日産とルノー 「不平等条約」解消へ。お互い15%の対等出資に

アライアンスの枠組みが大きく変わる。日産はどうなるのか?
日産とルノーの資本関係を見直しをめぐる協議は、ルノーから日産への出資比率を現在の43%から15%に引き下げ、互いに15%の対等出資とする方針を発表した。1999年の日産の経営危機から始まった「日産のルノー傘下」としての関係は、大きく変わることになる。

日産のステートメントは以下の通りだ。

日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:内田 誠)は、ルノーグループとのパートナーシップの新たな基盤を定めるべく、これまで数か月間にわたり、建設的な協議を重ねてきました。今後開催予定の取締役会の承認が必要となりますが、本協議が重要なマイルストーンを迎えたことを以下の通りお知らせ致します。
アライアンスの連携を強化し、全てのステークホルダーに対して価値創造を最大化する事を目的とし、本件は次の3領域で構成されます:

•高い価値を生むプロジェクトによる、パートナーシップの再構築
◦ラテンアメリカ、インドおよび欧州において、市場、自動車、技術の3つの視点で展開される主要プロジェクトの推進
•パートナーが参加可能な新しい取り組みによる、戦略的な機敏性の向上
◦ルノーグループが設立するEV及びソフトウエアに特化したアンペア社の戦略的な株主になるべく、日産による同社への出資
•バランスのとれたガバナンスと株式の相互保有による、事業効率の向上
◦日産とルノーグループは、ロックアップおよびスタンドスティル義務を伴う15%の株式を相互に保有。両社とも、同保有株に付随する議決権を15%まで自由に行使可能
◦ルノーグループは、日産の株式28.4%をフランスの信託会社に信託。ほとんどの議案に関する議決権は 「中立化」 されるが、株式が売却されるまでの間、ルノーが保有する経済的な権利(配当金と売却代金)は維持
◦ルノーグループは、同社にとって商慣習上合理的な場合、協調的で秩序あるプロセスにて信託会社に信託した日産株式の売却を指示するが、特定の期間内に売却する義務は負わない
◦アライアンス オペレーティング ボード(AOB)は、各社の調整の場として存続
なお、本件の最終合意に向けた協議は引き続き行われており、実施に関してはルノーおよび日産の取締役会の決議を経る必要があります。
アライアンス各社は取締役会の承認後速やかに、本件を公表する予定です。

声明によれば、ルノーが保有する43%の日産株のうち28.4%はフランスの信託会社に移される。議決権を行使できる株の比率を15%に引き下げる。従来、日産もルノー株を15%保有しているから、ルノー・日産の資本関係は実質的に対等となる。

ただし、ルノーの経営上、重要な「収入源」となっていた日産からの株主配当などの「経済的な権利」は依然としてルノーは持ち続ける。また、日産はルノーが設立を予定しているBEVの新会社「アンペア」に対して出資することも明らかにした。アンペアには、アメリカの半導体大手であるクアルコムも出資する。ルノーは、エンジン車についても、中国の吉利汽車(Geely)と新会社「ホース」を設立する。

交渉が長引いたのは、先進技術や特許の扱いについてだった。ルノーと日産が共同開発してきた技術がアンペアやホースから流出するのでは、といった知財をめぐる交渉でなかなか折り合えなかった。

大きく変わるルノー・日産の関係。三菱自動車は日産が三菱自動車株の34%を保有する関係。ルノーが日産に対して株式比率で優位な関係だったから、ルノーー日産ー三菱の3社アライアンスは成立していたが、今後はどうなるのか注目だ。

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