ラグジュアリー極まる! 二世代目の新型レクサス「LM」が上海モーターショーで世界初公開! 日本では今秋発売予定

レクサスは4月18日に開幕した上海モーターショー(一般公開は4月20日〜27日)で、全面改良を受けた新型「LM」を世界初公開した。日本では今年の秋頃に発売される予定だ。

日本仕様は2.4ℓターボを組み合わせるハイブリッド仕様から導入予定

初代LMは主に中国やアジア地域でのショーファードリブンMPVの需要に応えるために、2020年に販売を開始。4座/7座仕様を設定し、幅広いユーザーから好評を得てきた。

新型LMは、近年のラグジュアリーマーケットにおけるユーザーの価値観の変化を受けて、車名が意味する「ラグジュアリームーバー」としての価値や存在意義をあらためて見直して全面刷新。すべての乗員が自然体でくつろげる乗り味と、居住空間を作り上げることを目指して開発された。ドライバーは素直で正確な操縦性などにより、気を遣うことなく運転の楽しさを実感でき、乗員はノイズや不快な振動を気にすることなく、車内での時間をゆったりと過ごすことができる快適性と機能性を備えている。

このたびの発表に際して、レクサスインターナショナルの横尾貴己チーフエンジニアはこのように述べている。


「多様化の進むラグジュアリーセグメントのお客様のニーズにお応えすべく、新型LM開発にあたり私共開発陣が掲げたコンセプトは“素に戻れる移動空間”です。多忙な日々をお過ごしのお客様の為に、周囲の喧騒から解放され心身共にくつろげる、そしてご自身本来の豊かな思考や行動につながる、そんな移動空間の提供を目指しました。


一方で、どんな豊かな装備や機能があっても、クルマとしての素性が良くなければ乗員が快適に過ごすことはできません。ショーファードリブンカーとしても使われるLMにおけるLexus Driving Signatureとは何なのか。TAKUMIや開発チームと共にたどり着いた答えは、次世代レクサスが一貫して取り組んでいる“対話のできる走り”にありました。

ドライバーの意図に忠実な走りは、後席の方にも安心感として伝わります。徹底的に鍛えたクルマとしての体幹としなやかな足まわり、空力をも味方に付けたデザイン、体の揺れを抑えるシート、上質な仕立ての内装と快適装備の数々、いずれも細部に至るまで込められた開発チームの想いと拘りの結晶です。レクサスがイチから造り上げた“ラグジュアリームーバー”を、ぜひともご体感ください」

公表されたプロトタイプのボディサイズは、全長5125×全幅1890×全高1955mmで、先代型と比べて85mm長く、40mm幅広く、10mm高くなった。3000mmのホイールベースは変わっていない。ちなみに、現行型アルファードは全長4945〜4950×全幅1850×全高1935〜1950mmだから、新型LMの方がひとまわり大きいサイズ感だ。

パワートレインは、2.4ℓ直列4気筒ターボエンジンを組み合わせるハイブリッド(eAxle)と、2.5ℓ直列4気筒エンジンのハイブリッド(FF/F-Four)の2機種。日本では前者の4人乗り仕様から導入される予定だ。

エクステリアデザインは、次世代レクサスデザインの目指す「機能的本質や動的性能に根差したプロポーションによる独自性の追求」をMPVパッケージで表現。乗員スペースを最大限に確保した前後方向に抜けの良い開放的なキャビンと、走りの良さ・乗り心地をイメージさせる前後タイヤの存在感を強調した造形を融合させることで、躍動感がありながら上品で 伸びやかなLM独自のフォルムを実現した。

フロントデザインでは、レクサスのアイデンティティであるスピンドルボディをさらに進化。押し出しの強いスピンドル形状をグリルに外板色を採用することで、ボディと一体でシームレスに表現。周辺部品との境界の段差を減らし、ボディとより融合した構成とすることで、空力性能や冷却性能、操安性にも寄与している。

インテリアは、乗員が素に戻れる時間を提供すべく、人間中心の考え方に基づいた精緻なつくり込みを実施した。室内高にゆとりのあるキャビンパッケージを生かしながら、広く心地よい空間を水平・垂直を基調としたシームレスなデザインテーマで表現。リビングのようにくつろげる世界観が追求された。キャビンレイアウトは、3列シートの6/7人乗りに加えて、ショーファードリブンMPVとしての用途を想定した 4人乗り仕様をラインナップする。

前席では、モダンで広がりのある空間のなかにレクサスのコックピット思想「Tazuna Concept」を採用。シンプルなインパネとコンソールにより、運転に集中できる環境を実現した。

