目次
リンレイは洗車用ケミカルだけでなく、家庭用のワックスやクリーナーも幅広く手掛けているメーカーだ。そのリンレイの大人気ブランドが『ウルトラハード』シリーズになる。
「落ちない汚れの最終手段」をキャッチコピーにするこのシリーズは、家庭用から派生してクルマ用にもラインアップを広げてきた。強力な汚れ落とし効果を発揮するクリーナー類が成功を収めると、その後はタイヤ用やヘッドライトカバー用のコーティング剤も登場させメガヒットを連発。
ここで紹介するこの『Wコーティング』はその人気シリーズの最新作。その登場を多くのファンが待ち焦がれていたボディ用コーディング剤は、ガラスやホイールにも施工可能なマルチコーティング剤となる。

類い希なる強力な汚れ除去効果で大ヒットになったクリーナーに続く、待望のコーティング剤。高い撥水力と深みのある艶を実現し、塗り重ねるほどにコーティング効果がアップするという、両面でのW効果を期待できる。
期待の高さゆえに突入する、未知なる領域へのチャレンジ
クリーナーのリリースから始まったリンレイの大ヒット作であるウルトラハードシリーズにして、意外にもボディコーティングはこれが初めてだった。ファンならずとも、その期待度ははなから高かった。
「ウルトラハードっていうのは家庭用発信のブランドになってるので、そこの期待は裏切れません。お客様が、満足感だとか達成感を得られるようなものじゃないと出しちゃダメなんです。
我々も、ワックスやコーティングを作ってるメーカーなので、スプレータイプのコーティング剤って普通に作れちゃうんですよ。ただ、それを今さらウルトラハードで出したところでやっぱり期待を裏切っちゃう。
ごく普通のクルマに詳しくないユーザーさんから見ると、クルマのコーティングというと、ボディもガラスも全部使えるんでしょうとなると思うんです。であれば、両面にそれなりの効果効能を出せる物をウルトラハードで出せれば、支持してくれた方にまた買っていただけるっと思ったんです(久保田氏)」
窓もボディも、その両面で使える製品はすでにある。ただ、リンレイの自社基準は別となる。自ずから課したハードルはより高いものになった。
「正直我々が持ってるその延長線上じゃどうしようもないなというところで。他分野のコーティングを扱っているメンバーに聞いたり、文献からも色々調べまして、ちょっとまあ異色ではあるんですけど、クルマ用ではあまり使われないような原料をちょっと引っ張り出してきまして、どうにかクリアできた次第です(迫氏)」
洗車用品の老舗であるリンレイは、業務用も家庭用も手掛ける総合ケミカルメーカーでもある。
「迫は、新卒から入って10年間は業務用の研究をやってきました。続く7〜8年間は家庭用の研究。いろんなところのセンスを彼は持ってるので、ある程度柔軟に考えられたというのはありますよね(久保田氏)」
ひと筋縄ではいかない高度なケミカル品は、完成直前でも波乱を迎える。
「やれやれ試作が出来上がったなと思って、今度は工場で最終的な性能を確認するんですけれど、工場で試作すると特別な密着力が再現できないんです。これは困ったなと(迫氏)」
同じ水道水でも性能が左右されるほど繊細な調合品でもあった。
「研究室での試作品では、何も問題無かったんですけど工場で試作すると、密着力が落ちると迫から聞いて…。こんなこと、今まで1回もなかったんですけどね(久保田氏)」
大ヒットの裏には、未知の領域に踏み込んだがゆえの労苦がある。それを乗り越えてのブレークスルーでもあった。