山Pか? マッケンか? イケメンぶりも性能も世界的に評価されたフォークリフトです! トミカ × リアルカー オールカタログ / No.111 トヨタ L&F ジェネオ

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.111 トヨタ L&F ジェネオ (フォーク上下/希望小売価格550円・税込)

『トミカ』のNo.111『トヨタ L&F ジェネオ』はフォークリフトです。フォークリフトとは、トラックやラック(棚)からの荷下ろし、積み込み、収納、また荷物の運搬に幅広く用いられる産業車両です。1920年代にアメリカで開発され、日本では1939年(昭和14年)に『腕昇降傾斜型運搬車』として開発されましたが、本格的に普及したのは第二次世界大戦後のことになります。

トヨタ L&F ジェネオ ディーゼル車 実車フロントビュー(8FD70型・7.0t積)*『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません。
トヨタ L&F ジェネオ ディーゼル車 実車リヤビュー(8FD70型・7.0t積)*『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません。

日本産業規格(JIS)によると「動力を用いてフォークなどを昇降させるマスト(支柱)を備えた荷役運搬機械」の総称と規定され、車体前方に備えられた、貨物を運ぶための2本のツメ(=フォーク)を貨物の下部やパレットに差し込み、動力で持ち上げて運びます。

機種によって性能は異なりますが、フォークリフトは一般的には数百kgから数tの貨物を持ち上げたまま走行できます。人の手では運べない重い荷物も簡単に積み下ろすことができますが、長距離を運ぶものではなく、最高速度も速くはありませんが、大量の重量物を移動させる作業などでは大幅な作業時間短縮を実現させます。

『ジェネオ』の大型モデルの最大揚高時高さは4.4mに達する(画像は7.0t積の70型です)。

また、フォークリフトはマストを伸ばしてフォークを上昇させれば、車体高よりも高い位置にまで貨物を移動させることもできます。このマストの高さは、日本国内では2段伸縮マストで最大揚程(=持ち上げられる最大高さ)3mのものが標準的ですが、3~4段伸縮で最大揚程8mのものも使われています。また大型コンテナ用の大型機種では2段伸縮で最大揚程12~15mに達するものもあります。

フォークリフトは荷役積載時には前面に貨物が置かれるため前方視界が確保できなくなるので、作業中は基本的に後退走行を行なう必要があるのも大きな特徴です。このような特殊な特徴があるため、フォークリフトを運転するには所定の講習を受けてフォークリフト運転技能講習修了証を取得する必要があります。修了証取得のために受講する必要がある講習は、フォークリフトの最大積載荷重量によって異なります。最大積載荷重が 1t以上のフォークリフトの場合はフォークリフト運転技能講習、最大積載荷重1t未満のフォークリフトを運転する場合はフォークリフト運転技能講習、もしくはフォークリフト運転特別教育の受講がそれぞれ必要となります。

また、フォークリフトには外観形状の違いにより様々な種類がありますが、フォークとこれを上げ下げさせるマストが車体の前にあり、後ろに重り(カウンターウエイト)を備えた一般的な形状のカウンターバランス式フォークリフト(カウンターリフト)と、止まったままでもマストが前後に移動(リーチイン/リーチアウト)できることを大きな特徴とするリーチリフトの2種類に大別されます。大雑把な見分け方として、オペレーターが操縦席に座って操作を行なうものがカウンターリフト、立って操作する比較的小型のものがリーチリフトになります。

『ジェネオ』シリーズには電動式の『ジェネオB』もラインアップされている。エンジン式とはリヤ・コンパートメントの形状に大きな違いが見られる。

また、フォークリフトはディーゼルエンジンやガソリンエンジンを動力とするエンジン式と電気モーターを動力とする電動式の2種類に大別されます。フォークリフトは倉庫や工場、時には船の中など排気ガスが出せない場所で使用されることも多いため、特に小型フォークリフトでは古くから電動式が広く普及しています。おそらく世界で最もEV化が進んでいる車両がフォークリフトでしょう。

