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航空機の技術を採り入れたチャイルドシート
1995年に英国・ブリングハムを拠点として、エンジニアのケビン・マクリバーにより設立されたマルチマックは、3名/4名の子供を安全に乗せることができる、ユニークな「マルチカーシートシステム」を開発した。航空機の規格に準拠して設計されたマルチマックのチャイルドシートは、妥協のない安全性を追求。巧みな設計と高度なアルミニウム構造により、衝突時のエネルギーを最大限に吸収し、衝突試験でも優れた性能を発揮する。
マルチマックの創業者であり、CEOを務めるケビン・マクリバーは、昨今の需要の変化について次のようにコメントした。
「気候変動は何十年にもわたって、世界の重要なトピックでしたが、ようやく大多数の人々が環境への影響を減らすため、日々の生活を真剣に変えようとする段階に入ったように思います」
「その結果、多くのお客様が電気自動車にマルチマックのチャイルドシートを選択するようになりました。電気自動車の性能が向上し、比較的手頃な価格になったためか、あるいは新型コロナウイルスのパンデミックの際、多くの人々が余裕をもった考え方をするようになったからか。いずれにしても、電気自動車がついに私たちのドライブウェイに姿を現すようになったのです」
あらゆるサイズの電動モデルに対応
電気自動車がまだ珍しい存在だった2014年、マルチマックはBMW i3用のチャイルドシートを開発。現在では、7種類の異なるサイズのシートを展開しており、テスラ モデルX、ポルシェ タイカン、ニッサン リーフなど、様々なサイズの電気自動車に問題なく装着することが可能となっている。
マルチマックは3名以上の子供を持つ家族や、幼児送迎サービスのために設計。リヤシートに3~4基のシートを装着できるため、複数の子どもを乗せるために大型車両を購入する必要がない。また、シートは前述のようにアルミフレームを使用しているため、製品全体がリサイクル可能となっている。
マルチマックのオペレーションディレクター、ミンティ・マクリバーは、電動モデルへの対応のきっかけがBMW i3にあったことを明らかにした。
「マルチマックを導入した初期の電気自動車のひとつがBMW i3でした。非常にクレバーですが、驚くほどコンパクトな車両でした。そのため、従来のシートを装着するには幅が狭すぎたのです。そこで私たちは大きな需要を見込んで、リヤシートのアームレストの間にぴったりと収まる新モデル『スーパークラブ・ジュニア(Superclub Junior)』を開発しました。これにより、環境意識の高いお客様が3人のお子様を、安全に運ぶことができるようになりました」
EVが一部の先進的なカスタマーにより選ばれた時代は過ぎ、今や家庭をもつ一般ユーザー層へと浸透していることが、マルチマックのチャイルドシートが大きな需要を掴んでいることからも窺える。