ロータスの最新スポーツカー、そのデザインのポイントとは

新型ロータス エミーラは「ベイビー スーパーカー」! デザイナーがそのカタチの原点を語る。エクステリア編

ロータス エミーラのフロントビュー
ロータス エミーラのフロントビュー。
ロータスにとって「最後の内燃機関モデル」となるエミーラ。新時代に向けて走り出すロータスにとって、そのムーブメントを先導することになる第1弾のプロダクトとなる。エクステリアデザインひとつとっても、これまでのロータスとはひと味もふた味も違うムードが強く漂っている。存在感たっぷりなエミーラの外見を形づくったデザイナーに、そのポイントについて語ってもらった。

Lotus Emira

ロータス最後の内燃機関ミッドシップ

ロータスの最新スポーツカー、エミーラがいよいよ登場した。トヨタ製V6、もしくはAMG製直4をリヤにミッドシップするミッドシップ2シーターは、「ロータス最後の内燃機関モデル」として、そしてまったく新しい次世代のロータスとして、2つの意味で大きな注目を集めている。

エヴォーラを少しだけ大きくしたサイズ感の、いかにもロータスらしい引き締まったスポーツカーでありながら、スーパーカー然とした存在感を主張するエミーラ。内装も、現代的な要素をふんだんに取り入れながら、それでいて純粋なロータスの世界観をうまく表現している。そのスタイリングの秘密を、ロータスのデザインチームが明らかにした。以下、一問一答形式でお届けする。

ロータスには豊富な“ライブラリー”がある

ロータス エミーラのフロントビュー
2021年7月6日にワールドプレミアしたロータス エミーラ。ロータスらしいコンパクトなミッドシップスポーツカーでありながら、スーパーカーのような迫力ある外観を与えられている。

ダニエル・デュラント(40才)はロータスに勤務して12年の現シニア デザイナーで、2014年のエキシージ LF1 スペシャルエディション、2015年のエヴォーラ 400、2017年のエキシージ 430 カップなどを手掛けた。エミーラのエクステリアデザインを監修。

Q. エミーラのプロジェクトを任されたとき、どう思いましたか?

A. 私のテーマがエミーラに採用されたときは感激しましたね。私はこれまでロータスのスタジオで多くのプログラムに携わってきました。ですから、エクステリアデザインのリーダー役を務められることは、大変に素晴らしい機会であると同時に、大きな責任も感じました。私自身がロータスのいちファンですし、我々の製品は非常に特別ですから。

Q. エミーラのプロジェクトを開始したのはいつですか?

A. 最初にステッチを書いたのは2018年です。

Q. どんなところからインスピレーションを得たのでしょうか?

A. あらゆるところと言っていいでしょう。とくにエヴァイヤは参考にしましたし、ロータスにはテクニカル面でもビジュアル面でも参照すべき資料をふんだんに収めた“ライブラリー”があります。私はジェット戦闘機に見られるような形状が好きです。全体的なフォルムには柔らかみがありながら、引き締まった折り目を持っています。たとえば攻撃的な鮫の鼻先や、襲いかかろうとしているチーターの筋肉質な脚の付け根など、自然の中にあるカタチも素晴らしいインスピレーションの源です。

現代車に必須の「アレ」をどこに置くか

ロータス エミーラのサイドビュー

ロータスならではの、低く這いつくばるようなフロントエンド。ここにADAS系のレーダーやセンサー類をいかにうまく収めるかが大きなチャレンジとなった。

Q. エミーラのエクステリアを5文字で表すと?

A. 彫刻的、アスリート、機敏、エレガント、活動的、です。

Q. とくに気に入っている部分はどこですか?

A. ボディ側面、エアインテーク周りの彫刻的なラインです。素晴らしい三次元構造は、ボディサイドのダクトに向けて空気を流しこむようにデザインされています。技術的、美的の両面で、これだけのフォルムと劇的な効果を詰め込んでいるクルマは世界を見渡してみてもそう多くないのでは。我々は常にエミーラを“ベイビー スーパーカー”にするためのデザイン言語を模索してきました。

Q. エミーラをデザインするにあたり、最も大きなチャレンジだったことは?

A. ビジュアルの観点から、スポーティさと洗練の適正なバランスを見つけることでした。あまりにアグレッシブで威嚇するような外見ではいけません。軽やかで視線を惹きつけ、かつ機敏でなくてはならないのです。しかもコンサバすぎず、それでいてプレミアムでなくてはいけない。技術的な観点でいうと、センサーやADAS用レーダーの設置場所について慎重に検討をしなければなりませんでした。ロータスらしく地面近くに這いつくばるようなフロントエンドを作りだすことは、大きなチャレンジでしたね。そういった機構はとても小さいのですが、非常に厄介でもあるんです。

大切にしたのはエヴァイヤとの共通項

 

ロータス エミーラのボディサイド

ロータス エミーラのボディ側面に深く彫り込まれた大胆なライン。ビジュアル面だけでなく、空力面でも大きな効果を発揮するという。

Q. エミーラのデザインプロセスについて教えてください

A.チームとしては、通常のロータスデザインとしてのプロセスを踏襲しました。まずはテーマ・スケッチに始まり、スケールモデルを製作。最終的にはフルサイズのクレイモデルを仕上げます。最終的なテーマを選び出すまでに、私たちはたくさんのデザイン案を絞り出しました。デザインを磨き上げていくプロセスでは、技術的な面やエアロダイナミクスなどの要素も取り入れていきます。その際、つねに念頭に置いていたのが、エヴァイヤに近いビジュアルを持たせることと、エヴァイヤの哲学に共鳴させること。両車に繋がりをもたせることはとても重要でした。一方で、2車が全く異なるクルマとして、それぞれに相応しいパフォーマンスをもたせることも。

Q. エミーラはロータスにとって何故そんなにも重要なのでしょうか?

A. 真のスポーツカーとしてのスピリットを堅持しながらも、より広いカスタマーの皆様にアピールできるクルマだからでしょう。

Q. 次に手掛けるプロジェクトについて教えてください

A.すでに次のプロジェクトが進行中ですが、もちろん今お話することはできません。でも、やっぱりとてもワクワクするものになりますよ。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…