メルセデス・ベンツBクラス 最新装備で魅力アップ。AクラスでなくBを選ぶ理由はあるか

メルセデス・ベンツB180 車両価格:537万円 オプションはAMGラインパッケージ 39万8000円  イリジウムシルバー(メタリック)9万5000円
Aクラスとともにメルセデス・ベンツのコンパクトカー陣営を固めるBクラス。BクラスもAクラスと同じタイミングで大幅なアップデートが施された。その内容をチェックしながらBクラスならではの魅力を見ていこう。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

ARナビゲーション標準装備

Aクラス譲りのスポーティなエクステリアに広い室内空間を付加したのがBクラスだ。そのBクラスがAクラスと同じタイミングで大幅にアップデートされた。新しいBクラスはエクステリアとインテリアのデザインが刷新されたほか、ナビゲーションシステムはSクラスなどに採用されている最新世代にアップデート。ハイビームとロービームを交通状況に応じて自動的に切り換えるアダプティブハイビームアシストを全車に標準装備。さらに、MBUX ARナビゲーションとアドバンストサウンドシステムも標準で装備する。

ヘッドライトは機能を向上させただけでなく、インナーのデザインを変更。よりシャープな表情とした。また、フロントバンパーとフロントグリルのデザインを一新。シングルルーバータイプのグリルには、小さなスリーポインテッドスターがちりばめられている。アルミホイールは標準仕様、AMGラインパッケージともに新デザインだ。

LEDのリヤコンビネーションランプもフロントと同様に新デザインを採用。ディフューザーはワイド感をより強調した形状に変更されている。

インテリアは新デザインのステアリングホイールが目を引く。AMGラインパッケージ(39万8000円)を選択すると、3本のツインスポークを採用したスポーティなステアリングが装着される。変わったのは見た目だけではない。ハンズオフの検知がトルク感応式から静電容量式に変更されているのだ。

追従型クルーズコントロールのディスタンスアシストディストロニックを機能させている際、従来はステアリングをしっかり握っていないと、本人は握っているつもりでも車両側から「握りなさい」とアラートが発せられることがあった。ステアリングトルクをセンシングしているためで、ただ触れているだけでは「握っていない」と判断されてしまうのだ。

ステアリングに静電容量式のセンサーを採用した。

新しいBクラスはスマホなどにも採用されている静電容量式のセンサーを採用。強く握らなくても「握っている」と判断してくれるため、アラートに悩まされることなく、ディスタンスアシストディストロニックを使うことができる。

インテリアでは、助手席前のトリムを新デザインに刷新。従来はセンターコンソールに配置していたタッチパッドを廃止した(Aクラスも同様)。「ハイ、メルセデス」の呼びかけで起動する対話型インフォテインメントシステムのMBUXは最新世代に進化している。ゼロレイヤーの採用が変更点のひとつで、マップ表示画面に複数のコンテンツを表示することが可能。目的地までの到着時間や混雑状況のほか、ペアリングした電話、ラジオやオーディオを表示することが可能。学習機能を備えており、例えば、いつも同じような時間に家族に電話をかけている場合、その時間になると「そろそろ家に電話しませんか」などと予測提案をする。

ジェットエンジンを模した吹き出し口も最新メルセデス・ベンツではもうお馴染みだ。

Bクラス全車に標準装備のARナビゲーション(Aクラスの場合はA200dに標準装備、A180にオプション設定)は、目的地を設定して行き先案内をする場合、車両の前方に広がる現実の景色が10.25インチのメディアディスプレイに表示され、進むべき方向にブルーの矢印が表示される。MBUXといいARナビゲーションといい、SクラスやCクラスにEQSなど、上位モデルに採用された最新技術が降りてきた格好だ。

エンジン 形式:直列4気筒DOHCターボ 型式:M282 排気量:1331cc ボア×ストローク:72.2mm×81.3mm 圧縮比:ー 最高出力:136ps(100kW)/5500rpm 最大トルク:200Nm/1460-4000rpm 燃料供給:DI 燃料:プレミアム 燃料タンク:43L
横置きエンジンとしてはかなりゴツイ(しっかりした)エンジンマウント

