往年のMINIらしいフォルムを受け継ぐ3ドアボディ「MINI」【最新コンパクトカー 車種別解説】

「オリジナルのMINIスタイル」と言えば思い浮かぶのは3ドアボディというファンも多いだろう。そのオリジナルの雰囲気を色濃く残す現行モデルの「MINI」は全グレードに異なるエンジンにターボを搭載し、それぞれが個性的な乗り味を見せる。「ピュアEV」化が進む中、フォルムとエンジンにこだわるなら、今が検討するチャンスかもしれない。
REPORT:河村康彦(本文)/工藤貴之(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:佐々木萌香

個性豊かな3種類のエンジン 走りも乗り味もすべてが別物

5ドアにコンバーチブル、さらにはクラブマンにクロスオーバーと、現在では多彩なバリエーションをラインナップする「MINI」のブランド。しかし、1959年に姿を現した〝オリジナルミニ〞を彷彿とさせる最もキュートでアイコニックなスタイリングを表現しているのは、94年にBMWがこのブランドのプロデュースを手掛けるようになって以降、初めてローンチされた作品でもある3ドアボディの持ち主であることは間違いない。

エクステリア

キュートな丸形ヘッドライトに立ち気味のフロントウインドウ、そして水平なルーフといったMINIを形づくる構成要素は今なお不変。 現行型のテールランプはユニオンジャックだ。最小回転半径は5.3m。

かくして、往年の〝オリジナルミニ〞の雰囲気を最も色濃く受け継いでいると紹介できる3ドアのMINIも、実は現在は「2023年中にも次期型がデビューするのではないか?」と噂をされるタイミング。実際、現在販売されているのは13年に三代目へとスイッチされ、その21年にグリルを大型化し、8.8インチのタッチ操作可能なセンターディスプレイを新採用するなどのマイナーチェンジが行なわれた、現行型の最終バージョンになると目されるモデルだ。

乗降性

全幅が1725mmと1.7mをオーバーするために3ナンバーの扱いにはなるものの、全長は3.8m台に収まるので〝ミニ〞とまでは言えなくてもコンパクトな存在という点では、誰もが意見の一致をみるはず。日本に設定される3ドア・ボディのMINIは、「ワン」「クーパー」「クーパーD」「クーパーS」「ジョンクーパーワークス」という5つのタイプで、それぞれ最高102psの1.5l3気筒ガソリン、136ps1.5l3気筒ガソリン、116psの1.5l3気筒ディーゼル、そして231psを発する2.0l4気筒ガソリンと、いずれもターボを装着する異なったエンジンを搭載する。

インストルメントパネル

丸形を随所にあしらい、往年のMINIらしさを彷彿させる個性的なデザインが魅力。ただしかつてとは違い、中央は速度計ではなくタッチパネルのナビ画面だ。メーターは中央が液晶で、左右は液晶風だが実はアナログメーター。

当然、足まわりや装着するシューズも異なるので、走りのテイストもそれぞれが別ものという理屈。このあたりの設定もまた、豊かな個性を売り物とするMINIならではと言えるだろう。最もベーシックな「ワン」で走り始めると、まるでディーゼルエンジンのごとく低回転トルクが豊かなために早いタイミングで次々とアップシフトを繰り返し、結果として3気筒特有のノイズが気になるどころか予想以上に静粛性が高い点がまずは印象的。

居住性

一方、ベーシックモデルだからと言ってソフトなわけではなく、むしろチョッピーと思える乗り味も相変わらず。しかし、これもウイークポイントというよりも「なるほどMINIらしい」と好意的に捉えそうな人が多そうに受け取れてしまうのは、ブランド力の強さゆえだろうか。

うれしい装備

最新 MINIの自慢が、オプション設定の「マルチトーン・ルーフ・ブルー」。ルーフがブルーからグラデーションでブラックへ変化するが、なんと手塗りで、1台ごとにグラデーションが異なるという。
MINI(やBMW )に採用されている機能的なアイデアがETC車載器。ルームミラーに内蔵されていて、スペースを効率よく使うし抜き差しもしやすいのがメリット。「COOPER S」以上には標準採用。
月間登録台数    NO DATA
現行型発表      14年3月(一部改良 21年5月)
WLTCモード燃費    19.5 km/l※「COOPER D」

ラゲッジルーム

ホッテストバージョンである「ジョンクーパーワークス」へと乗り換えると、脱兎のごとき速さと機敏なハンドリング感覚は予想どおり。一方、予想を超えていたのは思いのほかフラットな乗り味で、ここにはテスト車が装着していた電子制御式可変減衰力ダンパー〝アダプティブ・サスペンション〞が大いに功を奏している印象だった。そんなMINIのブランドも「30年代初めには、ピュアEVのみに転換」と宣言済み。〝エンジン車〞にこだわるなら、そろそろ最後の買い時ということになるのかもしれない。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/142/

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