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Porsche 968 L’ART
メカニックからストリートウェアブランドの創設者に
アチュール・カーは、幼い頃からスポーツカーへの情熱、特にポルシェへの深い愛情を抱いていた。レバノンのベイルートで生まれパリで育った彼は、幼少期の多くを父親の自動車工場で過ごした。16歳の時には、フランスのポルシェセンターでメカトロニクス担当テクニシャンとして働き始めている。
自身のポルシェを持ちたいという夢を叶えるために、アチュール・カーは思い切ってビジネスを立ち上げ、自身が整備したクルマを世界中のカスタマーへと販売することにした。ビジネスが軌道に乗り、まだ若かった彼はハイパースポーツカー「カレラ GT」を購入している。そして、2017年にはファッションブランド「L’Art De L’Automobile」を設立。ストリートウェアファッションとスポーツカーへの情熱を、美しく融合させた。
パリのマレ地区でインスタレーションとして公開
今回製作されたアートカーは「968 L’ART」と名付けられ、アートが持つ洞察力を自動車の世界で表現するという、アチュール・カーの野心を象徴している。968 L’ARTは、2021年のパリ・ファッション・ウィークでデビューし、2021年9月30日から10月3日まで、パリのマレ地区にアート・インスタレーションの一部として展示された。
968 L’ARTの公開を記念し、「L’Art De L’Automobile」はポルシェとのコラボレーションにより、ふたつのカプセル・ファッションコレクションを発表。パリ・ファッション・ウィーク中、マレ地区の展示会場で販売されるほか、高級セレクトショップやオンラインショップでも販売される。
ひとつ目は、化粧品ブランド「バイレード(Byredo)」とのコラボレーションによるエクスクルーシブなエアフレッシュナー。ふたつ目は、ポルシェがプロデュースした6つのファッションアイテムで構成されており、こちらは2021年10月中旬から一部のポルシェセンターと、オンラインショップで販売される。
1990年代のレトロに加えられたモダンテイスト
968 L’ARTは、パリの工房で1年半をかけ細部まで愛情を込めて製作。このアートカーのベースとして選ばれたのは、2021年にデビュー30周年を迎えたポルシェ 968であることは偶然ではない。日常使いに適した968のスタイリングは、ストリートウェアレーベルとして人気を集める「L’Art De L’Automobile」の世界観と完璧に一致。そのデザインは、968が持つ1990年代初頭のレトロな外観をベースに、アップデートされたモダンなテイストが加えられた。
ベースの968からはルーフが取り外され、新たにロードスターへと変更。このプロジェクトのためにアチュール・カーとチームはボディカラーに採用すべく、独特の風合いを持つグリーンを開発した。もうひとつのハイライトが、ポルシェ・スピードスターからインスパイアされたクラシカルなリヤセクション。テールライトは完全に再設計され、「L’Art De L’Automobile」のサングラスにも使用されている「KAR」のレタリングが施されている。
インテリアには、ポルシェのパートナーブランドのタグ・ホイヤー、RECARO、BOSEが、それぞれ独自のデザインによる製品を提供。ダッシュボードには、このアートカーのために特別に製作されたタグ・ホイヤー製ストップウォッチが設置された。RECAROのバケットシートも独自にカスタマイズされたもので、サスティナブルな特注レザーが使用されている。BOSEは、革新的なスピーカーの配置やエレガントなグリルデザインなど、カスタムデザインされた968 L’ART専用オーディオシステムを提供した。