「BEV×SUV」パッケージの大本命!

BMW iXという名のSAVが未来の“駆けぬける歓び”を切り拓く 【IAAモビリティレポート】

BMW iXのフロントスタイル
BMW iXのフロントスタイル
すでに日本でのお披露目を終え、BMWジャパンのウェブサイトでもカタログモデル扱いされているBMW iXは、IAAモビリティの中でも特に注目株だった。BMW電動化戦略の要であり、あらゆる新技術をまとってデビューすることになる新時代のSAV「BMW iX」に迫る。

BMW iX

BMWが提案するバッテリー駆動のクロスオーバーSUV

BMW iXのリヤスタイル
BMW iブランドの第3弾としてリリースされるiX。日本国内でもすでにオーダー受付を開始しており、ローンチエディションはxDrive40が税込1155万円、xDrive50が同1373万円。

いつも“駆けぬける歓び”を掲げてクルマ好きを魅了してきたBMWは、その“歓び”はパワートレインが変わっても実現するはずだと、早くから電気のチカラに可能性を見出してきた。BEVのシティコミューター「i3」や、プラグインハイブリッド(PHEV)のスポーツカー「i8」など電気の可能性を追求したモデルの登場は早かった。

そのiブランドの第3弾として登場したのがiXだ。ご覧の通りクロスオーバーSUVタイプのBEVで、初期生産モデルのローンチエディションは、2021年6月からBMWオンラインストアで受注が始まっている。

2023年以降、12種類のEVを登場させ、2030年には世界で販売するBMWの半分をBEVとすると公言するBMWにあって、このiXはキーモデルであり、技術的なフラッグシップに相当する。アルミスペースフレーム構造とカーボンケージに代表されるBMWグループの新開発プラットフォームをベースとした最初のモデルであり、第5世代の「BMW eDrive」テクノロジーの先駆け的な存在だからだ。

最高出力500ps超、最大航続可能距離は600km超へ

BMW iXのパワートレイン
xDrive40は最高出力326ps/最大トルク630Nm、最大航続可能距離は425kmを計上。xDrive50では、最高出力523ps/最大トルク765Nmを発揮し、最大航続可能距離は630kmに及ぶ。

第5世代は2基の電気モーターを搭載したAWD(xDrive)で、新しい充電技術を用いて最大200kWのDC(直流)急速充電を可能とする。すでに日本で公開されたxDrive40の場合、最高出力は240kW(326ps)、最大トルクは630Nm(64.2kgm)で、バッテリーの蓄電容量は71kWh。WLTPサイクルでの航続可能距離は最大425kmとなる。

xDrive50になると、バッテリー蓄電容量が105.2kWhになり、航続可能距離は最大630kmへ。それに伴ってモーターもよりハイスペックとなり、最高出力385kW(523ps)、最大トルク765Nm(78.0kgm)にまで高められる。先の出力性能及び航続距離に加え、xDrive50の場合、およそ35分でバッテリー容量の80%を充電できるほか、10分足らずで150km走行分の電力を充電できるという。

iブランドのキーモデルというべき理由は他にもある。BMW伝統のキドニーグリルを踏襲しつつも、空気を取り入れる“グリル”という役目を終えたBEVとなった今、その裏側にはカメラやレーダー機能、センサー技術、そしてヒーターエレメントなどが搭載されるようになった。さらに前後及びアンダーフロア、ホイールのエアロダイナミクス効果により、全長4953×全幅1967×全高1695mmという堂々たるSAVながら、前面空気抵抗係数(Cd値)はわずか0.25に抑えられた。

最先端のデジタルアーキテクチャーを採用

BMW iXのインテリア
BMW iXのコクピットを象徴するのはブランドとして初採用のヘキサゴンステアリングホイール。14.9インチと12.3インチの多用途デジタルディスプレイも未来感を漂わせる。

インテリアに目を移せば、12.3インチのインフォメーションディスプレイと、フレームレスガラスサーフェイスで誂えられた14.9インチのコントロールディスプレイ、ダッシュボードに埋め込まれたヘッドアップディスプレイなどによる、フルデジタルスクリーンのコクピットが目を惹く。そのほかにもBMW初という六角形ステアリングや、ロッカースイッチ式ギヤセレクター、新開発の左右非対称型ヘッドレスト一体式シートなど、iブランドらしい新機軸が多数盛り込まれている。

それでも決してデジタル一辺倒ではなく、パノラマガラスルーフや一流家具のようなコンソールまわりなど、温もりのあるアナログ基調の素材やデザインと融合させているのがいい。あくまで「人を中心に据えたモビリティ体験」と主張するBMWの、その真意が伝わってくるようだ。

iXは2021年11月には正式に発売される。すでにBMWジャパンのウェブサイトでも正式なカタログモデルとして記載され、コンフィギュレーターから注文できるようにもなっている。ライバルメーカーが次々とBEVのSUVを実用化している中で、その激戦区にいよいよ大本命のBMW iXが切り込む。それが大本命と言えるだけの性能と世界観が宿っているということは、これまで触れてきたその発表内容を踏まえると、推測から確信に変わった。

TEXT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)
PHOTO/山本佳吾(Keigo YAMAMOTO)

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