さて『ジェネオ(GENEO)』は、豊田自動織機の社内カンパニーであるトヨタL&F(ロジスティクス&フォークリフト)の1.0~8.0t積のエンジン式フォークリフト・シリーズです。トヨタL&Fが0.5t積から43t積までをフルラインアップするフォークリフトは、電動式およびエンジン式ともに優れた品質・性能を誇り、世界トップシェアを獲得していますが、『ジェネオ』シリーズは高い安全性、使いやすく疲れにくい性能と装備、環境に配慮した新機能、優れた耐久性と信頼性と、フォークリフトに求められる本質を備えたエンジン式カウンターフォークリフトとして1998年にデビューしました。フォークリフト発売50周年にあたる2006年にモデルチェンジして2代目となり、ハイブリッド仕様などを交えつつ進化・発展。2014年には1,5~8.0t積車が3代目にモデルチェンジし、以後、他仕様も順次新型にモデルチェンジして現在に至っています。

『ジェネオ』のディーゼルエンジン車に搭載されているトヨタ1KD型ディーゼルエンジン。90系ランドクルーザー・プラドや200系ハイエースなどにも搭載されたエンジンと同じKD型エンジン・ファミリーだ。

『トミカ』の『No.111 トヨタL&F ジェネオ』は、2014年にデビューしたこの3代目モデルの中でも最大の8.0t積のディーゼル車を再現しています。座席横に描かれた「80」という白文字は8.0t積・ディーゼル車の『8FD80』型であることを示しています。

この『ジェネオ』の3代目モデルは「安全、環境、使いやすさ、新次元フォークリフト」が目指されているのはもちろんのこと、新開発の電子制御クリーンエンジン、エネルギーロス低減に貢献する新開発パワーステアリングや高効率トルクコンバータを搭載し、トップクラスの環境性能を実現。想像を超えたハイレベルでの低燃費、低排出ガス、そしてタフな作業もこなす力強さを実現しています。また、DPFレスのエンジンシステムの採用や隅々まで耐久性に磨きをかけたボディ、メンテナンスの負担を軽減する気配り設計と優れた耐久性・信頼性が維持費の削減に貢献しています。

また、格子型ヘッドガードなどの広視野設計や、後進操作時も無理のない姿勢を保持できる装備など、オペレーターにかかるストレスを最小限に抑えるための配慮が車両の隅々に生かされ、安心かつ正確な作業をバックアップ。スムーズな乗り降りをサポートする低いステップ高さや大型アシストグリップの採用、キャビンとフロアスペースはゆったりとした広さを確保しながら車体のコンパクト化を果たすなど、オペレーターがより使いやすく、より疲れにくくするための様々な工夫も施されています。加えてトヨタ独自のSASやOPSを標準装備するなど、安全面の配慮も怠りがありません。

『ジェネオ』は性能面だけでなく、デザインも世界的に評価されている美しいフォークリフトだ。

ちなみにこの3代目『ジェネオ』は性能面だけでなく優れたデザインも評価され、日本の『グッドデザイン賞』とドイツの『ドイツデザイン賞』および『iFデザイン賞』などを受賞していますが、『トミカ』の『No.111 トヨタL&F ジェネオ』は、そのデザインを手のひらサイズで的確に再現しています。この傑作フォークリフトの『トミカ』をぜひコレクションに加えてみてはいかがでしょうか?

■トヨタL&F ジェネオ 8FD80型 8.0t ディーゼル車 主要諸元

全長×全幅×全高(mm):4810(=車体長+フォーク長)×1965×2610(=マスト高さ/最大揚高時高さ=4440)

ホイールベース(mm):2250

トレッド(前/後・mm) :14400/1460

車両重量(kg):9940

エンジン型式:トヨタ 1KD型 直列4気筒DOHC ディーゼル

排気量(cc):2982

最高出力:55kW(74.8ps)/2200rpm

最大トルク:300Nm(30.59kgm)/1200-1500rpm

コンバーター:2ステータートルクコンバーター

無負荷走行速度(km/h):21.0

駐車ブレーキ:ダブルアクションパーキングブレーキ

タイヤ:(前/後) 8.25-15-14PR/8.25-15-18PR

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