【保存版】冬のトラブルNo.1! バッテリートラブルを起こさないためのメンテナンス術とは

冬のクルマのトラブルとして断トツNo.1なのが、バッテリー上りだ。理解しているつもりでも、突然やってくるトラブルだけに本当に厄介。凍てつく極寒の地でエンジンがかからなければ、最悪の事態も想定しなければならない。ここでは冬のバッテリートラブルについてフォーカスし、バッテリーの基本的な知識やチェック方法に加え、トラブル時の対処法などについて紹介しよう。
REPORT&PHOTO 小原裕一郎(OHARA Yuichiro)

バッテリーにはさまざまなタイプがある

ご存知のとおり、クルマのバッテリーはセルモーターを回したり、ヘッドライト、エアコン、カーナビなどの電装品に電力を供給したり、クルマになくてはならないパーツだ。一般的なクルマ用バッテリーには鉛蓄電池が使われていて、鉛と電解液(希硫酸)の化学反応によって電気を蓄えたり、取り出すことができるわけだ。

ひと昔前のバッテリーといえば、バッテリー液補充用のフタが6個付いた開栓型(保水タイプ)が主流だったが、現在はメンテナンス不要のメンテナンスフリー型がポピュラーになってきた。また、最近はエコカーが増えてきた関係で、アイドリングストップ車用バッテリーやハイブリッド車用補機バッテリーがラインアップされているほか、特殊なタイプとしてレーシングカー用のドライバッテリーもある。

メンテナンスフリー型バッテリーは完全密封型。そのためバッテリー液補充用のフタがなく、寿命が来るまでメンテナンスの必要はない。

バッテリー型式・規格の基礎知識

バッテリーにはさまざまなタイプが存在するが、各々のタイプごとに容量やサイズを表すための形式が定められているので、ここではJIS規格バッテリーの読み方を簡単に説明しておこう。

【標準車(充電制御車用)】

多くの国産車に搭載されているバッテリー型式。<参考:Panasonic>

【アイドリングストップ車用】

通常車のバッテリーに比べて高い耐久性や充電性能が求められているので、通常車とは違う規格・型式表示となっている。<参考:Panasonic>

【ハイブリッド車補機用(VRLA)】

トヨタ系ハイブリッド車の補機用バッテリーは、車内やトランクルームに設置されていることが多いので、バッテリー内部で発生するガスを外部に漏らさない特殊な構造のVRLA/制御弁式バッテリーが多く採用されている。<参考:Panasonic>

このほか、電池工業会規格(SBA)のアイドリングストップ車用や日本車用EN規格(欧州統一規格)のほか、欧州車用のEN規格(欧州統一規格)やDIN規格(ドイツ工業規格)など、数多くの規格が存在するので、まずは自分のクルマのバッテリーがどの規格なのかを把握しておこう。

バッテリーの寿命はどれくらいなのか

バッテリーは、何度も充電と放電を繰り返すと劣化する特性があり、さらに気温が低い冬は性能自体が低下する。また、最近はハイブリッド車やEV車だけでなく、一般的なクルマでも電気でコントロールする機器が数多く搭載されているので、普段からバッテリーに大きな負担が生じているのは間違いない。

こんな状況下で使用されているバッテリーの寿命は、車種、使用状況、バッテリーの種類などで大きく変わるが、一般的には2~3年といわれている。

「気温が低い冬は、バッテリー性能が低下する季節。3年以上使ったバッテリーは、さらにリスクが高まるので要注意だ。」

バッテリーの劣化状況をチェックする方法

冬のトラブルNo.1のバッテリー上りは、劣化の見逃しや低温による性能低下が原因で起こることが多いので、普段からマメなチェックが欠かせない。ここでは、バッテリー本体のチェック方法やクルマの状態から劣化を見分ける方法について紹介しよう。

【バッテリー本体のチェック】

・外観:バッテリー全体を見渡して膨らみやひび割れなどがないか。
・液量(開栓型の場合):バッテリー液が減っていないか。
・漏れ(開栓型の場合):バッテリー液の漏れやフタにゆるみがないか。
・端子(開栓型の場合):端子に白い粉が付着していたら要注意。端子の腐食やゆるみも確認する。
【クルマの状態によるチェック】

・エンジンのかかり具合:セルモーターの回転速度が遅くなっていないか。
・アイドリングストップの動作:アイドリングストップが動作しない場合は要注意。
・ヘッドライトの照度:ヘッドライトが暗く感じないか。
・パワーウインドウの動作速度:パワーウインドウの開閉速度が遅く感じないか。
【ショップでの専門的なチェック】

カーショップや修理工場へ出向けば、電圧やバッテリー液の比重のほか、バッテリーテスターを用いた始動能力の測定など専門的なチェックも可能。バッテリーには、性能基準値としてCCA(コールドクランキングアンペア)と呼ばれるものがあり、バッテリーテスターでCCAの測定を行えば、バッテリーがエンジンを始動させる能力を測定できるわけだ。
冬のバッテリートラブルを未然に防ぐには日ごろから念入りなチェックが欠かせない。自信がない場合はカーショップなどで専門的なチェックをしてもらおう。<出典:Pixabay>

バッテリー上りが発生したときの対処法

万一、バッテリー上りが発生した場合は、まずはバッテリーケーブルを使って救援車から電気を供給してもらう手がある。作業は下記の手順で進めていけばOKだ。

①救援車のエンジンを止め、バッテリーが上がったクルマのプラス端子に赤色のケーブル繋ぎ、ケーブルの反対側を救援車のプラス端子に接続する。
②赤色と同様に黒色のケーブルをバッテリーが上がったクルマのマイナス端子に繋ぎ、ケーブルの反対側を救援車のマイナス端子に接続する
③救援車のエンジンを始動して少しだけエンジン回転を上げ、バッテリーが上がったクルマのセルモーターを回す。
ブースターケーブルは自車はもちろん、他車を救援するときにも役立つので、トランクの片隅に常備しておくとよいだろう。<出典:Pixabay>

このほか、最近ではモバイルバッテリーのような小型のジャンプスターターも増えてきたので、これを使えば救援車の手を借りることなくバッテリー上りに対処できる。ジャンプスターターには、モバイル機器などの充電が可能なUSB出力ポートも付いているほか、暗い場所での作業や緊急時に便利な高輝度ホワイトLEDライトも搭載しているので、1台あると何かと便利。ブースターケーブルと同じように、自車だけでなく、他車のバッテリー上りにも役立つスグレモノだ。

ジャンプスターターにはバッテリー接続用のケーブルやシガライター用の充電器も付属している。スマホのバッテリー充電にも使えるなど、マルチに活躍するアイテムだ。

今回はバッテリートラブルを起こさないためのノウハウを紹介したが、バッテリーはガソリンと同様、クルマを動かすための重要なパーツ。ひとたびバッテリー上りが発生すると、エンジンを始動することができなくなるので、風雪などで立往生することも想定される冬は、特に注意が必要だ。このようなリスクを防ぐには、日ごろからこまめにチェックを行い、少しでもバッテリーが弱っていると感じたら思い切って交換するなど、早め早めの対策をオススメしたい。

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著者プロフィール

小原 裕一郎 近影

小原 裕一郎

メディアプランナー&ライター。メディア業界でテレビ視聴率調査、マーケティング(リアル&デジタル)、…