死ぬまでに一度は乗りたい日本が誇る超高級車! / トヨタ センチュリー / トミカ × リアルカー オールカタログ No.114 

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.114 トヨタ センチュリー (サスペンション可動・希望小売価格550円・税込)

『トミカ』のNo.114は『トヨタ センチュリー』です。センチュリーは1967年(昭和42年)、トヨタグループの創始者である豊田佐吉氏の生誕100年(センチュリー)を記念してトヨタが製造販売している同社の最高級乗用車です。

トヨタ UWG60型 センチュリー 実車フロントビュー(2018年モデル)
トヨタ UWG60型 センチュリー 実車リヤビュー(2018年モデル)

高級乗用車と言われる自動車は様々な種類に分類されますが、センチュリーは「ショーファードリブンカー」と呼ばれる高級乗用車になります。「ショーファー」とはフランス語で「お抱え運転手」のことで、運転は自分自身ではなく専属専従の運転手にまかせ、自動車所有者は後席でリラックスして移動するタイプの自動車のことを言います。

このタイプの自動車を、その真価を発揮させて実際に走らせるためには専属専従の運転手の雇用まで含めて維持管理を考慮しなければならず、自分で運転するタイプの自動車(「ドリブンカー」と言います)に比べて維持管理費が高くなったり管理が複雑になるなどの制約が生じてくるため、大変に難しいものとなります。このためショーファードリブンカーは「真の高級車」などと呼ばれることもあります。

リヤシートのために作られていると言ってもいいセンチュリーだが、もちろん運転手の仕事場である運転席も運転しやすく快適に作られている。

また、ショーファードリブンカーはよほどの富豪でもない限り、自動車マニアやコレクターなどの例外を除けば個人で所有して使用している例は極めて少なく、ほとんどが政府など公的機関や一定以上の大企業などで公用車や社用車として用いられています。ただし専従の運転手が運転する車だからと言っても、たとえばセンチュリーと同じトヨタのジャパンタクシーをショーファードリブンカーとは呼びません。一般的には車格として大型高級セダンあるいはドイツ語でリムジンと呼ばれるタイプの自動車を指します。もっとも近年では自動車のスタイリングのとらえ方が変わってきているため、ミニバンやSUVスタイルの大型高級車をショーファードリブンカーとする例も出てきています。

御料車や総理大臣専用車として使用され、国産ショーファードリブンカーの代表格であり、基本的に国内専用車種であることから「日本の顔」としても知られているセンチュリーは一般の乗用車とは違い、1967年の初代モデルから専用の生産ラインで一段と厳しい独自の基準に従って作られています。2023年現在最新のセンチュリーは2018年にデビューした、3代目にあたるUWG60型です。

ショルダー部のキャラクターラインには「几帳面」と呼ばれる、平安時代の屏障具(へいしょうぐ)の柱にあしらわれた面処理の技法を採用した。

この3代目センチュリーは「継承と進化」を開発テーマに、初代から伝統の“匠の技”や“高品質のモノづくり”を伝承しつつ、ハイブリッド化による高い環境性能や搭乗者の快適性を追求したパッケージの実現、伝統を継承しつつも新しい魅力を付与した内外装デザイン、ショーファードリブンカーとしてふさわしい先進装備や快適装備の採用などに重点を置いて開発され、乗り心地、静粛性、走行安定性を一段と向上させています。

具体的には、外形デザインは日本の美意識に通じる静的な均整感を保ちながら、後席を上座とする独自の思想を造形に表し、伝統と品格を守りながら“華”を感じさせるものとしています。サイドビューではショーファードリブンカーにふさわしく、あえて傾斜を立てた重厚なクォーターピラーにより後席の存在感を強調。ショルダー部のキャラクターラインには「几帳面」と呼ばれる、平安時代の屏障具(へいしょうぐ)の柱にあしらわれた面処理の技法を採用し、端正に並んで走る2本の線を角として研ぎ出し、わずかな隙に淀みなく通した面を1本の線として際立たせることで、高い格調を与えています。

