BMWがCO2削減に向けた積極的なコミットメントを表明

100%リサイクルを目指したEVコンセプト「BMW i ヴィジョン サーキュラー」、IAAモビリティ 2021で公開

IAAモビリティ 2021において、100%リサイクルを目指したEVコンセプト「BMW i ヴィジョン サーキュラー」を公開
BMW i ヴィジョン サーキュラーのフロントスタイル
9月7日~12日の期間に開催される「IAAモビリティ 2021」において、BMWは持続可能な都市型モビリティを中心に据えた展示を行う。開催地をフランクフルトからミュンヘンに変更した今回のIAAモビリティでは、CO2削減に向けた具体的なコミットメントに加えて、新たなEVコンセプト「BMW i ヴィジョン サーキュラー」などを公開する。

BMW i Vision Circular

CO2削減の鍵となる電動モデルを積極投入

IAAモビリティ 2021において、100%リサイクルを目指したEVコンセプト「BMW i ヴィジョン サーキュラー」を公開
CO2の大幅削減を掲げるBMWグループは、積極的に電動化を推進。2030年までに世界販売台数の少なくとも半分を電気自動車とする目標を掲げている。

現在、BMWグループは、気候変動に対する取り組みのペースを上げている。2020年夏に発表したCO2排出量を大幅に削減するという企業ポリシー「Neue Klasse(ノイエ・クラッセ)」をさらに強化していく。今回のIAAモビリティでは、世界的な目標「地球温暖化を1.5度以内に」への明確なサポートも打ち出している。

これに併せて、BMWグループは循環型経済に焦点をあて、再生資源の使用を大幅に増加。再生資源市場を確立するためのより良い枠組みの確立も促進していく。

BMWグループ全体のCO2排出量のうち70%を占める、車両使用時に排出されるCO2削減への積極的な取り組みも表明した。2030年までに、車両1台あたりのCO2排出量と走行キロ数を、2019年のレベルから少なくとも半減させることを宣言。生産時とサプライチェーンを含む、自動車ライフサイクル全体でも車両1台あたりのCO2排出量を少なくとも40%削減することを計画している。

地球温暖化抑止において、最も強力な推進力となるのが電気自動車であり、BMWグループも電動化への取り組みを加速させる予定だ。今後約10年間で、BMWグループとして約1000万台の電気自動車を販売。早ければ2030年にはBMWグループの世界販売台数の少なくとも半分が電気自動車となり、この年にはMINIは完全に電気自動車専用ブランドとなる。

BMW AGのオリバー・ツィプセ会長は、BMWグループとしての環境問題に対する取り組みについて、次のように説明した。

「昨今、CO2排出量にどのような対応を見せるかが、企業行動を判断する上での大きな要素となっています。地球温暖化防止のためには、自動車のライフサイクルにおける二酸化炭素排出量をどれだけ削減できるかがポイントとなります。私たちはCO2排出量の大幅な削減に向けて、透明性のある野心的な目標を設定しました。この目標は、国連による『サイエンス・ベースド・ターゲット・イニシアティブ(SBTi)』によって検証・監視されており、効果的で測定可能な貢献を実現することができるでしょう」

5シリーズやMINIカントリーマンにもEVを投入

IAAモビリティ 2021において、100%リサイクルを目指したEVコンセプト「BMW i ヴィジョン サーキュラー」を公開
IAAモビリティにおいて、最新電動モデルのBMW i4とBMW iXを公開。今後数年内に、5シリーズやMINIカントリーマンにも電動モデルが投入される予定だ。

IAAモビリティでは、2台の電動市販モデル「BMW iX」と「BMW i4」が公開される。BMW iXは、BMWグループの技術的なフラッグシップであり、電動モビリティとデジタル化における先陣を切ったモデル。搭載される第5世代「BMW eDrive」テクノロジーは、e4WDの進化と航続距離の延長により、エミッションフリーながらも道を選ばないドライビングプレジャーを実現する。

BMW i4は、プレミアム・ミドルレンジモデル初の電動モデルとして登場。スポーティなスタイル、エミッションフリーながらも優れたドライビングプレジャーを確保した。また、4ドア・グランクーペとして、十分なスペースと実用性を兼ね備えている。

BMWは、数年内に販売台数の多いBMW 5シリーズ、7シリーズ、X1、そしてMINIカントリーマンのフル電動バージョンのデビューも予告。2023年には、現在の市場セグメントの約90%で、少なくとも1車種のフル電動モデルをラインナップする予定だという。

100%リサイクルを目指した「i ヴィジョン サーキュラー」

IAAモビリティ 2021において、100%リサイクルを目指したEVコンセプト「BMW i ヴィジョン サーキュラー」を公開
今回、ワールドプレミアされた4シーターEVコンセプト「i ヴィジョン サーキュラー」は、リサイクル材料使用率100%とリサイクル可能性100%を、目標に開発された。

気候変動に配慮したモビリティは、電気自動車の走行台数を増やせば自動的に実現するものではないと、BMWは考えている。巨大資源集約産業である自動車製造においては、まず一次素材の使用を減らし、環境に悪影響を及ぼす資源開発の阻止や、CO2を多く排出する加工工程の数を減らすことが重要となる。

BMWグループは、持続可能性に対する全体的なアプローチの一環として、車両に使用する再生素材の割合を大幅に増やすことを目指している。現在の車両は、平均して約30%のリサイクル素材/再生可能素材を使用して製造。今回、BMWが掲げた「Secondary First」アプローチにより、BMWグループはこの割合を順次50%まで引き上げることを計画している。

今回発表された「BMW i ヴィジョン サーキュラー」は、循環型経済の沿った自動車デザインを具現化した。全長約4mの4シーターEVは、「リサイクル材料使用率100%」と「リサイクル可能性100%」達成を目標に開発。バイオベース素材やリサイクル認証された素材に加えて、すでに製品としてのライフサイクルを経た素材、いわゆる二次素材が活用された。また、搭載されている全固体バッテリーも100%リサイクル可能となっている。

i ヴィジョン サーキュラーでは、内外装のデザインにも「循環=サーキュラー」コンセプトが採り入れられており、「RE:THINK」「RE:DUCE」「RE:USE」「RE:CYCLE」の4原則が盛り込まれている。

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