新型トヨタ・プリウスのKINTO Unlimited限定グレード「U」がお披露目!「短時間ウィンカー診断」「エンジンオイル劣化予測ロジック」の中身とは?【東京オートサロン2023】

新型トヨタ・プリウスU
新型トヨタ・プリウスU
1月13日より15日まで千葉県の幕張メッセで開催された「東京オートサロン2023」。中ホール4前プロセニアムデッキのKINTOブースでは、1月10日に発売されたばかりの新型トヨタ・プリウス、それもKINTOの新たなサブスクリプションサービス「KINTO Unlimited」(キントアンリミテッド)限定のグレード「U」が展示された!
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●遠藤正賢、トヨタ自動車、KINTO
新型トヨタ・プリウスUの1.8Lハイブリッドシステム
新型トヨタ・プリウスUの1.8Lハイブリッドシステム

「U」グレードは法人向けグレード「X」と同じく2ZR-FXE型1.8L直4エンジンを搭載する、個人向けの廉価グレードという位置付け。

 中間グレードの「G」と上級グレードの「Z」がM20A-FXS型2.0L直4エンジンを搭載し195/50R19タイヤ&アルミホイールを標準装備するのに対し、195/60R17タイヤと専用の17インチアルミホイール&樹脂フルキャップを装着する。

新型プリウスUのインテリア
新型プリウスUのインテリア

 内外装の加飾やシートの仕様も簡素化されるが、実用上は必要充分な装備が備わっており、車両参考価格はFF車で299万円、4WD車で321万円と、安価に抑えられている。

「アップグレードレディ設計」の有無によるブラインドスポットモニター後付け作業工程の変化イメージ
「アップグレードレディ設計」の有無によるブラインドスポットモニター後付け作業工程の変化イメージ

 そんな新型プリウス「U」を皮切りにスタートした新たなサブスクリプションサービス「KINTO Unlimited」では、保険や税金などの諸経費を月額利用料に含める従来のサブスクリプションサービス「KINTO ONE」(キントワン)に加え、納車後の「進化=アップグレード(ソフトウェア、ハードウェア)」と、「見守り=コネクティッド(コネクティッドドライブトレーナー、コネクティッドカーケア)」が提供される。具体的には、

【進化=アップグレード】
●ソフトウェア
OTA(Over The Air)による「トヨタセーフティセンス」のアップデート

●ハードウェア
配線の調整やセンサーの取り付けなど、アップグレードに必要な施工作業の大部分をクルマにあらかじめ織り込んでおくことで、実際に行う作業を簡素化する「アップグレードレディ設計」による、ブラインドスポットモニターやパノラミックビューモニター、ステアリングヒーターなどの後付け対応(2023年年央開始)

【見守り=コネクティッド】
●コネクティッドドライブトレーナー
コネクティッドサービス「T-Connect」を通じた運転診断

●コネクティッドカーケア
エンジンオイル交換時期を、クルマごとの使用状況に合わせたタイミングで提案

の大きく分けて4種類だが、東京オートサロン2023の会場では、「コネクティッドドライブトレーナー」と「コネクティッドカーケア」のさらなる詳細が明らかにされた!

「コネクティッドドライブトレーナー」の運転データ収集・分析イメージ
「コネクティッドドライブトレーナー」の運転データ収集・分析イメージ

「コネクティッドドライブトレーナー」では、一般的なアクセル&ブレーキペダルの踏み方に加え、ウィンカー操作のタイミングとステアリング舵角からも、危険運転を診断。

 ウィンカーを点灯してからステアリングを操作し、車線変更などを行うまでの間隔が約2秒以下だった場合は「短時間ウィンカー」と診断し、早めにウィンカーを出すようアドバイスする。

「短時間ウィンカー」の診断内容イメージ
「短時間ウィンカー」の診断内容イメージ

 この「短時間ウィンカー」は、トヨタがビッグデータを分析した結果によれば、頻度が高いドライバーは頻度が低いドライバーに対し、事故率が約2倍へと上昇。急ブレーキ頻度と同等程度の相関関係があるのだという。

エンジンオイルの劣化メカニズム
エンジンオイルの劣化メカニズム
「コネクティッドカーケア」によるエンジンオイル交換提案画面
「コネクティッドカーケア」によるエンジンオイル交換提案画面

「コネクティッドカーケア」では、エンジン冷却水水温と燃料消費量から、不完全燃焼成分がどの程度発生し、エンジンオイルに蓄積されたかを推定し、エンジンオイルの劣化を予測。一定以上蓄積されると、エンジンオイルの交換を提案する。

「コネクティッドカーケア」のエンジンオイル劣化予測ロジック
「コネクティッドカーケア」のエンジンオイル劣化予測ロジック

 KINTOの説明員によれば、「水温が低い短距離走行を繰り返すほど、また燃費が悪い走り方をするほど、不完全燃焼成分が発生しエンジンオイルに蓄積されやすい」とのこと。近所での買い物や送迎にしか使わない街乗りユーザーの大半は双方の条件に当てはまりやすいため、エンジンオイルの交換頻度は高くなりそうだ。

「コネクティッドカーケア」の有無によるエンジンオイル交換頻度の変化イメージ
「コネクティッドカーケア」の有無によるエンジンオイル交換頻度の変化イメージ

 そして「KINTO Unlimited」では、これらのサービスによって「返却時の車両の残存価値が高く維持される」(KINTO公式発表)ため、新型プリウス「U」FF車の月額利用料が、3年契約・ボーナス月加算なしで4万9940円~に設定されている。

 これは、車両本体価格がほぼ同額だった先代プリウス「S“ツーリングセレクション・ブラックエディション”」の5万6650円~に対し、6千円以上割安だ。この料金設定が可能になったのは、「コネクティッドカーケア」によってエンジンオイルの交換回数を大幅に抑えられることも、少なからず影響しているのではないだろうか。

新型トヨタ・プリウスU
新型トヨタ・プリウスU

「KINTO Unlimited」の他車種・他グレードへの展開拡大は「検討中」(同社説明員)とのことだが、事故軽減やエンジンオイル交換&入庫頻度低減に直結するだけに、KINTOのみならずディーラーなどで一般販売される車両にも、ぜひサービスを展開してほしいところだ。

 また、短時間ウィンカーの頻度が低いドライバーは事故のリスクが低いためコネクティッドカー保険の保険料、エンジンオイルの交換頻度が低いドライバーは整備費用が少ないためメンテナンスパックの、それぞれ割引が考えられる。そうしたコスト面でのサービス拡充も、大いに期待したい。

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著者プロフィール

遠藤正賢 近影

遠藤正賢

1977年生まれ。神奈川県横浜市出身。2001年早稲田大学商学部卒業後、自動車ディーラー営業、国産新車誌編…