欧州市場でも人気!スズキの世界戦略車「スズキ・スイフト」【最新コンパクトカー 車種別解説】

欧州を意識した操縦安定性で高い評価を得る、現行四代目「スイフト」。軽い車重に、ジェット戦闘機を思わせるアグレッシブな外装、内装は正統派スポーツカー風のインパネや、しっかりホールドするシートなど、どのパワーユニットでもスポーティーなドライビングを楽しめる要素が満載だ。
REPORT:安藤 眞(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:大須賀あみ

超軽量ボディの卓越した走り 超軽量ボディの卓越した走り

軽自動車メーカーだと思われていたスズキを見直させた一台が、スイフト。特に世界戦略車として開発された二代目(2004年〜10年)以降は、欧州車顔負けの操縦安定性が高評価されている。現行モデルは16年デビューの第四世代だが、その美点はもちろん継承&進化している。

エクステリア

リヤドアのアウターハンドルを上部の樹脂部分に隠すことで5ナンバーサイズのボディながらダイナミックなサイド面を表現。「RS 」以上は16インチアルミホイールを標準装備。最小回転半径は4.8m。

外観はなかなかアグレッシブ。ジェット戦闘機を思わせる大きなフロントグリルや後席ドアハンドルをCピラー側窓枠に隠す3ドア風デザインなど、欧州で好まれそうなディティールが散りばめられている。一方で、内装は古典的スポーツカーテイスト。

黒基調の内装色にT型のダッシュボード、丸形二眼式メーターの左側にはタコメーターが標準装備されるなど、 70年代のスポーツカーもかくや、といった趣だ。大きな特徴は、車重が非常に軽いこと。最軽量グレードは840kgと軽ハイトワゴンより軽く、最も重いグレードでも1tを切る。同クラスの平均より100kg前後軽く、これが軽快な運動性能を生んでいる。

乗降性

パワーユニットは標準車系が1.2l直列4気筒エンジンをベースに、ストロングハイブリッドとマイルドハイブリッド、アイドルストップも付かないガソリン車の3種類を展開。スポーツ仕様の「スイフトスポーツ」には、140ps/230Nmを発生する1.4lのガソリン直噴ターボエンジンが搭載される。

標準車系のハイエンドに位置する「ハイブリッドSZ」は、10kW/30Nmの電気モーターと5速ロボタイズドトランスミッション(AGS)を組み合わせたパラレル式ハイブリッド仕様。AGSは変速の際にギクシャクしがちだが、その瞬間にモーターアシストを強め、加速途切れを解消しているので滑らかに走る。AGSをニュートラルにすることで、モーターだけでの走行もできる。

インストルメントパネル

オーソドックスな指針式メーターにカラー液晶のマルチインフォメーションディスプレイを組み合わせる。パドルシフトも備わりスポーティな雰囲気だ。全方位モニターに対応した8インチのカーナビ は販売店オプション。

その他の〝ハイブリッド〞と付くグレードは、ACジェネレーターをアシストモーターとして使う方式。発進から100km/h までの間で最大約 秒間のアシストを行なう。ガソリン車は「RS」と「XG」に用意。両者にはアイドルストップ装置が付かないほか、5速MTが選べるのが特徴だ。5速MT車のWLTCモードは、同じグレードのハイブリッド+CVT仕様を上回る。

居住性

サスチューンは「RS」系が欧州テイストになるが、それ以外のグレードでも操舵の正確性は高いし、うねった路面での収まりも良い。「XG」の65扁平タイヤは当たりも柔ら核、グリップ力にも不足はない。シリーズ随一の体育会系「スイフトスポーツ」は、標準車よりボディが40mmワイド化されており、その分だけトレッド幅も広げられている。

サスペンションはモンロー製ダンパーを用いた専用チューニングが行なわれているほか、タイヤも195/45 R17サイズの専用品を装着する。トランスミッションは遊星歯車式の6速ATと6速MTが用意され、前者にはパドルシフトも標準装備だ。

うれしい装備

スズキのモデルでは珍しくないが、テールゲートのインナーハンドルが左右についている。左利きのユーザーには使いやすい仕様と言えるだろう。 なお、ハンドルまでの地上高は1840mmとなっている。

格納タイプの運転席アームレストは、ベーシックグレードとMT車を除いて標準装備される。小ぶりだが剛性感もあり、リラックスしてロングドライブを楽しむことに貢献してくれるアイテムだ。
月間登録台数   2397台(21年11月〜22年4月平平均値)
現行型発表    16年12月(21年11月~22年4月平均値)
WLTCモード燃費   23.0km/l※「HYBRID SZ」 

ラゲッジルーム

乗り味は欧州コンパクトGTIさえ一目置きそうなテイストで、正確性の増したステアリングフィールと減衰感の高い乗り心地が持ち味。それでいて不快感が少ないのは、最初から〝スポーツ〞の存在を見据えて開発された高剛性ボディゆえだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/142/


キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部