぜひ当校まで! 独自のサーキット走行会ではTECH-M水元氏を講師にお招きし、好評いただいております!

初田工業株式会社

兵庫県高砂市で断熱工事、ダクト工事を営んでおります。皆様に愛され、今年で創業50年になります。断熱・ダクトの事ならお任せ下さい!省エネ対策に有効です。そしてBMWのことならTECH-Mへ!(笑)

株式会社昭和

創業以来50年間ターボと燃料システムの修理、リビルトを専門にしており、海外メーカーの代理店でもあります! 日本一信頼のおけるリビルト屋さんです! なんでも相談してください! TECH-Mとはパートナーシップを結んでいます。

予選でまさかのアクシデント

4月23日、午前9時55分から行われた20分間の予選。水元はアタックラップ中に他の車両との接触に見舞われながらも、2分04秒815のポールポジションを獲得。マシンにダメージながなければ、さらなる好タイムも想定していたという。

「アウトラップと計測1周目はタイヤを温めて、計測2周目でアタックする予定でした。ただ、計測1周目の90度コーナーで内側からぶつけられてしまったんです。これは僕の判断ミスで。右リヤホイールにヒットしたことで、ハンドルセンターがずれた状態での走行を余儀なくされました」

「右リヤに荷重が掛かるとテールスライドするような状況、アタックといっても恐る恐るの走行です。最低限の舵角とスライド量で走ったら、2分4秒台が出せました。このタイムであれば、ポールポジションには十分だと判断しました。2分02秒台も想定していたんですが、タイヤのことを考えると、結果オーライでしたね」

圧倒的な強さでフルポイントを獲得

20分+1ラップで行われる決勝。レース1、TECH-M eWeLL Racingは水元がポールポジション、片山が5番グリッド、神頭が6番グリッドからスタートとなった。抜群の蹴り出しから水元が1コーナーを制した一方、片山が1周目で接触からリタイア。神頭も5周目にコースオフを喫し、レースを終えてしまう。

「レース中に無線で状況を聞いて、メンタルはブレブレでした」と動揺を隠さない水元だったが、残されたレースも圧倒的なスピードを披露。終わってみれば2番手に8秒244差をつけて、開幕戦を勝利で飾った。

上位60%にリバースグリッドが採用される決勝レース2。水元は4番グリッドからスタートし、1コーナーで早くも3番手に浮上する。1周目の最終コーナーで2番手に並ぶと2周目1コーナーでパス。さらに4周目の4コーナーで、早くも首位に立った。スピード差のあるバックマーカーの処理も完璧に遂行し、2番手に5秒735差をつけて2連勝を決めた。

「ワンメイクなので、後方スタートはなかなか厳しいです。抜けそうで抜けない難しい状況でしたが、落ち着いてプランどおりのレース運びができました。前を走るクルマの状況を見極めながら、数コーナー前から組み立てて、『ここだ!』というポイントで前に行けましたね」

予選、決勝2レース、さらにベストラップも記録したことで、水元はフルポイントとなる118点を加算。だが、開幕戦を制したことで、水元は第2戦富士スピードウェイ(5月13〜14日)において、前述の「BoP」により最高出力420PSでの出走が決定した。厳しいレース展開が予想されるが、水元としては想定内のようだ。

「正直、ストレートも長く、30PS差はかなり大きいです。ただ、昨シーズンのデータはありますし、しっかり対応はできるはず。とにかく富士はタイヤマネージメントが大切になってくると考えています。予選はトップを狙わず、レースラップを積み重ねて、後半で仕掛けていきたいですね。今回、リタイアした2台もなんとかリペアして挑みます」

「BMW & MINI Racing」は、シリーズ全戦を、公式Youtubeチャンネルでライブ配信中。開幕戦もてぎ・ラウンドも予選・決勝がすべてがアーカイブスとして公開されている。ぜひ、白熱の戦いをチェックしてほしい。

「BMW & MINI Racing」第1戦を動画でチェック!

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