ホンダが6月から新型軽商用EVの集配業務における実用性の検証をヤマト運輸と開始

ホンダとヤマト運輸はこのほど、ホンダが2024年春に発売を予定している新型軽商用EVの集配業務における実用性の検証を、今年の6月から8月まで実施すると発表した。なお、検証にあたっては、「N-VAN(エヌバン)」をベースとしたテスト用車両を使用する。

環境負荷軽減効果に加え、集配業務における実用性や車両性能を検証

近年、EC市場の拡大により物流の需要が高まる一方で、温室効果ガス排出量の削減など、サステナブルな物流の実現に向けた取り組みの必要性が高まっている。

ホンダは、2050年にホンダが関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現を目指している。日本市場においては、24年春に発売予定の新型軽商用EVを含め、生活に身近な軽自動車の領域からEVの普及に向けた取り組みを推進中だ。

ヤマトグループは「2050年温室効果ガス自社排出量実質ゼロ」および「2030年温室効果ガス排出量48%削減(2020年度比)」の実現に向け、その主要施策のひとつとして、30年までにEV 2万台の導入を目標に掲げ、小型トラックを中心にEVの導入を進めるなど、サステナブルな物流の実現に向けた各取り組みを進めている。

実用性の検証で使用するテスト用車両

このたび両社は、ホンダが24年春に発売を予定している新型軽商用EVを活用し、環境負荷軽減効果の検証に加え、集配業務における実用性や車両性能の検証を行う。さらに、充電オペレーションを含むエネルギーマネジメントに関する各種基礎データを取得し、より実用性の高いEVの運用に役立てる。

新型軽商用EVは、軽商用バンである「N-VAN」がベース。大容量かつ、助手席からリヤまでフラットとなる荷室空間が特長だ。これを生かし、このたびの検証では、ヤマト運輸が導入を進めている小型モバイル冷凍機「D-mobico」を荷室に2台搭載し、冷蔵・冷凍品の配送にも対応する。「D-mobico」は、モバイルバッテリーで駆動し、ドライアイスを使用しないため、より環境に配慮した配送を実現するものだ。

雪上での走行テストの様子

また、今回の実用性の検証のほかに、冬季の集配業務を想定した、外気温が氷点下になる寒冷地での充電・走行テストなど、さまざまな環境で検証を実施している。こうした取り組みを通じて、ホンダは商用EVとしてより実用性の高い軽商用EVの開発・普及を目指す。

■検証の概要
●期間:2023年6月1日(木)~8月31日(木)
●車両台数:3台
●実施エリア
・ヤマト運輸 中野営業所(東京都杉並区)
・ヤマト運輸 宇都宮清原営業所(栃木県宇都宮市)
・ヤマト運輸 神戸須磨営業所(兵庫県神戸市)
●内容
1)環境負荷軽減効果の検証
2)集配業務における実用性や車両性能の検証
・車両の使い勝手や、航続可能距離など、EVならではの実用性の検証
・ドアの開け閉めや、乗り降りが多い集配業務を通じた車両の耐久性の検証
・さまざまな特徴を持つエリアでの車両性能の検証
・配送荷物が多く乗り降りの機会が多い東京23区エリア
・一度の配送における走行距離が比較的長い栃木エリア
・坂が多くアップダウンのある兵庫エリア
3)EV運用における各種基礎データの取得・検証
・日々の集配業務における車速、アクセルやブレーキなどドライバーの運転操作や、空調による電力消費量、走行後の充電量や充電時間帯などの各種基礎データの取得と、複数台のEV運用を想定した充電オペレーションとエネルギーマネジメントの検証

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細田 靖