横浜ゴムがEVなど高重量車両に対応するHLCタイヤの生産・販売を開始。まずは新車装着用から

横浜ゴムはこのほど、大容量バッテリーを搭載するEVやHV、大型SUVなど高重量車両に対応するため、高い負荷能力を持つHLC(ハイロードキャパシティ)タイヤの生産・販売を開始したことを発表した。新車装着(OE)用およびその補修向けが先行して進められており、将来的には、市場ニーズに合わせて補修市場向け商品への展開も視野に入れられている。

通常のタイヤに比べ高荷重時の発熱量とひずみが少なく、荷重耐久性と他性能とのバランスを実現するHLCタイヤ専用のプロファイルを開発

HLCタイヤは、従来のXL(エクストラロード)規格(※1)のタイヤでは負荷能力と諸性能を高度に保持することが困難である高重量車両の増加を受け、ETRTO規格(※2)の乗用車用タイヤカテゴリーにおいて、従来のXLタイヤよりさらに高い負荷能力を持つ新たなタイヤサイズとして設定された。
※1:空気圧および負荷能力をスタンダード規格より高く設定した規格
※2:European Tyre and Rim Technical Organization(欧州タイヤおよびリム技術機構)が定めたタイヤとリムに関する標準規格

荷重がかかった時の発熱量とひずみの比較イメージ(左:通常タイヤ、右:HLCタイヤ)。HLCタイヤの方が発熱量とひずみが小さく、荷重耐久性が高い。※専用プロファイルの効果確認のため、イメージ図では実使用で想定されるよりも大きな荷重をかけてシミュレーションしている

275/35R23サイズにおける負荷能力を比較した場合、従来のXLタイヤが900kg(ロードインデックス104)であるのに対し、HLCタイヤでは1000kg(同108)となる(※3)。なお、HLCタイヤはサイズ表示の先頭に「HL」と表示される。
※3:それぞれ単輪での負荷能力。空気圧はいずれも290kPa時

HLCタイヤの設計には、高い荷重耐久性を持ちながら静粛性や操縦安定性を確保する高度な技術が求められる。横浜ゴムは高荷重に起因する故障に対するシミュレーションを繰り返し、通常のタイヤに比べ高荷重時の発熱量とひずみが少なく、荷重耐久性と他性能とのバランスを実現するHLCタイヤ専用のプロファイルを開発した。

横浜ゴムは、近年加速している自動車の電動化や人気の高い大型SUVへの対応を積極的に推進しており、高負荷能力をはじめ、様々な車両特性に合わせたタイヤ開発を進めている。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部