ルノー・日産・三菱が三社のアライアンスを向上させる新たな取り組みを発表。ラテンアメリカ、インド、欧州などでプロジェクトを実施。

ルノーグループ、日産自動車と三菱自動車が、ルノーグループと日産の取締役会での承認を経て、三社のアライアンスをより高いレベルに引き上げる事を目指した新たな取り組みを発表した。アライアンスの全てのステークホルダーに対する価値の最大化を目指した取り組みは以下の3領域で行われる。

ルノーグループ、日産自動車と三菱自動車が、ルノーグループと日産の取締役会での承認を経て、三社のアライアンスをより高いレベルに引き上げる事を目指した新たな取り組みを発表した。アライアンスの全てのステークホルダーに対する価値の最大化を目指した取り組みは以下の3領域で行われる。
・ラテンアメリカ、インド及び欧州において、事業面で高い価値を創造するプロジェクト
・各社の新しい取り組みにパートナーが参加可能となる、戦略的な機敏性の向上
・リバランスされたルノーグループ・日産間の株式相互保有と強化されたアライアンスのガバナンス

事業面で高い価値を創造するプロジェクト

■ラテンアメリカ

ラテンアメリカにおいて検討される4プロジェクト:

  • ルノーグループが開発し、アルゼンチンで日産に供給する新たな0.5トンピックアップ
  • 順調に進捗している1トンピックアップ日産「フロンティア」/ルノー「アラスカン」の協業プロジェクトは継続し、今後もルノーグループがピックアップをコルドバ(アルゼンチン)でルノーと日産両社向けに生産
  • メキシコでは、日産が20年ぶりにルノーグループ向けに新型車を生産
  • 加えて、CMF-AEV(コモン・モジュール・ファミリー)プラットフォームをベースとした日産とルノーグループの手頃な共通Aセグメント電気自動車2車種を投入

■インド

  • インドでは、ルノーグループと日産はインド市場および輸出向けに、両社向けの新型SUV及びルノー「トライバー」から派生する日産の新型車など、複数の新型車プロジェクトでの協業を検討
  • またラテンアメリカと同様、日産とルノーグループは、共通Aセグメント電気自動車を検討

■欧州

欧州においては、以下の取り組みを検討:

  • ルノーグループと三菱自動車は、ルノー「キャプチャー」と「クリオ」の資産を活用し、CMF-Bプラットフォームをベースとした次世代「ASX」と「コルト」の2車種の新型車を開発
  • ルノーグループ初のソフトウェア定義(Software Defined)車種として同社は2026年にFlexEVanを投入し、欧州市場において日産に供給
  • 2026年以降のラインアップに関しては、日産とルノーグループは次世代Cセグメント電気自動車における協業の可能性を模索。ベンチマークレベルの充電時間を達成するため、日産とルノーグループは共通の800Vアーキテクチャーの採用を検討するなど、欧州市場向け商品における技術の共有を継続
  • これらの取り組みは、2026年からフランスのルノー・エレクトリシティで生産される、CMF-BEVプラットフォームをベースとした将来の日産のコンパクト電気自動車 (Bセグメント)など、既存のプロジェクトとともに推進

■車両に留まらない、物流、アフターセールス、充電インフラ、バッテリーの協業

欧州における協業は車両に留まらず、物流から使用、リサイクル、使用済みの段階に至るまでのライフサイクルに広がる。

  • 物流、アフターセールス及び販売金融においては、ルノーグループ、日産、三菱自動車は、物流ネットワークでの協業機会を検討し、販売店の収益性向上やコスト削減を目指す

  ・主要市場での共用店舗の増加
  ・ 欧州において強いプレゼンスのあるMobilize Financial Servicesを活用した、中古車・アフターセールス・販売金融面の共通戦略の策定

  • EV充電インフラにおいては、ルノーグループと日産は、欧州で両社の販売店における充電インフラ整備に共同で取り組むことを検討(charging@dealer)
  • 循環型経済に関しては、ルノーグループと日産は使用済みバッテリーと生産廃棄物のリサイクルについて共通のパートナーを選定

