2022年1月開催の国際的ラリーエイドにアウディが参戦

ダカールを目指すアウディRS Q e-tron。「砂漠で充電」を可能にした電動ラリーマシンがモロッコを走る

モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron
モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron。
アウディは2022年1月に実施されるダカールラリーに向けて、電動SUV「RS Q e-tron」の開発を急ピッチで進めている。ドイツ、スペインでの走行テストを経て、9月には灼熱のモロッコへ。摂氏40度を超える気温のもと、砂嵐の中でもその性能を保持できる性能を証明した。

Audi RS Q e-tron

“充電用”のTFSIエンジンを搭載

モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron。ステファン・ペテランセルとエドゥアール・ブーランジェ
2022年1月のダカール参戦を目指し、モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron。車両に乗り込もうとしているのはステファン・ペテランセルとエドゥアール・ブーランジェ。

「クワトロ」でラリー界に一大革命を起こしたアウディが、再び大きな一石を投じようとしている。それが現在開発を進めている「RS Q e-tron」だ。いかにも未来的な外観を与えられたオフローダーは、画期的な電動ドライブトレインを搭載する。

RS Q e-tronの原動力となるのは、容量約50kWhのバッテリーと3基のモータージェネレーターユニット、そして高効率なTFSIエンジン。この内燃エンジンは駆動用ではなく、あくまで充電用であり、充電ステーションのない砂漠を電動マシンで走り続けるためのひとつのソリューションである、としている。

モータージェネレーターはフォーミュラEゆずり

モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron。リヤセクション
モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron。ときに摂氏40度超え、ときに砂嵐が襲う過酷な環境下で、最新の電動ドライブトレーンを鍛え上げていく。

3基のモータージェネレーターユニットは、アウディ e-tron FE07 フォーミュラEマシン用に開発されたもの。前後アクスルに1基ずつ、そしてもう1基はエネルギーコンバーターの一部として走行中のバッテリー充電用に使用する。

一般的な電気自動車と同様に、前後アクスルは機械的に接続されておらず、トルク配分を瞬時に電子制御する仕組みを採用。プロペラシャフトや機械式デフを搭載する必要がなく、重量及びスペース効率の面にもメリットをもたらすという。

サインツやペテランセルもテストに同行

モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron。マティアス・エクストロームとエミール・ベルグクヴィスト
モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron。タイトなコクピットを、コンビを組む2人に馴染むように作り込んでいく。写真はマティアス・エクストロームとエミール・ベルグクヴィスト。

モロッコのテストには、3人のプロドライバーも帯同した。“ムッシュ・ダカール”の異名をもつステファン・ペテランセル、ラリーレジェンドのカルロス・サインツ、そしてDTM王者として名を馳せたマティアス・エクストローム。彼らは2022年ダカールにアウディクルーとして参戦する。

もちろん、コドライバーを務める予定のエドゥアール・ブーランジェ、ルーカス・クルス、エミール・ベルグクヴィストも欠かすことのできないテストメンバーだ。ラリーではドライバーとコドライバーは常に一心同体。キャビンは2人の仕事場であり、両者がぴたりと馴染むことのできる空間でなくてはならない。アウディスポーツでファクトリーモータースポーツ部門を率いるアンドレアス・ルースは次のように語っている。

「モロッコのテストでは、ドライバーとコドライバーの空間をより広く確保するために、そして2人が互いにコミュニケーションを取りやすくなるように、タイトなコクピットに改良を加えました。フィードバックは好感触でしたよ」

本番は2022年1月2日〜14日

モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron
モロッコでテストを行うアウディ RS Q e-tron。ダカールラリー本番は、2022年1月2日〜14日に行われる。

テストチームの面々は、モロッコならではの過酷な状況にいくつも遭遇した。気温計の針が摂氏40度以上を指し示すことも、砂嵐に襲われることもあった。しかし、それでも彼らは、最も過酷な状況下でのテストに踏み切った。いかなる高温下でもモーターをはじめとした各コンポーネンツが無事に働くよう、あえて厳しい場所を選んで試験に踏み切ったのだ。

ダカールラリー専用に開発した高圧バッテリーも、最大のパフォーマンスを発揮できるよう温度の管理方法を追求。これらの過酷な開発プロセスから得られたノウハウは、将来の市販モデルへとフィードバックしていくという。

約2週間にわたり、1日数百kmもの悪路を走破する世界一過酷なラリーで、アウディの電動オフローダーはどんな戦いを見せるのか。2022年のダカールラリーは、1月2日から14日にかけて行われる。

著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…