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先進安全装備に内装仕様更新 取り回しや運転感覚も好印象

1LD-CAR! を謳い文句に2016年に登場したのがルーミー。トヨタとダイハツの共同開発車で、パッソ&ブーンのプラットフォームと1.0l3気筒エンジンを採用。トール×スリム×スライドドアの5ナンバーボディに、ダイハツ軽自動車のノウハウ、そして先進運転支援機能のスマートアシストを詰め込んだ、ある意味、下克上的パッケージングをもつコンパクトカーである。
エクステリア




直近の20年9月のマイナーチェンジでは、カスタム系にノアも真っ青な迫力あるフロントグリルを与えたほか、先進運転支援機能のスマアシは二輪車や夜間の歩行者も検知対象とし、電子パーキングブレーキの新装備によって全車速追従機能付きACC(減速機能はやや唐突)とオートブレーキホールド機能を追加。予約操作後、クルマに近づくとスライドドアが自動で開くウェルカムパワースライドドアなどを装備し、9インチディスプレイオーディオを全車にオプション設定している。
乗降性


そもそも、ルーミーの魅力は100万円台中盤からの価格設定はもちろん、全幅1670mmという5ナンバー枠の常識的車幅の1695mmよりスリムなボディが特徴で、最小回転半径4.6mと軽自動車並みの小回り性(ターボ車は4.7m)およびミニバン的な高めの視界による運転のしやすさが根強い人気の所以。実際、21 度乗用車販売台数ランキングでヤリス軍団に次ぐ2位(単一車種では逆転1位!)。 22年に入っても3月には1位を獲得。デビューから8年を経ても売れ行き絶好調モデルなのである。
インストルメントパネル

その理由は運転席に乗り込んればわかる。まずマイナーチェンジ後のシートの掛け心地向上が印象的。ミニバン的にアップライトな着座姿勢がとれるシートの座面が長くなり、併せてサイドサポート性も向上。分厚いクッション感ある掛け心地は一段と心地良いものになっている。前席は身長172cmの筆者であれば頭上に約270mmもの空間があり、高めの見晴らし視界とともに広さ、運転のしやすさを強く実感できる。
居住性


スライドドアから乗降できる後席も広大だ。筆者であれば頭上に190mm、240mmのスライド量をもつ後席を後端位置にセットすれば膝まわりに最大385mm! もの、ゆったりと足が組める空間がある。まさに1LDのリビング感覚の居心地が得られ、車中泊も可能というわけだ。
そんなルーミーを走らせれば、中低速域の乗り心地はしっとりマイルド。穏やかで安心感ある操縦性、小回り性の良さもあり、誰もが運転のしやすさ(駐車のしやすさ含む)と快適感に満足できるはず。3気筒感がほぼないエンジンは自然吸気であれば街乗りベストという性能だが、ターボなら高速走行も無理なし。
うれしい装備





月間登録台数 11923台(21年11月〜22年4月平均値) 現行型発表 16年11月(マイナーチェンジ 20年9月) WLTCモード燃費 18.4 km/l ※自然吸気のFF車

ラゲッジルーム


しかし高速走行では乗り心地が悪化傾向にあり、自然吸気で先を急ぎ、エンジンを高回転まで回すシーンでは車内に盛大なエンジンノイズが充満しがち。また、雨の日の高速走行で後席に乗っていると、バックドアまわりからの水しぶき音の侵入も気になるところ。とはいえ、この絶妙なサイズ感、室内空間の広さをもつ両側スライドドアを備えたコンパクトカーは希少。この抜群の使い勝手の良さに人気気の秘密がありそうだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。