ジャッキー・チェンがスバル・レオーネに乗って大暴れ! カーアクション映画の古典的名作『キャノンボール』はスバリスト必見!【 “いもっち”が語る! 銀幕のスバル vol.1】

スバル・レオーネ スイングバック
主役や脇役としてクルマが登場する映画やドラマはたくさんあれど、ことスバル車となると比較的レアな存在だ。そんな映画&ドラマの中から、主役級の活躍を見せる作品はもちろん、マニアックに一瞬だけ登場する”役車”としてのスバル車も、スバルマニアを自負する筆者、"いもっち"こと井元貴幸が紹介していこうと思う。

今回は、作品中でもかなりの登場頻度を誇る『キャノンボール』から、レオーネ スイングバックを紹介する。
スバル車が登場する映画といえば?と聞かれると、若い人は『ワイルドスピード』!と答えるはずだが、やはりハリウッド映画でスクリーンを所狭しと駆け回るスバル車といえば『キャノンボール』のレオーネ!と答える40代~50代の方が多いはずだ。

『キャノンボール エクストリーム・エディション』(Blu-Ray/税込5217円)などの映像ソフトが入手可能な他、レンタルやPrime Video、U-NEXTなどの動画配信サイトでも視聴可能だ。

『キャノンボール』は、実際に存在したアメリカ大陸を横断する非公認の自動車レースをモチーフにしたカーアクションで、登場人物が様々なクルマに乗り、警察の追跡や検挙を逃れるため、当時の最速を誇るスーパーカーや秘密兵器、変装などあらゆる手段を駆使してゴールを目指すというもの。
1981年に製作され、当時のスーパーカーブームも後押しし、ランボルギーニ・カウンタックLP400Sやフェラーリ・308GTSをはじめ、アストンマーティン・DB5、ロールスロイス・シルバーシャドウといった名車がアメリカ大陸を爆走する姿だけでも惹きつけられる作品だ。

美女や元F1ドライバー、007リスペクト(ロジャー・ムーアとボンドカー!)、中東(?)の王族などなど……濃いメンツがさまざまなマシンでアメリカ大陸を七面六臂の大爆走! 古き良きハリウッドエンターテイメントだ。

筆者も当時は8歳という年齢ながら、クルマ好きという事もあり父親に連れられて映画館へ足を運んだほど。しかし、スバル車の存在は知りながらもまだまだスーパーカー大好きキッズだったこともあり、ランボルギーニやフェラーリを見ることに心躍らせていた。
今でこそ自他ともに認める「スバルオタク」ではあるが、ただのクルマ好き少年だった当時、映画に日本車が出てくるというだけでも驚いたが、そのクルマがなんとスバル車だったというのは心に焼き付いた。
登場したのはAB型と呼ばれる2代目レオーネ スイングバック 4WD。アメリカ仕様名は「スバルハッチバック 1600/1800」という名称で、レオーネやスイングバックという名称は輸出仕様には用いられていなかった。
ベースとなるスバル レオーネ スイングバック1600は1980年サファリラリーで史上初の乗用4WD車として出場し、平林武/カーン組が総合18位完走、グループ1優勝と輝かしい成績を誇る名車なのだ。

国内仕様のスイングバックとはスバルならではの名称で、3ドアのハッチバックスタイルのボディのこと。80年代では乗用タイプの4WD車はまだ少なく、走破性の面ではスーパーカーに引けを取らない点が活躍を予感させた。劇中に登場した真っ黒なレオーネは、ジャッキー・チェンとマイケル・ホイの2名が乗車。
ジャッキーチェンといえば三菱車のイメージが強いが、『キャノンボール』ではスバルに乗っていたのだ! ちなみに続編の『キャノンボール2』でもジャッキー・チェンが出演するが、この時は三菱スタリオンでの参戦だった。

