目次
AURA
新型コロナウイルスのロックダウン下で開発
オーラ・プロジェクトは、新型コロナウイルス(COVID-19)のロックダウン下においてスタート。英国の4企業が、未来のドライバーズカーを示す電動2シーター・オープンスポーツの開発に取り組んできた。自然を感じさせる彫刻のようフォルムが与えられた「オーラ」は、天然繊維複合材を積極的に採用。最先端のヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)、効率的な電動パワートレイン、現代的なドライバーインフォテインメントを搭載する。
オーラは、アストハイマー・デザイン(Astheimer Design)社がエクステリアとインテリアデザイン、ポテンザ・テクノロジー(Potenza Technology)社がドライブトレインとツインバッテリーシステム、BAMD社は持続可能なマテリアルを使用したボディパネル、コンジュール(Conjure)社は革新的なHMIシステムの開発を担当。公道走行可能な電動コンセプトカーとして開発された。
2020年10月1日からプロジェクトがスタートし、開発開始からわずか1年足らずで最初のコンセプトモデルとなるオーラが完成。このプロジェクトは、英国政府の低公害車局(Office of Low Emission Vehicles)が展開する「ニッチ・ビークル・ネットワーク(Niche Vehicle Network)」から、一部資金の提供を受けている。
2基のモーターにより400マイルの後続距離を実現
オーラはポテンザ・テクノロジーが開発した後輪駆動・電動パワートレインを搭載。2基の44kWhバッテリー(合計88kWh)により、約400マイル(約643km)の航続距離を実現した。1基のバッテリーをフロントに、もう1基を車体下部に配置するという、革新的なパッケージングを採用している。
オーラは、コンジュールによる最先端のヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)システムを中心に設計されており、ドライバーと車両、その周辺を密接につなぐことで、電気自動車に付きまとっていた充電ポイントや航続距離の不安を払拭した。
HMIシステムの中心となるのが、10インチのタッチセンサー・インフォテインメント・システムと、ステアリングホイールの中央に設置された5インチの円形セルフレベリング・ディスプレイ。最新の「アンドロイド・オートモーティブ・オペレーティング・システム」を採用しており、次世代のHMIソフトウェアとアプリを含むすべてのシステムが高度に統合されている。
航続距離の不安を払拭する最新のHMIシステム
オーラに搭載されるHMIシステムには、天候、ドライビングスタイル、周囲の環境を常時モニタリングすることで、走行中にエネルギーの使用状況を最適化するAIソフトウェアを搭載。これにより、ドライバーが予想外にバッテリーの電力を使い過ぎたり、必要以上に充電ポイントで待ったりすることがなくなるという。
現在、公道を走行している電気自動車に搭載されているエネルギー最適化データは、車外のデータソース(気象条件や位置情報など)を十分に解析していないため、不正確な情報をドライバーに伝える場合がある。これにより、多くのユーザーが電気自動車に対する不安感を持っており、特に不正確な予想航続距離はEV業界が克服すべき大きな障壁となっている。
オーラはクラウドサービスにリアルタイムで接続されており、ドライバーが希望すれば航続距離を最大化しつつ周囲への影響を最小限に抑えるための推奨ルートを提示することも可能。オーラに搭載されているこれらのHMIシステムの開発を担当したコンジュールのクリス・テォングレーCTOは、今回のコンセプトについて次のように説明した。
「私たちは、HMIシステムが将来的にドライバーと車両、その周辺地域をより密接に結びつけるためにも、大きな可能性を秘めていると考えています。これまで多くのHMIプログラムは、ソフトウェア、ハードウェア、ユーザーエクスペリエンスを別個に開発してきました。これらをひとつの要素として開発する当社のアプローチは、未来のクルマの進化に向けて大きなステップとなると信じています」