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力強い加速で乗り心地は上質 運動性能や基本構造も高水準
2022年5月に発売され、3週間で1万1000台、5ヵ月で3万3000台を受注と、日本で最も売れているBEVになったサクラ。一時期受注停止していたが22年12月22日に再開したので、まだまだ販売は伸びていきそうだ。
エクステリア
人気の理由はBEVとしては価格が安いこと。車両価格は254万8700円〜304万400円だが国の補助金が55万円、エコカー減税1万5600円のほか、自治体の補助金も付く。東京都ならば60万円で、最大116万5600円が優遇されるのだ。とはいえ魅力はそれだけではない。乗ってみればエンジン車とは一線を画するトルキーで上質な乗り味に誰もが虜になるはずだ。
乗降性
ハイトワゴンのデイズをベースにBEV化したサクラは、床下にリチウムイオンバッテリーを敷き詰めている。容量は20kW/hと少なめでWLTCモードの一充電走行距離は180㎞。急速充電に対応しているが、受け入れ能力は30kWとさほど大きくはない。デイズと同じく前輪駆動でモーターの最高出力は軽自動車の自主規制である47kW(64㎰)に抑えられているが、最大トルクは195Nmと強力で、660㏄自然吸気の3倍以上、660㏄ターボの約2倍だ。車両重量は1070〜1080㎏で、デイズの840〜940㎏に比べれば重たくなるが、バッテリーが大きくはないのでそれほどの重量増ではないのは幸いだろう。
インストルメントパネル
発進/加速は滑らかにして力強い。アクセルペダルを踏み込めば、タイムラグなくスッと走り始め、軽快に速度をのせていく。トルクが図太いだけではなく、フラットでシームレスなので心地良い。いまでは多くのBEVがあるが、さすがはリーフでの経験が長い日産だけあってレスポンス、滑らかさなど制御が巧みでドライバビリティは超優秀。エンジンの軽自動車を大きく上回るだけではなく、BEVの中でも良い方だ。アクセルオフでの回生強度を強めるe-ペダルは、完全停止するワンペダルドライブではないが、アクセル操作で加減速を自在にコントロールできて楽しく運転できる。
居住性
シャシー性能も軽自動車とは思えないほどにハイレベルだ。低重心ゆえに背高のデメリットがまったく感じられず、高速道路で横風を受けてもどっしりと安定している。コーナリングも得意で、攻めて走りたくなるほど。バッテリーを搭載することと重量増に合わせてサスペンションまわりは剛性強化されているのだが、それが上質な乗り味にもつながっている。サスペンションの上下動が実にスムーズで凹凸を乗り越えたときなどもブレがなく、乗員は快適だ。
うれしい装備
月間販売台数 3339台(22年7月〜12月平均値) 現行型発表 22年5月 WLTCモード電費 124Wh/km
ラゲッジルーム
一充電走行距離は180㎞で、悪条件が重なると実電費では100㎞程度まで落ちることはあるだろう。高速道路を走り続ければ1時間強でエンプティになり、30分の急速充電でも数十㎞分を足せるのがせいぜいなので、ロングドライブでの使い勝手はよろしくない。ただし、街なかだったら平均速度20㎞/h程度なので、5時間は走り続けることができるので十二分。シティコミューターとしては最高に利便性が高いともいえるのだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。http://motorfan-newmodel.com/integration/148