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ニ種類のシャシー、全車300ps
ニュルブルクリンク北コースで、市販前輪駆動車トップのラップタムをマークし続けてきたメガーヌRS(ルノー・スポール)。三代目となる現行型は、先代の3ドアから5ドアになった上に、4コントロールと名付けられた4WSを搭載し、直列4気筒ターボエンジンが2.0lから1.8lにダウンサイジングされるなど、話題が多い。
エクステリア
ボディは同じハッチバックのメガーヌ・インテンスと比べると、60mmも広くなった全幅が目立つ。RSでは当初から使っている、ダブルアクシスストラット式フロントサスペンションを収めるためだ。さらにダンパーは前後とも、ストローク終端部にもうひとつのダンパーを組み込んだHCC(ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)を採用する。
インテリア
足まわりは公道でのスポーツ走行を想定したシャシースポールと、サーキットを念頭に置いたシャシーカップがあり、標準グレードは前者、トロフィーは後者を組み込む。エンジンは当初から最高出力279psと、旧型を上回っていたが、2021年のマイナーチェンジではトロフィーに積まれていた300ps版が全車展開となった。6速のトランスミッションは、ルノーではEDCと呼ぶ2ペダルのデュアルクラッチのほか、トロフィーはMTも選べる。EDCではマイナーチェンジで、アダプティブクルーズコントロールが装備された。
4コントロールの安定感 固めながらしなやかなサス
1.8lターボエンジンは、2500rpmあたりからなだらかにターボが立ち上がるので扱いやすい。300ps仕様では高回転での伸びも良くなり、レッドゾーンまで勢いが衰えずに吹け上がるようになった。先代に比べて洗練度は格段に向上したが、一方でサウンドは野性的な響きを届けてくれる。
そのエンジン以上に魅力的なのがシャシーで、現在市販されている前輪駆動車ではトップレベルの能力と言うことができる。低速コーナーでの目の覚めるような旋回性と、高速コーナーでの絶大な安定感が両立しているのは、まぎれもなく4コントロール効果。固められた足なのに荒れた路面でもしっとり接地してくれるのはHCCのおかげだろう。
うれしい装備
高性能な前輪駆動車でありながら、ステアリングの感触は自然。ハブキャリアをストラットから独立させたフロントサスペンションによるところが大きい。それでいて乗り心地はフレンチスポーツらしく、硬めながらショックを絶妙に逃がしてくれる。ここでもHCCが貢献していると実感できる。
しかもマイナーチェンジではアダプティブクルーズコントロールが追加されたので、この快適性がさらに引き立つようになった。昨今の電動化の流れから考えると、これがエンジンだけで走る前輪駆動スポーツモデルの頂点のひとつになるのかもしれない。
Country France Debut 2018年8月(一部仕様変更:22年7月) 車両本体価格 519万円~559万円
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。
http://motorfan-newmodel.com/integration/143/