「ポルシェ ミッション X」は959やカレラ GTに続く存在か?

ポルシェの最新電動スポーツコンセプト「ミッション X」ワールドプレミア「将来的な市販化も視野?」【動画】

ポルシェ75周年を記念するデザインコンセプトとして発表された「ポルシェ ミッション X」のエクステリア。
「ポルシェ 356 No.1 ロードスター」を世に送り出して75年、ポルシェは電動ハイパーカー「ミッション X」を発表した。
2023年6月8日、ポルシェは最新デザインコンセプト「ミッション X」を公開した。ミッション Xは歴史的なレーシングカーやハイパーカーを再解釈したと謳う。跳ね上げ式のル・マン・スタイルドアを備え、高性能・高効率の電動パワートレインを搭載している。

Porsche Mission X

356 No.1 ロードスターから75年目に登場

「75 Years of Porsche Sports Cars」を前に「ポルシェ ミッション X」を公開した、 ポルシェAGのオリバー・ブルーメ取締役会会長(左)と、デザイン部門を率いるマイケル・マイケル・マウアー(右)。
「75 Years of Porsche Sports Cars」を前に「ポルシェ ミッション X」を公開した、 ポルシェAGのオリバー・ブルーメ取締役会会長(左)と、デザイン部門を率いるマイケル・マイケル・マウアー(右)。

ポルシェ ミッション Xは、2023年6月8日、シュトゥットガルト・ツッフェンハウゼンのポルシェ博物館において開催される75周年記念イベント「75 Years of Porsche Sports Cars(ポルシェ・スポーツカーの75年)」において世界初公開される。1948年6月8日にフェリー・ポルシェが開発した「ポルシェ 356 No.1 ロードスター」が一般営業許可証を取得してから75年、ポルシェは新たな電動スーパースポーツを世に送り出すことになった。

全長約4500mm、全幅約2000mmと、ミッションXは比較的コンパクトなハイパースポーツカーとして登場した。ホイールベースは2730mm、カレラ GTや918スパイダーと同じディメンションが採用されている。エアロダイナミクスを考慮し、フロントに20インチ、リヤに21インチとサイズの異なるタイヤを装備する。

ポルシェAGのオリバー・ブルーメ取締役会会長をは、ポルシェ ミッション Xについて次のようにコメントする。

「ポルシェ ミッションXは、未来のスポーツカーのためのテクノロジーを指し示す存在です。この美しいスポーツカーは、過去数十年の象徴的な車両から様々な歴史を受け継いでいます。 959、カレラGT、918 スパイダーのように、ミッションXは未来のポルシェを進化させるための重要な原動力となるでしょう。ポルシェは常に変化し続けることで、ポルシェであり続けることができたのです」

歴史的なレーシングカー・デザインを再解釈

ポルシェ75周年を記念するデザインコンセプトとして発表された「ポルシェ ミッション X」のエクステリア。
跳ね上げ式ディヘドラルドアはポルシェ 917から、縦型のヘッドライトはポルシェ 906や908といった、歴史的なレーシングカーからインスピレーションを得ている。

ミッションXのエクステリアは、パフォーマンスとモダンラグジュアリーの頂点が表現された。同時にその彫刻のようなフォルムや筋肉質なラインは、従来のハイパーカーらしさも備えている。全高1200mmにも満たない低く構えたボディワークは、このコンセプトカーのために特別に調色されたエレガントな「ロケットメタリック(Rocket Metallic)」でペイントされた。

リヤアクスル周辺は透明なエアロブレードが装着され、ブレーキの冷却効果を高めるべくタービンのようなデザインが施された。ベルトライン下部にはカーボンファイバー製デザインエレメントが組み合わせられている。

ルーフはカーボンファイバー強化プラスチック製フレーム持つ軽量ガラスドームが広がる。ル・マン・スタイルの跳ね上げ式ディヘドラルドアは、Aピラーとルーフにヒンジが取り付けられており前方と上方に展開。このドアはかつて耐久レースで圧倒的な強さを見せていた、ポルシェ 917へのオマージュとなる。

