欧州コンパクトに匹敵する上質さと完成度「日産ノートオーラ」【最新コンパクトカー 車種別解説】

「高級なノート」というコンセプトのもと誕生した「日産ノートオーラ」。3ナンバーのワイドボディと細やかな上質感のあるインテリア、そしてオーラ専用のe-POWERの力強さと静粛性は「小さな高級車」という狙いをストレートに体現する存在だ。
REPORT:佐野弘宗(本文)/工藤貴之(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:佐々木萌香

贅沢な専用ワイドボディを採用 静粛性も群を抜く

ノートオーラ(以下、オーラ)はノートとともに、2021-2022 日本カー・オブ・ザ・イヤーを含む国内の自動車賞典を総ナメにし、販売も絶好調。この2022年の国内月間販売ランキングでも登録車4〜5番手という上位が定位置となっており、今の日産で最も多く売れているだけでなく、トヨタブランド以外では国産登録車トップの売り上げを維持している。

エクステリア

言うなれば「ノート」の上位モデルだが、フロントではヘッドライト&グリル とバンパー、リヤではテールランプやリヤバンパーが異なる。さらに、フェン ダーも膨らみが大きい上にドアパネルも異なる。最小回転半径は5.2m。

基本ハードウェアはオーラもノートも共通だ。土台となるCMF-Bプラットフォームはルノー三菱とのアライアンス下で開発されたもので、そこに日産独自開発のシリーズハイブリッド「e-POWER」を積む。主力となるFFのほか、後軸に先代より明らかに強力な68psモーターを積む4WDが用意される点も、ノートと同様である。

乗降性

その上で、欧州製の輸入コンパクトとの競合も視野に入れた「高級なノート」というコンセプトで仕立てられたのがオーラである。「G」と「Gレザーエディション」という基本グレードのほか、シャシーからパワートレイン制御まで徹底的に鍛えられた「NISMO」が用意されるのもオーラだけである。

インストルメントパネル

バイザーのない大型ディスプレイやブリッジタイプのセンターコンソールなど基本的なレイアウトは標準タイプのノートに準じている。しかし、メーターは画面がふたまわりも大きなサイズで、トリムの仕上げも上質化。

ノートより高級である根拠その1は、ノートが5ナンバーサイズなのに対して、オーラは全幅1735mmの3ナンバーワイドボディとなることだ。ボディ拡幅は専用のインチタイヤカバーするために成形された専用フェンダーボディによるもので、逆に言うと、それ以外のサイジングはノートと違わない。

よって室内空間もノートと変わりないが、ノートはもともとコンパクトカーとしては広い室内を売りにしているので、その点に不足はない。オーラが高級である根拠その2はインテリア調度だ。基本デザインはノートと共通だが、メーターパネルが 12.3インチTFTカラー液晶となるほか、ダッシュやセンターコンソールに手触りの良いツイード生地や木目調パネルがあしらわれる。また、名門BOSE社製のパーソナルプラスサウンドシステムも現時点ではオーラ専用アイテムである。

居住性

根拠その3はモーターパワーと静粛性。e-POWERを構成するエンジンや電池などはノートと共通であるものの、136psという高出力のフロントモーター(ノートは116ps)はオーラ専用となる。また、フロントのラミネート遮音ガラスや吸音・遮音材の追加など、静粛対策もノートより入念な点である。

うれしい装備

リヤシートのリクライニング(二段調整)は全車に標準採用。このクラスの現行モデルでリヤシートリクライニングを選べるのは、「ノート」と「ノートオーラ」だけだ。快適性を高めてくれる。
メーカーオプション設定の 「BOSE パーソナルプラスサウンドシステム」を選ぶと、運転席と助手席のヘッドレストにスピーカーが組み込まれる。このスピーカーが音の広がりをつくり出すのだ。
月間登録台数   3537台(21年11月〜22年4月平均値)
現行型発表     21年6月(MISMO追加 21年8月)
WLTCモード燃費   27.2 km/l ※FF車

ラゲッジルーム

ノートに対してシャシーもワイドトレッド化されているが、バネやダンパーなどのチューニングはノートと共通だそうで、走りの印象についてはもともと定評あるノートと同じ路線上にある。ただ、よりパワフルなモーターによる加減速レスポンスやワイドトレッドと17インチタイヤによるステアリングレスポンスには、ノートよりそこはかとないスポーティ感が加わっている。

さらに、もともと先代より圧倒的に静かになった現行ノートをベースに、前記の静粛対策や発電時の回転数を抑制する制御も加えて、コンパクトカーとしては印象的なほど静かだ。21年8月の発売直後にはノート販売の約半分を占めたオーラ。その「小さな高級車」という狙いはきっちり受け入れられているようだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/142/

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