フロントセンターの“鳳凰”エンブレムは、工匠が金型を約1カ月半かけて手で彫り込んだ手の込んだものだ。

センチュリーの象徴であるフロントセンターの“鳳凰”エンブレムは、工匠が金型を約1カ月半かけて手で彫り込んだもので、それを彩る縦格子のフロントグリル奥には“七宝(しっぽう)文様”を配置、前後二重構造にすることで「品位ある華」が表現されています。

内装デザインは折り上げ天井様式を取り入れて専用織物があしらわれている。

室内空間ではホイールベースの拡大やスカッフプレートとフロアの低段差化、ドアの開口高さの拡大など後席優先のパッケージにさらなる磨きをかけており、内装デザインは折り上げ天井様式を取り入れて専用織物をあしらい、リヤシートには電動オットマンを設定するなど座り心地を追求したリフレッシュ機能付アジャスタブルリヤシートを採用、心地良さと格の高さを実現しています。また、熟練の匠が時間と手間をかけて防音材を隙間なく組み付けるなど徹底的な防音対策を施され、加えて、エンジン起動時の音や振動にはアクティブノイズコントロールによって対応するなど、圧倒的な静かさが実現されています。

センチュリーの真価があらわれるリヤシートには、座り心地を追求したリフレッシュ機能付アジャスタブルリヤシートが採用され、心地良さと格の高さを実現している。

走行性能では、V型8気筒5.0ℓハイブリッドシステムを新搭載し、ショーファードリブンカーに求められるスムーズで余裕に満ちた走りと高い環境性能、優れた燃費性能を実現しています。また、組み合わされるトランスミッションには2段変速式リダクション機構を搭載、静かで滑らかな走行を実現しています。

これに加えて、AVS機能付電子制御エアサスペンションが採用されたほか、構造用接着剤によるボディ剛性の向上、乗り心地に特化した新開発のタイヤ、サスペンションアームやブッシュ、マウントなどのゴム部品にいたる細部までチューニングが施され、ソフトで目線の動きが少ないフラットな乗り心地を実現されています。

V型8気筒5.0ℓハイブリッドシステムを新搭載し、トランスミッションには2段変速式リダクション機構を搭載。AVS機能付電子制御エアサスペンションが採用されたほか新開発のタイヤなど、細部までチューニングが施されている。

重要人物(VIP)を乗せる自動車ですから、もちろん安全装備にも抜かりはなく、先進安全装備の『Toyota Safety Sense』が新搭載されるとともに、隣車線の死角を走る車両を検知する“ブラインドスポットモニター”、周辺状況を検知して駐車支援する“パーキングサポートアラート”も採用されています。

センチュリーのボディは7層に塗り重ねられた塗料に研ぎと磨きを加えて奥深い艶と輝きが追求されている。

『トミカ』の『No.114 トヨタ センチュリー』は、この日本が誇るショーファアードリブンカーのデザインや魅力を余すところなく伝えるものとなっています。3代目センチュリーの新規開発色である“神威(かむい)”の名を持つエターナルブラックは、漆黒感を高める黒染料入りのカラークリアなど7層もの塗装に、研ぎと磨きを加えて奥深い艶と輝きを追求、日本の伝統工芸の漆塗りを参考に、流水の中で微細な凹凸を修正する「水研ぎ」を3回実施し、さらにその後、一点のくもりも残さないよう「鏡面仕上げ」を施したものですが、『トミカ』も上質な塗装で上手くそのイメージを再現しています。『No.114 トヨタ センチュリー』もまた、『トミカ』の中でも神々しく輝く1台となっています。

■トヨタ センチュリー 主要諸元

全長×全幅×全高(mm):5335×1930×1505

ホイールベース(mm):3090

トレッド(前後・mm) :1615

車両重量(kg):2370

エンジン形式:2UR-FSE型 V型8気筒 筒内直噴+ポート燃料噴射装置付き(D-4S)

排気量(cc):4968

最高出力:280kW(381ps)/6200rpm

最大トルク:510Nm(52.0kgm)/4000rpm

モーター形式:1KM型 交流同期式

モーター最高出力:165kW(224ps)

モーター最大トルク:300Nm(30.6kgm)

トランスミッション:電気式CVT

サスペンション(前後):マルチリンク

ブレーキ(前後) :ベンチレーテッドディスク

タイヤ:(前後) 225/55R18 98H

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