ヘッドライトは現行ポルシェの特徴である4点式ライトシグネチャーを再解釈。さらにLEDライトモジュールを含む縦長ベースフォルムは、ポルシェ 906や908といったレーシングカーからインスピレーションを得ており、路面の近い位置に配置されている。

「PORSCHE」の文字が浮かび上がるリヤ

ポルシェ75周年を記念するデザインコンセプトとして発表された「ポルシェ ミッション X」のエクステリア。
リヤセクションは、4分割式テールライトの中央に「PORSCHE」の文字が浮かび上がるように配置された。

リヤセクションを特徴づけるのは、浮遊しているようみも見えるフルレングス・ライトユニット。彫刻的なテールライトが車幅全体に4分割で広がり、センターには透明に浮かび上がった「PORSCHE」の文字が配置された。バッテリー充電中は、「PORSCHE」レタリングの「E」の文字が脈動するように点滅するアクションも採り入れられている。

また、ポルシェを象徴するエンブレム「ポルシェ・クレスト」は、ミッションXから新デザインが導入された。立体的なハニカム構造、一新された紋章、より繊細なゴールドカラーなど、よりクリーンで繊細なデザインが採り入れられている。

アシンメトリーデザインのインテリア

ポルシェ75周年を記念するデザインコンセプトとして発表された「ポルシェ ミッション X」のコクピット。
ドライバーズシートはヘッドレストなどにカラハリ・グレーをチョイス、パッセンジャーシートと左右非対称デザインが採用された。

コクピットは、左右非対称のカラーコンセプトを導入し、それぞれのシートに異なるカラーリングパターンが施された。ドライバーズシートはアンダルシア・ブラウンのレザーパッドに、センターコンソールやダッシュボードと同じカラハリ・グレーの組み合わせ。パッセンジャーシートはアンダルシア・ブラウンがメインカラーとなる。

CFRP製シートシェル、モノコックに組み込まれた6点式シートベルト、モードスイッチやシフトパドルを備えたオープントップ・ステアリングホイールなど、レーシングカーのコンセプトを導入。車内には複数のカメラが搭載されており、ドライバーがマルチパーパスコントローラーの「REC」ボタンを押すことで、様々な動画収録を行うことも可能だ。

ミッションXのために、ポルシェ・デザインはアナログとデジタルのディスプレイを備えた専用ストップウォッチ・モジュールを開発。このストップウォッチはサーキットとラリーの両方で使用できるように設計されており、ラップタイムやドライバーの個別データなどを表示することもできるという。

959やカレラ GTのように市販化の計画も?

ポルシェ75周年を記念するデザインコンセプトとして発表された「ポルシェ ミッション X」のエクステリア。
現時点でデザインコンセプトとして公開された「ミッションX」だが、ポルシェは 959、カレラ GT、918 スパイダーのように市販化も計画しているようだ。

ミッションXは、パワーウエイトレシオ、ダウンフォース、充電性能でトップクラスに到達することが、開発目標に掲げられた。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいて公道最速であること、パワーウエイトレシオ「1PS/1kg」の実現、現行911 GT3 RSを大きく上回るダウンフォースレベル、900Vバッテリー搭載によるタイカン ターボS比較で2倍の充電スピードなど、現行モデルを大きく凌駕するパフォーマンスがターゲットだと明言されている。

バッテリーはパッセンジャーシート後方に搭載。この「e-coreレイアウト」により、前後重量バランスを最適化し、従来のミッドエンジンモデルに互する俊敏性を実現した。

このミッションXは、ポルシェ 959(1985)、カレラ GT(2003)、918 スパイダー(2013)といった、歴史に名を刻んできたハイパースポーツの系譜に並ぶ1台だとポルシェは明かしている。このままとはいかないが、上記の3台同様に、ミッションXの少量限定生産を計画している模様だ。

ポルシェ ミッション Xを動画でチェック!

ポルシェ 356 No.1 ロードスターのデビュー75周年を記念した「ヴィジョン 357」のエクステリア。

ポルシェ75周年記念モデル「ヴィジョン 357」が示唆する過去、現在、未来とは?

75年前の1948年6月8日、ポルシェの名を冠した最初のスポーツカー「356 No.1 ロー…

キーワードで検索する

著者プロフィール

GENROQweb編集部 近影

GENROQweb編集部