各社の新しい取り組みにパートナーが参加可能となる、戦略的な機敏性の向上

連携強化の2つ目の領域において三社は、電動化や低排出技術については既存の戦略に沿って、事業に付加価値が期待できるパートナー各社のプロジェクトに投資・協業することで合意された。これら機敏で戦略的な取り組みは、「Nissan Ambition 2030」や「Renaulution」などメンバー各社の事業計画を補完するよう立案されており、各社の持続可能な成長や脱炭素化に向けた目標の実現に向けて、共通性や投資機会の面から活用される。

協業が検討されている分野:

  • 日産は、ルノーグループが設立するEV&ソフトウエア子会社アンペアの戦略的投資家になるべく、最大15%を出資する意向。これにより、日産の欧州市場の強化及び新規事業の加速化が期待される
  • 三菱自動車もアンペアへの参画を検討
  • 日産、三菱自動車は、低排出ガス内燃機関(ICE)およびハイブリッドパワートレイン技術のさらなる規模と市場の拡大を目指すルノーグループの取り組みである、ホースプロジェクトの顧客となる予定

これらの取り組みは、全固体電池、ソフトウェア定義(Software Defined)された車両、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転など、既存の技術分野における協業とともに推進される。

リバランスされたルノーグループ・日産間の株式相互保有と強化されたアライアンスのガバナンス

アライアンスのメンバー各社において、それぞれの事業計画を実行する中で、次世代のアライアンスの目標に沿った株式の相互保有の仕組みとガバナンスの条件を定める事が重要だった。この24年間、従来のアライアンスでの契約のもとで各社がそれぞれの戦略を推進してきたが、今後の事業の好機に対応する為には新たなアプローチが必要となる。このため、アライアンスの創設メンバーであるルノーグループと日産は、有効性を確保し価値創造を最大化するために、株式の相互保有とガバナンスの条件についてリバランスすることに合意した。

ルノーグループと日産が締結した拘束力のある枠組み合意では、新たなガバナンス体制と両社株式の相互保有のリバランスが定められている。両社の新たなアライアンス契約の締結は「2023年3月31日までに」予定されており、従来のアライアンス関連の契約(すなわち、改訂アライアンス基本契約、アライアンス及び資本参加契約および2019年3月12日の覚書)の置き換えとなる。

新しいアライアンス契約の有効期間については、当初15年間となる予定。

■将来の協業を支える、ルノーグループ・日産間の株式の相互保有のリバランス

  • ルノーグループと日産は、ロックアップおよびスタンドスティル義務を伴う15%の株式を相互に保有する
  • ルノーグループは日産の株式28.4%をフランスの信託会社に信託し、信託される日産の株式に付随する議決権は、以下の場合を除き、中立的に行使される:

  ・ルノーが推薦する日産の取締役の選任または解任(信託会社はルノーの指示に従って議決権を行使する)
  ・ ルノーグループが推薦する日産の取締役以外の日産指名委員会が推薦する取締役の選任または解任(信託会社は日産指名委員会の決定および提案に賛成する)
   ・ 日産の取締役会が支持しない株主提案(信託会社は棄権する)

  • ルノーグループは当該株式が売却されるまでの間、信託した日産の株式の全てに付随する経済面での権利(配当金と株式売却収入)を有する。尚、信託会社への信託に伴うルノーグループの財務諸表への減損影響は無い
  • 日産の株式28.4%が信託会社に信託されることに伴い、日産が保有するルノーグループの株式に付随する議決権が行使可能となる
  • ルノーグループおよび日産双方の議決権行使の上限は、行使可能な議決権の15%。両社はこの範囲内で自由に議決権の行使が可能となる
  • ルノーグループは、同社にとって商慣習上合理的な場合、信託会社に信託した日産株式の売却を指示するが、特定の期間内に売却する義務は負わない
  • ルノーグループは日産と協調的で秩序あるプロセスにおいて自由に信託内の日産株式を売却できるが、日産は筆頭の売却候補として、直接もしくは第三者を通じてその優先的な地位を享受する

■議決権及びガバナンス

  • 新たな取り決めに伴い、ルノーグループとフランス政府との間で2016年2月4日に締結されたガバナンス契約が解消される。これにより、フランス政府はルノーグループにおける議決権を自由に行使することが可能となる
  • 引き続き、ルノーグループは日産の取締役会において2名を推薦する権利を有し、日産はルノーグループの取締役会において2名を推薦する権利を有する
  • アライアンス オペレーティング ボード(AOB)は、ルノーグループ、日産、三菱自動車の調整の場として存続する

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