Aクラスのアップデートと同様で、パワートレーンの設定に変更はない。B180はM282型の1.4L(1331cc)直列4気筒ガソリンエンジンを搭載。ルノーと共同開発したエンジンで、デルタシリンダーヘッドと呼ぶ、カムシャフトを軸方向から見た場合に三角形をした断面のシリンダーヘッドを持つのが特徴。高さ方向の寸法はかさむが、ヘッドまわりを省スペースかつ軽量化できるメリットがある。最高出力は136ps(100kW)/5500rpm、最大トルクは200Nm/1460-4000rpmを発生。7速DCTとの組み合わせで、WLTCモード燃費は14.9km/Lだ。

B200dはOM654型の2.0L(1949cc)直列4気筒ディーゼルエンジンを搭載する。最高出力は150ps(110kW)/3400-4400rpm、最大トルクは320Nm/1400-3200rpmを発生。8速DCTとの組み合わせで、WLTCモード燃費は18.8km/Lである。

フロントサスペンションはマクファーソンストラット式
リヤサスペンションはこのクラス標準と言っていいトーションビームアクスル方式

AとBの違いは?

試乗車はガソリンエンジン仕様のB180だった。ロワードコンフォートサスペンションを含むAMGラインパッケージを装着したA200dとスリーサイズを比べてみよう。A200dの全長×全幅×全高が4440×1800×1420mmなのに対し、B180は4430×1795×1550mmだ。全長が130mm(標準サス仕様に対しては110mmになる)高いのがBクラスの特徴で、この高さが印象の違い、使い勝手の違いを生む。多くのタワーパーキングに対応可能な車高に収まっているのも美点だ。

Aクラスに乗った後でBクラスに触れると、乗り降りが圧倒的に楽に感じる。必然的にアイポイントも高くなり、見晴らしがいい。取り回しに気を使わずに済む度合いはBクラスのほうが上だ。室内は上下方向に空間的な余裕があるためか、Aクラスよりも開放感がある。数値を測っていないので印象論になるが、Aクラスに比べてアップライトな姿勢で着座するためだろう。後席の居住性は肩より上だけでなく、足もとにも余裕があるように感じられた。

インテリアカラーはブラック、シートは本革製。
後席の居住性は肩より上だけでなく、足もとにも余裕がある。
身長183cmが前後に座ると後席の膝周りはこのくらいの余裕がある。
ラゲッジスペースは455L、後席を倒すと1540Lになる

ラゲッジスペースの容量はAクラスの355Lに対しBクラスは455Lで、見た目の印象も大きく違う。大型のスーツケースを難なく飲み込んでしまうたのもしい広さだ。テールゲートのスイッチのほか、運転席やエレクトロニックキーのスイッチでも電動で開閉できるEASY-PACK自動開閉テールゲートを備えているのもAクラスとの対比での、Bクラスの魅力だ。

短い合流路で本線に合流といった、急加速を求められるシーンでは太いトルクを発生するディーゼル仕様に分があるが、それ以外の日常的なシーンではガソリンエンジンで充分だ。ディーゼル仕様もそうだが、巡航スピードでクルージングしているときの静粛性の高さはエンジンの存在を忘れるほどだ。長距離走行時の燃費や加速時の力強さに魅力を感じた場合に限り、36万円高のディーゼル(B200d)という選択になるだろうか。

Bクラスは高い車高がもたらす室内空間と荷室スペースの余裕が魅力。Aクラスとタイミングを合わせたアップデートにより最新のデザインと装備が導入され、商品力が増している。

全長×全幅×全高:4430mm×1795mm×1550mm ホイールベース:2730mm 車重:1440kg 最小回転半径:5.0m 最低地上高:135mm
メルセデス・ベンツB180
全長×全幅×全高:4430mm×1795mm×1550mm
ホイールベース:2730mm
車重:1440kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/R トーションビームアクスル式
駆動方式:FWD
エンジン
形式:直列4気筒DOHCターボ
型式:M282
排気量:1331cc
ボア×ストローク:72.2mm×81.3mm
圧縮比:ー
最高出力:136ps(100kW)/5500rpm
最大トルク:200Nm/1460-4000rpm
燃料供給:DI
燃料:プレミアム
燃料タンク:43L
トランスミッション:7DCT

WLTCモード燃費:14.9km/ℓ
 市街地モード 11.1km/ℓ
 郊外モード 15.2km/ℓ
 高速道路モード 17.2km/ℓ

車両価格:537万円
オプションはAMGラインパッケージ 39万8000円  イリジウムシルバー(メタリック)9万5000円

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…