6/7座仕様では開放感・見晴らしに配慮しながら、前後左右に広がりのあるトリムやオーバーヘッドコンソールを配し、多人数乗車でのパーソナル感を追求している。

パーソナル感とプライバシー性を高めた4座仕様では、リヤ席前方に48インチ大型ワイドディスプレイを備えたパーティションを配置。見晴らしを考慮した昇降ガラスと、乗降性に配慮したアシストグリップを統合した。スピーカーや冷蔵庫、収納などの各機能は、加飾と融合させつつ内装部品間の段差も極限まで低減。

サイドウィンドウのグラフィックもシンプルな長方形とするなど、インテリアのあらゆる構成要素から乗員にとっての視覚的ノイズを減らし、乗員がリラックスできる空間を追求した。

また、後席には座った瞬間に心身を解放させるような心地よさを目指した、体をゆったり包む大型独立シートを採用。オットマンの伸縮量を従来型より延長しつつ、パーティションとの距離を保つことで余裕のあるスペースを確保した。また、レクサスとしては初めて、アームレストとオットマンにもシートヒーターを採用。パーティションの上部中央には、乗員と周辺温度(ウインドウ/トリム/天井の周辺)を検知する後席専用の「温熱感IRマトリクスセンサー」を設定。

乗員の顔、胸、大腿、下腿の体の部位を4つに分け温熱感(温かさ/冷たさ)を推定することでエアコンやシートヒーターなどを一括コントロールし、車内を常に快適な温度に保つ。アームレスト内に収まる格納式テーブルはタブレット端末やノートPCを操作できる十分なサイズとし、質感の向上や滑り止め/傷つき防止の機能性を持たせた表皮巻きの天板としている。

乗り心地も進化した。スライドドア開口面積が広く、剛性確保が難しいMPVのボディ骨格強化のために、次世代レクサスが一貫して取り組んでいる「素性の刷新」を新型LMでも実践。ラジエターサポートブレース/ロッカーストレート構造/リヤ床下ブレース/クォーターピラー部リインフォースメント設定などにより、従来型比で約1.5倍となるボディのねじり剛性確保に成功した。アッパーボディやフロアに採用した構造用接着剤も振動の軽減に効果を発揮している。

シート開発では、どこに座っても心身共に自然体でいられるよう乗員の身体の動きを徹底的に分析し、特に頭部の揺れの軽減と視線の安定化を図った。フロントシートは座面の面圧分布を最適化し、旋回時のG(重力加速度)の大小にかかわらず身体をホールド。疲労を軽減する座り心地と、クルマとの対話に集中できる環境を追求している。

2列目シートでは、特性の異なる2種類の衝撃吸収材を使用することで、停車時から走行時まで乗員を優しく包み込みながら支える構造を採用した。3列目シートは大人でもゆったりと座れるよう、シートバックとクッションに厚みを持たせている。

リニアソレノイド式アクチュエーターと、周波数感応バルブを併用した「周波数感応バルブ付きAVS」を、レクサスで初採用したのもニュース。低周波から高周波までの幅広い領域できめ細かく減衰し振動を軽減し、速度を問わず常に上質な乗り心地を提供する。

さらに、後席の快適性を重視したドライブモードセレクト「Rear Comfort」モードもレクサス初採用。AVSの減衰力特性は後席の乗り心地を優先しつつ、アクセルやブレーキを統合制御することで、加減速時の姿勢変化がより少なくなるセッティングとしている。

一方で、静粛性も追求された。新型LMでは「心地よく感じる自然な静けさ」という“静粛感”にこだわった開発陣は、ノイズの周波数帯域と発生部位などを解析し、発生するノイズ(源音)を小さくする/車内への侵入を防ぐ(遮音)/車内のノイズを下げる(吸音)の3ステップで取り組んできた。

源音の低減では主にロードノイズと風切り音に着目。ロードノイズはタイヤ周辺、風切り音はボンネットやピラー周りに重点的に対策を施すことに加え、アコースティックガラスの採用も、高周波の風切り音の低減に寄与した。音や振動の発生源のひとつであるエンジン、振動の伝達増幅の原因となるマウント系などは徹底したチューニングを実施。

その他にも、吸音材/遮音材/制振材については分量や厚みをチューニングし、それぞれの部位に最適に配置することで、車室内騒音の大幅な低減が図られている。

これらのほか、先進安全義技術は新型RXに続いて「Lexus Safety System+」のほか、高度運転支援技術「Lexus Teammate」の機能「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」と、「アドバンストパーク(リモート機能付)」を採用。また、フロントドアにイージークローザーを組み合わせた「eラッチシステム」をレクサス初採用。

ドアを閉める際の使い勝手の向上と静かでスムーズな操作性を実現している。このほか、後方からの自転車を含む接近車両を検知し、通知を行うとともにとドア開放をキャンセルする機能を搭載した、安心降車アシスト(ドアオープン制御付)をフロントドア、スライドドアの両方に採用し、先進技術による新たな価値を提供する。

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