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Alpine A424_β
待望のWECトップカテゴリーに復帰

今回公開された「A424_β」は、そのネーミングどおり実戦投入に向けたテスト仕様「β版」となり、アルピーヌとレーシングコンストラクター「オレカ(ORECA)」との緊密な協力により開発。ル・マン24時間レースが開催されているサルト・サーキットの近くに新設された新ファクトリー「アルピーヌ・パドック・センター(Alpine Paddock Centre)」において、多くのジャーナリストやゲストを前に、そのレーシィなデザインがワールドプレミアされた。
2023年シーズンのWECに、アルピーヌはLMP2プロトタイプマシン「A470」で参戦。2022年までは特例を使い、ハイパーカークラスに「A480」でエントリーしており、1シーズンを経て再びトップカテゴリーに復帰することになる。WECのトップカテゴリーに参戦可能なLMDh規定に則り開発されている「A424_β」。そのフォルムはアルピーヌが受け継いできたモータースポーツの伝統とDNAをベースに、将来の投入を予定している市販モデルのデザインエッセンスが加えられた。
メカクローム製3.4リッターV6シングルターボを搭載

「A424_β」のネーミングの「4」から始まる3桁の数字は、アルピーヌが勝利を重ねた耐久レース用プロトタイプの伝統を継承。「24」はル・マン24時間レースと、デビューイヤーの2024年シーズンを意味し、「β」は前述のとおりデビュー前の最終テスト仕様を表している。
エクステリアは、今後投入予定のスポーツカーを予感させるライトシグネチャーをフロントに採用し、サイドセクションは電動デザインコンセプト「アルペングロー」からインスピレーションを得たフォルム。また、リヤにはひときわ目を引く2本の「Aアロー」を配した。アルプスの雪の結晶を象徴する三角形のモチーフは、ダガーボードとリヤウイングに採り入れられている。
ディメンジョンは全長5000mm、全幅1998mm、全高1058mm、ホイールベースは3148mm。リヤミッドに搭載されるのは、最高出力684PSを発揮するメカクローム製3.4リッターV型6気筒シングルターボ。これにボッシュ製共通ハイブリッドシステムとXトラック製7速ギヤボックスが組み合わせられた。
WECとIMSAのふたつの選手権に参戦か

アルピーヌのローレン・ロッシCEOは、A424をWECだけでなく、アメリカで開催されるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権への投入も仄めかしている。
「モータースポーツから生まれたアルピーヌの野心は、今もなお息づいています。我々にとってモータースポーツは、単なる趣味ではありません。“レース集団”のDNAを脈々と受け継いでいるのです。ル・マン24時間での歴史的勝利から45年、私たちがここにいることは決して偶然ではありません。『A424_β』は、2023年から最高のライバルに挑戦するべく開発されました」
「私たちは、このエキサイティングな挑戦に待ち受けている、困難な課題を過小評価していません。謙虚に、しかし大西洋の両側(WECとIMSA)において、私たちの足跡を残そうと決意しています。そして、モータースポーツファンの皆さんには『サーキットで会いましょう』とお伝えしたいと思います」