劇中では”日本人コンビ”として登場するジャッキー・チェンとマイケル・ホイ(日本ではミスター・ブー)が駆るスバルハッチバック(日本名:スイングバック)。当時の日本=ハイテクの国というイメージから、ハイテク満載のマシンとして描かれる。4WDの乗用車もハイテクだったのだ。左ハンドルやドアミラーなど、アメリカ仕様なのがよくわかる。

レース前にはテレビ番組でその隠されたハイテク機器や秘密兵器などを披露。番組収録中にロケットブースターのスイッチを押してしまうといったアクションコメディらしい一面も見せた。暗視装置やテレビゲームなど当時最新のハイテク装備はナイトライダーも真っ青で、劇中ではネズミ捕りを無灯火で回避するといった演出も見られた。

1979年に「ザ・ニューレオーネ」としてデビューした2代目。デビュー時は先代からのセダン(中央)、エステートバン(右)に加え、新たに登場したスイングバック(左)と称する3ドアハッチバック、ハードトップ(クーペ)というラインナップだった。

映画に登場したレオーネスイングバック4WDは、国内仕様に1.3L、1.6L、1.8Lの3タイプのエンジンを設定。1.6Lと1.8Lにデュアルレンジ式のパートタイム4WDが設定されていた。
2代目レオーネはこのスイングバックの他、ハードトップと呼ばれるクーペ、セダン、ステーションワゴンと全部で4種類ものボディが用意されていたのだが、スポーツモデルはクーペに設定されていたツインキャブのRXだったこともあり、スイングバックがレースの映画に登場することに少しながらの違和感もあった。

セダン
ハードトップ(クーペ)
1981年に追加されたツーリングワゴン

2代目レオーネの輸出仕様はハッチバック(スイングバック)とセダン、ハードトップ(クーペ)、ステーションワゴンと設定されているボディは国内仕様と同一で、映画公開年の81年式米国仕様ハッチバックはSTD、DL、GLの3グレード展開。エンジンは4WD車がすべて1.8L水平対向4気筒NAエンジンの4速MTのみという設定となっていた。
劇中車には諸説あるが、ベースが1981年モデルであればハッチバック1.8L DL 4WDの可能性が高い。4WDには1.8Lしか設定されていなかった点や、登場するレオーネのドアミラーが運転席側にしかない点(当時のアメリカの保安基準では片側でもOKだった)、リヤワイパーの装備が挙げられる。ドアミラーが左右に標準装備されているのがGLグレードのみで、リヤワイパー装備がDLとGLとなると、DLの説が濃厚だ。ちなみに米国仕様のレオーネハッチバック4WDではデュアルレンジ式を備えるのはGLだけという点も面白い。
オフロードコースに入り込んでスタックしてしまった時にロケットエンジンでの脱出をするシーンがあるのだが、デュアルレンジ4WDのGLグレードだったらスタックすることもなかったかもしれない(笑)

ハリウッドと香港の合作映画なので、ジャッキー・チェンはほぼ主役。つまりレオーネも主役級。劇中にはクルマだけでなくハーレー軍団も登場する。日本での配給収入は20億円を超え、同年公開の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(インディジョーンズ)』や『ロッキー3』を上回る人気に。『ゴールデン洋画劇場』や『日曜洋画劇場』など、TVでも盛んに放映されたので、劇場以外で観た読者も多いことだろう。
STAFF
監督:ハル・ニーダム
製作:アルバート・S・ラディ
製作総指揮:レイモンド・チョウ
脚本:ブロック・イエーツ
撮影:マイケル・C・バトラー
音楽:スナッフ・ギャレット

CAST
バート・レイノズ
ジャッキー・チェン
ロジャー・ムーア
ファラ・フォーセット
ドム・デルイーズ
ディーン・マーティン
サミー・デイヴィスJr.
テリー・ブラッドショー
バート・コンヴィー
ジェイミー・ファー
ピーター・フォンダ
エイドリエン・バーボー
ジャック・イーラム
マイケル・ホイ

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著者プロフィール

井元 貴幸 近影

井元 貴幸

母親いわくママと発した次の言葉はパパではなくブーブだったという生まれながらのクルマ好き。中学生の時…