届けよ、世界に! スバル・サンバーに平和の祈りをのせて…。トミカ × リアルカー オールカタログ / No.107 スバル サンバー ひまわり

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.107 スバル サンバー ひまわり (サスペンション可動/後部ドア開閉 ・希望小売価格550円・税込)

サンバーはスバルの軽自動車、軽商用車です。初代モデルは1961年にデビューし、車体後端にエンジンを配置するリヤエンジン・レイアウトと、当時は乗用車でも珍しかった四輪独立懸架を採用して独自性を打ち出し、人気となりました。

サンバーをはじめトラックのようなキャブオーバー型の自動車では、荷台が満載の時と空荷の時とでは、重量バランスの差が大きくなります。この差が大きいと走行性能に大きく影響が出てしまいます。そこで自動車を形作る要素の中で最も重い部品であるエンジンを荷台の後方に置くことで、荷物が満載の時と空荷の時との重量バランスの差を小さくしようというのが、サンバーがリヤエンジン・レイアウトを採用した理由です。ちなみに駆動方式は後輪を駆動させるRR方式です。

この2大特徴は初代から6代目までモデルチェンジを繰り返しつつ受け継がれてきましたが、スバルの軽自動車事業の撤退によりサンバーの自社開発も終了、2012年に登場した7代目モデルからはダイハツのハイゼットのOEM生産車となっています。これによりサンバーはダイハツ・ハイゼット、トヨタ・ピクシスと兄弟車となりました。それゆえに従来のリヤエンジン・レイアウトではなく、車体前方にエンジンを配置するフロントエンジン・レイアウトになり、駆動方式も後輪駆動のFR方式に変更になりました。

スバル サンバー 実車フロントビュー(TCグレード/2020年モデル)*『トミカ』のモデル車両とは同一規格ではありません。
スバル サンバー 実車リヤビュー(TAグレード/2020年モデル)*『トミカ』のモデル車両とは同一規格ではありません。

さて、『トミカ』の『No.107 スバル サンバー ひまわり』でモデル化されているのはフロントマスクのデザインなどから見て、2014年にデビューした現行最新の8代目モデルになります(トラックのみ先行、バンは2022年デビュー)。標準キャビンで、LEDフォグランプ、LED大型荷台作業灯が再現されていないことから、ベーシックな「TB」グレードのモデル化だと思われますが、『トミカ』ならではのディフォルメも考えられるため、モデル特定はあまり意味を成さないでしょう。

プラットフォームの刷新により、荷台まわりの使い勝手や積載性が向上している。

この8代目モデルは、先述のようにダイハツの10代目ハイゼット・トラックやトヨタの2代目ピクシス・トラックと兄弟車になるため、型式は全車S500系となっています。10代目ハイゼット・トラック同様にプラットフォームが刷新され、広く開放的なキャビンを実現するなど新しい価値の提案とともに、基本性能の大幅な向上で、仕事でも普段使いでもより快適に安全に使えることを目指して開発されています。

シンプルで機能的な運転席まわり。ペダルの間隔も余裕のあるものとなり、狭苦しさを感じさせない。

また、居住性、運転のしやすさ、乗り降りのしやすさなど快適性の向上に加え、収納スペースの充実、荷台まわりの機能充実がはかられており、具体的にはドライバーの目からとフロントウインドゥまでの距離や室内幅などの拡大により開放感を高め、クラストップの居住性を実現したほか、運転席シートのスライド量を拡大して最適な運転姿勢がとれるようにしています。さらに低フロア化とともにドア開度を広げ、乗降スペースを拡大してスムーズな乗り降りを可能とし、排気系の改良やボディ構造の見直し、ステアリングの取付剛性アップなどにより、静粛性を高め、室内の快適性も向上させています。

室内は居住性、運転のしやすさ、乗り降りのしやすさなど快適性が向上。運転席シートのスライド量もゆとりあるものとなった。(画像は兄弟車のダイハツ・ハイゼットのものです)

もちろん快適性の向上だけではなく、ボディ構造の見直しや高張力鋼板の採用拡大により、最新衝突法規(56Km/h オフセット)に対応した優れた衝突安全性も実現しています。さらに、運転席SRS エアバックや運転席/助手席プリテンショナー&ロードリミッター機構付きシートベルトを標準装備するなど安全装備も充実しています。

走行性能では、フロントサスペンションの構造を見直し、ノーズダイブを低減させることにより優れた操縦安定性を実現したほか、最小回転半径3.6mとクラストップレベルの小回り性能を実現し、狭い道でも取り回しがしやすくなっています。

サンバーに搭載されているダイハツ製KF型直列3気筒エンジン。

さらに、エンジンの圧縮比アップによる燃焼効率の向上や電子制御スロットルの採用によって全車平成27年度燃費基準を達成、2WD・MT車ではクラストップの低燃費19.6km/ℓを実現。加えてAT車では、クラス初となる電子制御4AT を採用するとともに、MT 車ではオイルの低粘度化によるフリクション低減とハイギヤード化により燃費性能を向上。バッテリー充電制御の採用や、フューエルポンプの省電力化とあわせてさらなる燃費性能向上がはかられています。

これらに加え、防錆鋼板をアッパーボディ全面に採用し、フレームや足まわりの防錆対策を強化するなど、耐久性を大幅に向上させ、全グレードでクラストップレベルの防錆保証期間を実現。また、フロントパネルを樹脂製に変更することにより、飛び石による塗装のはがれにともなう錆の発生を防ぐなど、耐久性の向上とともに軽量化にも寄与しています。

おだやかな田園風景がよく似合う日本の軽トラックだ。

さて、『トミカ』の『No.107 スバル サンバー ひまわり』は、この8代目サンバー・トラックの特徴を上手くとらえてモデル化しており、荷台には鮮やかな黄色の大輪のひまわりの花が載せられています。お花屋さんのトラック、あるいは花き農家のトラックをイメージしたものでしょうか?

(PHOTO:在日ウクライナ大使館)

もちろん商品でも製造販売元のタカラトミーでも明確にうたっていないため、これは飽くまでもこの記事での勝手な想像、妄想に過ぎないことをお断りしておきますが、ひまわりを載せたサンバーの車体は空の色を思わせる鮮やかなブルーに塗られています。青空と金色の小麦をモチーフにしているという、ストロングアズールブルーとゴールデンイエローを用いた2色国旗を用い、そしてひまわりを国花とする国…。

この『No.107 スバル サンバー ひまわり』は、2023年2月現在、今なお戦火の渦中にある“あの国”の平和を願う、『トミカ』からのメッセージのように思えてなりません。世界中すべての子どもたちが一刻も早く戦火や貧困などの苦しみから解放され、『トミカ』のようなオモチャで楽しく遊べる、笑顔で過ごせる平和な世界になりますように、と…。ぜひ、あなたのコレクションにも1台いかがでしょうか。

■スバル S500J型 サンバー TB (2WD/5MT) 主要諸元

全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1780

ホイールベース(mm):1900

トレッド(前/後・mm) :1305/1300

車両重量(kg):780

エンジン形式:KF型直列3気筒DOHC

排気量(cc):658

最高出力:34kW(46ps)/5700rpm

最大トルク:60Nm(6.1kgm)/4000rpm

トランスミッション:5速MT

サスペンション(前/後):ストラット/リーフリジッド

ブレーキ(前/後) :ディスク/ドラム

タイヤ:(前後) 145/80R12 80/78N LT

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