イエロー・ボディにレッドのロゴが映え! 世界最大の国際輸送物流会社が絶賛使用中の小型トラックとは? トミカ × リアルカー オールカタログ / No.109 DHLトラック

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.109 DHLトラック (サスペンション/パネル開閉・希望小売価格550円・税込)
実車同様に荷台コンテナ部分のリヤパネルが開閉できるギミックが楽しい。ちょっとした小物が入れておけるかも?

『トミカ』のNo.109は『DHLトラック』です。DHLは1969年にアメリカで創立された宅配便会社です。ちなみにDHLとは、エイドリアン・ダルシー、ラリー・ヒルブロン、ロバート・リンという3人の創設者の頭文字をとったものです。DHLはまず、アメリカ本土とハワイのホノルルを結ぶ宅配便を開始し、そこからアジア・オーストラリアに拡大して大成功をおさめ、アメリカとヨーロッパに事業を拡大して国際宅配便の大手企業となりました。世界初の国際宅配便を行なったのはDHLです。

タイのDHLで使用されているいすゞエルフの配送車(海外仕様)。(PHOTO:DHL)*『トミカ』モデル車両と同一規格ではありません。

1998年にドイツの国営企業であったドイツ連邦郵便を前身とする郵便・物流企業、ドイツポスト(ドイチェポスト)社の傘下となり、2023年2月現在はドイツのボンに本社を置く、ドイツの会社になりました。現在のDHLはドイツ国内および国外の宅配運送、ロジスティクスサービスなどを複数社体制で提供する世界最大の国際輸送物流会社です。

日本のDHLジャパンでは、日本における気候変動対策の一環として、CO2や汚染物質を排出しない電気トラックなどを積極的に導入している。写真は同社がこれまでに導入したEV群。(PHOTO:DHLジャパン リリース)

現在、DHLは日本国内で4車種の小型トラックを使用しているようですが、その中の一つが、1975年に2トン・クラスのトラックで販売台数首位の座を獲得して以来、日本を代表する小型キャブオーバー・トラックとして知られてきたいすゞのエルフです。エルフは1959 年に初代モデルがデビューしましたが、2023年2月現在は2006年にデビューした6代目にあたるモデルが現役最新型となっています。『トミカ』の『No.109 DHLトラック』は、特にモデル車種などは製品名に表記されていませんが、そのデザインから見て、この6代目いすゞエルフだろうと思われます。その中でも、グリルのデザインから見て2018年のマイナーチェンジ以後の車両でしょう。

いすゞ 6代目 エルフ 実車フロントビュー。
いすゞ 6代目 エルフのラダーフレームシャシー(海外仕様)。

さて、いすゞはこの6代目モデルから、小型トラックと中型トラックを一つのグループとして考え、「SEE GLOBAL(シー・グローバル)」をコンセプトに、世界市場を見て、世界に通用するトラックを目指して開発されました。いすゞがこれまで、世界中の市場で学んできたトラックに求められるニーズを踏まえ、安全性、経済性、環境性能をグローバルな視点で徹底的に追究しています。また、環境規制の強化、免許制度の改正、労働人口の減少、事故・盗難の頻発、運行管理の重要性など、日本国内における小型トラックを取り巻く大きな環境変化も踏まえて開発されています。将来を見据えた“運ぶ道具”として、“新普通免許最適車”、“新排出ガス基準時代の省エネ車”、“セーフティ・セキュリティ”の新しい3 つの価値基準を提案しています。

無駄を省いた機能的なデザインと大きな室内空間を両立させたインテリア。

まず、内外装を一新、無駄を省いた機能的なデザインとし、ハイキャブとワイドキャブは、フロントピラー、ボディサイドを直立化させることで、大きな室内空間を実現しています。さらに新普通免許最適車を目指して従来型のハイキャブを拡大し、クラス唯一の普通車(1ナンバー)専用1.8m 幅のハイキャブを開発。キャブ幅段差の縮小や、架装時のボディサイズのさらなる容積アップ(全幅拡大)を可能としています。

さらにエンジンの小排気量ターボ化、軽量キャブの新開発、フレーム、サスペンション、タイヤの改良など、車両全体で徹底した軽量化を実施し、新普通免許枠内でも充実した車型バリエーションの展開を可能にしています。これに加えてハイキャブにいすゞオリジナルの軽量ボディを組み合わせ、都市内配送に最適なドライバン完成車『Eカーゴ』を設定しています。

エンジンは“D-CORE(ディー・コア)”3.3ℓ、4JJ1‐TCS 型インタークーラーターボディーゼルエンジンを新開発。排気量あたりのトルクが可能な限り高められ、軽量・コンパクト化を追求、燃費、重量、排出ガスといった諸性能が根底から引き上げられています。これにより、新長期排出ガス規制に適合すると共に、クラスで初めて重量車燃費基準を達成、平成17 年基準の低排出ガス重量車認定にも適合しています。さらにアイドリングストップ&スタートシステムをクラスで初めて標準装備しています。

自動変速とシーケンシャルマニュアル変速を実現する、いすゞ独自のイージードライブシステム『スムーサーEx』。

トランスミッションはマニュアルトランスミッションの進化形である『スムーサーE』シリーズを発展・改良させた、いすゞ独自のイージードライブシステム、自動変速とシーケンシャルマニュアル変速を実現する『スムーサーEx』が搭載されています。さらに国産トラックとしては初めて、盗難防止のための電子施錠システム『イモビライザ-』が標準装備されています。

走行性能が高められつつも、燃費性能や環境性能も高められている。

いすゞエルフは発売以来、様々な改良が加えられてさらに、より使いやすいトラックに進化してきており、『トミカ』でも発売以来、様々な『エルフ』がモデル化されています。実は2023年2月現在、この『No.109 DHLトラック』は、『No.48 いすゞ エルフ (ミッキー&フレンズ) トラック』とは同一シャシーを用いた兄弟関係にあり、後部パネル開閉ギミックをもったカーゴバン部分も同様な物になっています。鮮やかな黄色い車体に赤いロゴが映えるDHLの配送トラックは実車でも、世界中で「可愛い」と高い人気を誇っています。ぜひ1台、コレクションに加えられてはいかがでしょう?

■いすゞ エルフ ディーゼル 2t ハイキャブ 高床ダブルタイヤ/ロングボディ/木製アオリ・ワンハンドゲート付 主要諸元(『トミカ』の規格と同一ではありません)

全長×全幅×全高(mm):6080×1930×2270

ホイールベース(mm):3360

トレッド(前/後・mm) :1395/1425

車両重量(kg):2530

エンジン:4JJ1-TCS型直列4気筒DOHCディーゼル インタークーラー付き2ステージターボ

排気量(cc):2999

最高出力: 110kW(150ps)/2800rpm

最大トルク:375Nm(38.2kgm)/1400-2800rpm

トランスミッション:6速AT

サスペンション(前/後):インデペンデント/リーフリジッド

ブレーキ(前/後) :ディスク/ドラム

タイヤ:(前後)185/85R16

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